デジタルマーケティング
2021年04月28日
2024年03月26日
ビジネスにおいてもオンライン活用が当たり前となった今、『BtoBマーケティング』はますます注目を集めています。しかし、「なんとなく理解はしているが、自分の口で改めて説明するのは難しい」「そろそろBtoBマーケティングに取り組みたいが、具体的にどうすればいいのか分からない」といった声もまだまだ耳にします。
今回の記事はこれからBtoBマーケティングに本腰を入れて取り組みたいという方々に向けBtoBマーケティングの概要をはじめ、BtoCマーケティングとの違いやBtoBマーケティングの具体的な手法についてご説明しています。あわせて当社の取り組み事例も紹介していますので、ぜひ貴社のBtoBマーケティング推進の参考になさってください!
BtoBとは『Business to Business』の略で、メーカーと卸売、卸売と小売といった企業間取引を指します。そのため『BtoBマーケティング』とは、「企業が企業に対して、自社の製品・サービスを販売するために実施する仕組みや施策、およびその活動」という意味になります。
一方、企業から一般消費者に向けて商品や製品、サービスを提供しているビジネスは『BtoC(=Business to Consumer)』 と呼ばれ、BtoCマーケティングは「一般消費者向けのマーティング」を意味します。
一般的にはBtoC企業の方がなじみ深く、企業名もすぐに思い浮かぶかもしれませんが、実際はBtoBビジネスに従事する企業の方が多くあります。私たち大伸社ディライトも、BtoB向けのデジタルマーケティング支援やクリエイティブ制作等を行っています。
BtoBマーケティングの特性を理解するために、まずBtoCマーケティングとの違いを整理します。
BtoBマーケティングとBtoCマーケティングはそもそもターゲットや目的が異なるため、さまざまな違いが生じます。中でも『価格』『意思決定者の数』『導入・購買までの検討期間』、この3つが主な違いといえます。
BtoBは企業向けビジネスのため、提供するサービス・製品の単価は高額に。取り扱うサービス・製品によりますが、取扱単価は数十万円から数億円まで高額かつ幅広い価格帯となります。もちろん、一般消費者向けにも不動産や自動車など一部高額商品はありますが、総体的には数百円~数万円、数十万円といった単価感が一般的といえます。
BtoBマーケティングでは、サービス・製品(あるいはソリューション等)の導入・購入を決める意思決定に複数人(関与部門の部長・役員等)が関与します。また、関与者が多いため、導入・購入フローも複雑化しがちです。
あわせて、これら意思決定者と実際にこのサービス・製品を使用する人物が異なるケースが多くあるのもBtoBビジネスの特徴のひとつといえます。
先に述べたとおり「BtoBマーケティングでは取り扱うサービス・製品の単価は高額であり、かつ、この購入を決断する意思決定者の人数が多い」ことから、必然的に検討期間が長くなります。
サービス・製品にもよりますが、数ヶ月、中には数年かかるものもあります。
BtoBマーケティング、BtoCマーケティングとも「見込み客を集め、接点を増やし、購買・導入に向けた意欲を高める」という本質は変わりません。しかし、それぞれのターゲットと目的の違いから、取るべき戦略や活動の進め方に違いが生じます。
従来、BtoBにおいては属人的かつオフラインを中心とした営業スタイルが主流でした。
しかし市況の変化とともに営業スタイルが大きく変化したことで、BtoBマーケティングの需要が拡大しています。
ひと昔前の営業スタイルといえば、顧客に課題が生じたタイミングで担当の営業マンに直接相談する、逆に営業マンが顧客側へ定期的に出向き追加注文を取る、新製品やサービスを紹介する・・・といったものでした。
しかし、スマートフォンやタブレットの普及やソーシャルメディアがBtoBへ拡大していった2010年代ごろから【BtoB顧客の購買方法】は急速に変化。顧客は担当の営業マンと話す前にネット上で自ら情報収集するようになり、場合によっては課題解決やこれに応じるリソースの選定まで行うようになりました。
顧客の購買方法の変化に伴い、営業側も売り方を変えざるを得なくなったことで、BtoBマーケティングがますます重要視されるようになったといえます。
2020 年からはじまった 『新型コロナウイルス感染症拡大(COVID-19)』 の拡大は、BtoBにおける従来の営業スタイルを一変させました。これまで対面営業しか行ってこなかった企業でも、コロナにより営業活動のオンライン化が急がれ、これと並行してBtoBマーケティングの導入も進みました。
BtoBビジネスにおける「顧客の購買方法の変化」と、「新型コロナウイルス感染拡大に伴うオンライン営業の導入」。この2つの要素がBtoBマーケティングの浸透を後押ししました。
BtoBマーケティングのフローは、大きく5ステップに分けられます。
これまでにはなかった特徴として『リード選別』『クロージング』の概念が登場し、BtoBマーケティングのプロセスは当初より長くなっているとともにサイクルしていることがポイントとして挙げられます。
おおまかな流れとしては、大半の企業に当てはまりますので参考にしてください。
BtoBマーケティングの第一歩は「集客(=リードジェネレーション)」です。
見込み客を生み出すマーケティング活動を指し、見込み客とのタッチポイントをいかに増やすかが目的となります。
集客の代表的な手法は以下です。
検索キーワードに応じて結果がサイトページ上部に表示される『リスティング広告』と、サイトを閲覧している際に表示される『バナー広告』があります。いずれも訴求したい製品・サービスに関するキーワード選定、クリエイティブにより見込み客の獲得を図ります。
商材の特性や見込み客の属性によっては、LINE、Instagramなど、SNS広告が有効なケースもあります。
見込み客の課題にフィットするコラム記事などをサイト上に掲載することで、サイトへのアクセス増~リード獲得を目指す手法です。継続的な記事作成~アップは、サイトのSEO対策にもつながります。
また、掲載期間を限定することが多いWeb広告とは異なり、コンテンツマーケティングでは一度記事を作成・サイトアップすれば永続的にコンテンツとして機能するのが大きなメリットです。
一方でコラム記事制作においてはキーワード・テーマ選定、プロット作成といった専門性の高いワークが必要となるため、制作に時間を要するという側面もあります。
<関連コラム>
・サイトへの集客を強化したい! オウンドメディアの目的、運用法について
・マーケティングオートメーション(MA)運用でコンテンツ作成をアウトソーシングする際の事前準備とは
展示会は多くの新規見込み客と接点確保が図れる有効な手段です。
展示会出展に合わせ、特設ページの制作や告知メールの配信といった集客活動を行います。
また、展示会自体はオフラインイベントのため、ここで接点をもった見込み客のリードを獲得し、オンライン施策(メール配信など)とあわせて推進する必要があります。
リード獲得集客後のステップが【リード獲得】です。
サイトやコンテンツに誘導した見込み客にお問い合わせや資料ダウンロードを促し、個人情報(名前、企業名、連絡先など)を得ることが目的となります。
リード獲得の代表的な手法は以下です。
自社の製品・サービスに関する各種情報をまとめた資料は、リード獲得に効果を発揮するコンテンツです。製品・サービス情報だけではなく、市場の調査データやトラブル対応集、導入事例なども資料化しやすく、かつ、ダウンロードされやすい資料といえます。
サイトを改修することでCVR(コンバージョンレート)アップを図ることも、リード獲得に直結する重要な施策です。
具体的には各種フォーム(お問い合わせフォーム、資料請求フォームなど)内の不要な入力項目を削除する、不要なリンクをなくす、ボタンの文言を見直すなど。これまで改修を行っていない場合は、僅かなチューニングで大きな効果が期待できます。
その他、導線設計の見直し、コピー・原稿の調整、ビジュアルの変更なども、コンバージョンレートのアップにつながる可能性が高いため、優先的に取り組みましょう。
ここ数年はコロナ禍のためリアル展示会の開催が激減し、代わりにオンラインイベント「バーチャル展示会・オンライン展示会」が急増しています。時勢上、リアル展示会の代替案として普及・浸透しましたが、開催費用を抑えられること、天候の影響を受けないこと、参加者の情報を取得できることなどメリットも多く、コロナが収束した後も集客のスタンダードな手法として定着しそうです。同じ理由でリアルなセミナーの代わりに定着したのが、「ウェビナー(オンラインセミナー)」です。
<関連コラム>
・おすすめのオンライン展示会システム5選|やり方や主な機能も紹介
・Web展示会とは?メリットやデメリット・プラットフォーム3つ紹介
ステップ3は【リード育成】です。
検討度合や購買プロセスはリード(見込み客)ごとにさまざま。そのためにそれぞれの状態に応じた情報提供を行いつつ関係性を維持しながら、適切なアプローチタイミングを見極めていきます。
この一連の育成施策を「リード育成(=リードナーチャリング)」といいます。
リード育成の代表的な手法は以下です。
マーケティングオートメーションは、マーケティング活動の業務を自動化するツールです。
「見込み顧客のリスト作成・管理」「見込み客の行動に応じたシナリオ設計」「見込み客の行動によるスコアリング」などが代表的な機能といえます。
マーケティングオートメーション(MA)を活用することで、リード育成のシナリオに応じたアプローチが自動化できるため、営業効率を高めることができます。
<関連コラム>
・マーティングオートメーション(MA)でリードナーチャリングを加速しよう!
メールマガジンはリードナーチャリングに欠かせない手法です。
獲得したリードに向けて定期的にメールマガジンを配信できるのはもちろん、マーケティングオートメーションを活用した『メールナーチャリング』により、リードの興味や検討度合に応じた適切な情報をタイミングよく届けることで育成を図ります。
<関連コラム>
・メールマーケティングは【一人ひとりに最適なコンテンツを届ける】が主流に!
育成したリードの中から、より購入・導入の可能性が高い優良な見込み客を選別(=リードクオリフィケーション)するステップです。育成したリードを選別することで、興味関心が薄い、検討タイミングがずれているなど商談確度がまだ低いリードを除外し、良質なリードのみを営業へパスすることができます。
リード選別はマーケティングオートメーション(MA)の導入によって重要視されるようになり、今やBtoBマーケティングの成功に欠かせないステップといえます。
リード選別の代表的な手法は以下です。
リードナーチャリングではシナリオ設計機能により育成を主目的に活用されるマーケティングオートメーションですが、リードクオリフィケ―ションにおいてはスコアリング機能を活用して「リードの選別」を行います。
「○○○を閲覧したら/○○○を○回したら/○○○から○○○へ遷移したら」など行動に紐づく条件をクリアしたリードを選別し“ホットリード”としてフィールドセールスへパスします。これによりフィールドセールスは質の高い見込み客を中心にアプローチを行うことができ、商談化率、ひいては成約率を高めることができます。
このタイミングでは直接電話でフォローを入れることも有効です。
マーケティングオートメーションで見込み客の行動を確認し、興味関心や関心度合いを推測したうえでアプローチを行いましょう。
<関連コラム>
・インサイドセールス立ち上げ 何から始めればいいの?
BtoBマーケティングの最終ステップは、対面による商談です。
これまでの育成・選別の経過をふまえ、見込み客のニーズはある程度把握できているため、これらを踏まえたうえで具体的な提案を行っていきます。
この際、フィールドセールスがクロージングまでのプロセスで得た顧客情報をマーケティングサイドへフィードバックすることで、今後の【集客】⇒【リード獲得】⇒【リード選別】サイクルの精度を高めていくことができます。
当社はBtoBビジネスが主力であることもあり、業種・業態を問わずさまざまなお客様のマーケティング支援を行っています。お客様との保守契約の兼ね合いから実名をご紹介できないケースが多くありますが、取り組みの一端について簡単にご紹介します。
コロナ禍により超短期間でオンライン営業の導入・強化を進めることになった企業様をご支援しました。
個人向けの高関与商材を扱う企業さまで、既にマーケティングオートメーション(MA)は導入済みでしたが、単発のメール配信でしか活用できておらず、シナリオ設計やリードナーチャリング施策は行っていませんでした。
ヒアリングの結果、【Step1.リードジェネレーション】としてサイトコンテンツの作成と、【Step.2】のマーケティングオートメーション活用を核に取り組むことに。コンテンツ制作においては企画・構成を弊社が担い、実際の作り込みはお客様にて、また、マーケティングオートメーションの活用ではシリオ設計や実装準備を弊社が担い、以降の運用はお客様にて自走できる環境を整えました。
サロン専売のヘアケア、スタイリング用品などを製造・販売されている企業様の『ODM・OEM事業』特設サイトを構築しました。
BtoBマーケティングにおける【Step1.リードジェネレーション】を目的に構築することになった同サイト。これまでも公式サイト内にODM・OEMについて説明したページはありましたが、情報が乏しく、見込み客のリード獲得は思うように進んでいませんでした。
そこで特設サイト化し、掲載情報を強化。ODM・OEM事業におけるお客様の強みや製造設備やこれまでの実績、お客様の声など、見込み客にとって有益な情報を多彩なコンテンツとして発信することでお問い合わせ数を格段に増やすことができました。
現在はサイト内にマーケティングオートメーション(MA)も導入。BtoBマーケティングにおける【Step3.リードナーチャリング】に注力しながら、コンテンツ強化も進めています。
・実際の事例記事はこちら
BtoB マーケティングの概要と主な手法についてご紹介しました。
取り組みのフローは大きく分けると5ステップです。
しかし、それぞれのステップには取り組むべき施策がいくつかあり、全体を進めていくとなるとかなり大がかりな取り組みになりそう・・・と尻込みしてしまう方もいるかもしれません。
もちろん、全体の施策をバランスよく推進できれば良いのですが、実際には難しいのも事実です。まずは自社の課題やボトルネックがどこにあるかを見極め、優先度の高い取り組みから着手しましょう。当社がご支援させていただいているお客様も、一つずつ取り組みを進めている先が多くあります。まずは、BtoBマーケティングの“はじめの一歩”を踏み出してみましょう!
WEBディレクター / コンテンツプランナー
横山 由美WEB上でのリード獲得や集客に向けたコンテンツ企画立案~制作ディレクションまでを担当。キーワード設計によるコンテンツSEOやコンテンツマーケティングなどが最近の主な担当案件です。WEB解析士/GAIQ 保有