デジタルマーケティング
2018年11月20日
2019年01月12日
マーケティングオートメーション(MA)運用にむけては、ユーザーの興味関心にあわせて大量のコンテンツを用意していくことが、作業時間がとれずハードルになりがち。社内のスタッフを増やしたりアウトソーシングしたりするものの、なかなか思うようなものがあがってこなくて苦戦する(修正指示、チェックなどむしろ作業が増えている…)ことも多いのではないでしょうか。今回はそうした問題に対して、必ず行っておくべき「事前準備」をご紹介します。
一口にコンテンツといってもさまざまな種類がありますが、多くの企業で実践しているものといえば、その企業のノウハウが紹介された「ブログ記事」や「実績事例記事」でしょう。
特に、ブログ記事作成時によく起こるのが、依頼してあがってきた記事をみると文章としては読みやすいけれど、そもそもこの文章を対象としている読み手のレベルが自社のねらっていきたいターゲットではない…というケースです。
上記のケースであがってきたのは、業務効率化をいかに解決するか?というテーマでシステム運用支援サービスのことが書かれている記事。一見すると伝えたい内容は間違っていないのですが、業務効率化を解決するためにどういう解決方法が考えられるか?という課題意識を持って情報を探している人は、そもそもシステムそのものの導入を検討する段階の顧客(まだ自社サービスを検討する段階ではない顧客)が読み手となるため、自社のターゲットと少しズレてしまっています。
また、ターゲット(=読み手)にどれだけの知識・能力があるかがイメージできていないと、不必要に補足説明してしまったり…ということもあります。
これは記事作成を依頼する際に「自社が何を伝えたいか?」はきちんと伝えるものの、「伝えたい人はどんな人か?」を明確にして具体的に共有しきれていないがために起こってしまう状態です。届けたい相手がブレると、そもそも何のためにこの記事を用意するのかがわからなくなってしまいます。
コンテンツの作成を依頼する際に大事なのは、ターゲットはどんな人で、何に困っていて、その人たちをどうさせたいのか?を決めておくことです。つまり、コンテンツの要件を決めるということ。できる限り具体的に書くことが重要です。ポイントは「何を伝えたいか?」を考える前に、それらを決めるということ。コンテンツを届ける相手の設定が具体化されていないと、何に困っているのか課題も具体化されず、伝えることが変わってきます。冒頭で「事前準備」と書いたのはそういった理由があります。
ねらっていきたい顧客の役職、立場、ミッションを明記します。何を達成することが使命なのか。どうなればその人にとっての成果といえるのかを共有することで、その人がコンテンツをみるときの動機やモチベーション、切迫感をリアルにイメージしやすくなります。また、直面している課題に対してどれくらいの知識があり、どのような能力をもっているのか読み手のレベル感も共有して、記事内でどこまで詳しい説明が必要なのかを握り合っておくことも重要です。
①のミッションに対して、どういうハードルがあるのか。現在取り組んでいることはどんなネックがあるのか。普段その人がどんなに大変な思いをしているかを具体的に代弁できるレベルになれば、コンテンツの導入部分において「そうそう!そういう問題があるんだよ」という共感を得られるような引きの強い見出しやツカミが考えやすくなります。
また、②が明確になると「情報収集する際はどういうワードで検索するか」もイメージしやすくなるため、記事作成において何をキーワードとするかも検討しやすくなります。
最後に考えるのは、②の人をどんな状態に変化させたいのかです。「サイト内を回遊させる」「〇〇のページをみてもらう」「問い合わせをしてもらう」といったアクションをさせるために、どんな気持ちになってもらいたいのか。次にどんな疑問を抱かせたいのか…など。
コンテンツの内容は①〜③を明確にしてはじめて具体化されていきます。この記事を例にすると、以下の内容がコンテンツの要件になります。
コンテンツの要件をきめると、内容がターゲットに最適化され、成果につながりやすくなります。また、どんなコンテンツであればよいのか指標ができることで、どういう記事であればOKなのかが明快になりチェックもしやすくなります。さらに、
・修正のやりとりが何往復も起こる…ということを回避できる
・結果的に心理的負荷も軽減される
・複数の人間が携わってコンテンツをつくってもブレなくなる
・やみくもにコンテンツアイデアを出すより、制作効率がいい
・どうなってもらいたいかが具体的なので、成果指標が明確になる
といったメリットもあります。
コンテンツの要件を決めるにあたっては、カスタマージャーニーマップを作成すると自分の頭の中が整理され、随分と作業が楽になります。カスタマージャーニーマップとは、自社商品と顧客の目指すべき関係(=目標)を決めて、そこに至るまでの顧客体験・心境変化を描いたもの。各段階においてどのようなコンテンツが必要なのかが明確になるため、打つべき施策の全体像が把握でき、当該コンテンツがどのような立ち位置となるのかがクリアになります。コンテンツの準備がなかなかうまくいかないという方は、一度カスタマージャーニーマップを作成して、コンテンツの要件を整理してみてください。
CXデザイン部 次長
古本 真己ユーザーヒアリングを通じて、Web/冊子/動画などジャンルを問わずコンテンツの企画・構成・編集までを行うコンテンツ企画制作ディレクター。 近年はマーケティングファネル上の課題を抽出し、リード獲得からリード育成まで全体を俯瞰して戦略を立案、施策の実施、成果検証まで一貫して担当。PJT全体をプロデュースから運営・ディレクションまでを担うPMとして参画させていただくことが多いです。