2021年04月28日
新型コロナウイルス感染症拡大(COVID-19)の影響により、私たちの働き方は大きく変化しました。
テレワーク、在宅勤務、時差出勤といった新しい働き方が定着するなか、企業における営業活動も、従来の対面スタイルから非対面のオンライン営業へ大きくシフトしています。
しかし、「オンライン営業をどうやって始めればいいかわからない」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、オンライン営業への取り組みが初めての方でも理解が深まるように、オンライン営業の具体的な内容、メリットやデメリット、成功に導くためのコツや注意点を解説します。
具体的な改善方法を紹介しているので、自社のオンライン営業活動の改善にぜひこの記事をお役立てください。
オンライン営業とは、企業先へ直接訪問することなく、ウェブツールを使ってオンラインで営業を行う方法です。
対面コミュニケーションが回避され、ソーシャルディスタンスが必要な昨今において、オンライン営業のニーズが高まっています。
こちらでは、訪問型営業との違いや種類といった詳細を以下で説明します。
オンライン営業と訪問型営業では、顧客とのコンタクトの取り方は違えど、目的は変わりません。それは、顧客にヒアリングを行い問題解決案を提示し、自社の商品やサービスを購入してもらうことです。
しかし、その営業スタイルに大きな違いがあります。
まず従来の訪問型営業では、クライアント企業とアポを取って訪問し、製品説明や挨拶を通して顔見知りになることが営業活動の第一歩として重要視されていました。訪問型営業では「ノンバーバル・コミュニケーション」呼ばれる、言葉だけでは伝わりにくいクライアント企業の心理面や雰囲気を掴めるため、相手をより深く理解できるというメリットがあります。
一方で、移動時間や費用がかかるだけでなく、日中は外回りに出かけてデスクワークができず、定時後にプレゼン資料や報告書の作成などが後回しされ、残業時間が増えるというデメリットがあります。さらに、一日で回れる企業数は限られてくるので、営業活動の非効率性が問題として挙げられるでしょう。
その点、オンライン営業では効率よく商談が行えます。移動にかかるコストが削減され、1日にアプローチできる企業数の拡大が可能です。
その結果、リードタイムが短くなりスピード感を持って営業活動を実施できるようになるでしょう。さらに、海外のクライアント企業など、これまでアプローチが難しかった見込み客との商談機会を増やせるので、受注拡大も期待できます。
しかし、オンライン営業にはデメリットもあります。例えば、ウェブ会議ツールの操作を誤ったり、通信環境が不安定だったりすると、商談が途中で切れてしまう恐れがあるでしょう。
また、訪問型営業とは異なり、実際に顔を合わせていないので関係構築が難しいという弱点もあります。
オンライン営業には2種類あり、インバウンド型とアウトバウンド型があります。
インバウンド型のオンライン営業は、自社から何らかの情報発信をして、顧客からの問い合わせを待つ方法です。
例えば、顧客が興味のありそうなコンテンツをブログで定期的にアップしたり、これまで名刺交換をした相手にメルマガを送信したりします。
また、自社の製品やサービス説明、自社で培ったマーケティング戦略などをテーマにしたウェビナーを開催し、自社のファンを作ることも含まれるでしょう。そして自社に関心を持って連絡をしてきたリードに対して、オンライン商談をするのがインバウンド型営業です。
一方、アウトバウンド型のオンライン営業では、ターゲット企業が一覧になっている営業リストを作成し、テレアポでオンライン商談に持ち込みます。
どちらもオンライン商談に持ち込むことを目標としていますが、顧客が自主的に連絡をするか、それとも自社から積極的にアポを取りに行くか、という違いがあります。
営業DX推進に貢献する『ワンストップ支援メニュー』と『実績・事例』はこちら
コロナ禍で多くの企業がオンライン営業へ舵を切ったとはいえ、まだまだ移行できていない企業も多いでしょう。
中にはコロナ収束に期待を寄せ、オンライン営業へ本格的にシフトすることをためらっている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、コロナが起こる前に行われたある調査では、「BtoBビジネスの購買活動において、約60%は営業担当と出会う前に終わっている」と言われていました。さらに、コロナ収束後も新しい働き方が定着する可能性が高い点を踏まえると、今後、顧客の購買活動や商談活動のオンライン化はますます加速するはずです。
企業は、顧客の働き方や購買活動が変化している以上、自社の営業スタイルに『オンライン化』を取り入れざるを得ません。オンライン営業の環境整備は、もう待ったなしの状態です。
営業DX推進に貢献する『ワンストップ支援メニュー』と『実績・事例』はこちら
オンライン営業で失敗を回避するためのポイントを解説します。
まずは通信環境や機材整備を徹底して行いましょう。
安定してオンライン商談を実施するには、ITツールや通信環境が欠かせません。これがなければ、通話中に音声や画像が途切れてしまい、スムーズに商談ができなくなってしまいます。
従って、音声には電話回線を使い、映像はPCブラウザで行えるツールの導入をおすすめします。
オンライン営業では、小さなディスプレイからの情報のみ相手に届きます。相手に不快感を与えないよう、暗い場所を避けたり、下からのぞき込むようなカメラの角度を避けたりして、見え方も意識することが大切です。
音声も、カメラ内蔵のマイクに頼るのではなく、外付けのマイクをつけてクリアな声が届くよう配慮しましょう。
オンライン営業では、施策内容に対応したツール選びが重要です。何を目的としてオンライン営業をするのかによって導入ツールが変わるので、まず用途を明確にしましょう。
例えば、オンラインでリード獲得をしたいなら、MA(マーケティングオートメーション)ツールがおすすめです。ウェブ広告やランディングページなどからの新規リード獲得を行えます。
営業プロセスをオンライン上で管理したいなら、SFA(営業支援システム)の導入を検討します。顧客へのメール送信の自動化、案件管理など、営業活動に必要な情報をまとめて管理可能です。
さらに、顧客管理を効率的に行いたい場合はCRM(顧客管理システム)を使いましょう。顧客の現状を共有でき、信頼関係の構築に役立ちます。リードナーチャリングも実施でき、オンライン上でファンづくりが実現できます。
オンライン営業でも、訪問型と同じように雑談力が必要です。オンライン商談は効率的に行えるので、用件だけ伝えがちですが、それでは関係構築が難しくなります。
たとえオンラインであっても、担当者と顔を合わせて会話していることには変わりないので、関係づくりを意識しながら適度に雑談も加えるようにしましょう。
相手と向き合う姿勢を積極的に見せることで、商談も行いやすくなるので、合理的になり過ぎないようにするのが大切です。
オンライン営業では、通信環境によっては話すタイミングが難しいことがあります。お互いの発言が重なってしまって、商談を進めにくいと感じることもあるでしょう。また、カメラの位置で目線が合いにくく、意思疎通ができているかわかりにくいケースも見られます。
そのため、画面越しでも相手の様子を注意深く観察し、反応を見極める必要があります。商談を進めようと気持ちが焦り、スクリプトばかりを見て一方的に話してしまっては、相手に悪い印象を与えてしまいます。
積極的に話しかけて、発言に耳を傾けて対話するよう注意し、ビジネスチャンスを逃さないようにしましょう。
「オンライン営業の整備は必要だと理解できるが、何から始めればいいのかわからない」。そんな方は、まずは全体像をイメージしながら、以下で説明する3つのステップを行うことが大切です。
STEP1では、貴社の営業活動をデジタル化するための『計画立案』を、STEP2では、『コンテンツ企画制作』を行い、STEP3で、施策の『成果検証』を実施します。これがオンライン営業を推進する全体像です。
では、各ステップで具体的に行うべきことをみていきましょう。
まず、営業活動におけるターゲット像と受注・契約フローを明確にします。今さら…と思われるかもしれませんが、意外とあいまいな定義のまま営業活動を行っている企業は少なくありません。
また、時勢や市場に応じてターゲットのニーズや課題も少しずつ変化しているにもかかわらず、十分に議論することなく、個人のスキルや経験に基づいた営業スタイルを貫いている、という企業もあるようです。
オンライン営業を推進するにあたり、注力ターゲット像や受注・契約フローを改めて再整理してみましょう。これにより、後のコンテンツ計画の精度も高めることができます。
私たち大伸社ディライトでは、ターゲットの心理変化(パーセプションチェンジ)をベースにしたカスタマージャーニーマップの作成を推奨しています。
一般的なカスタマージャーニーマップが「顧客と自社のタッチポイントを整理しながら課題を洗い出す」のに対して、こちらはターゲットが契約に至るまでの心理変化(パーセプションチェンジ)を可視化することで、必要となるコンテンツを洗い出します。
カスタマージャーニーマップ内に、競合比較で”選ばれるために必要な施策(競合に勝つための視点)”も含まれていて、必要な施策を網羅的に設計できるのがポイントです。
カスタマージャーニーマップを作成すると、必然的に「コンテンツマップ」も出来上がります。併せて必要なコンテンツ制作を具体的にスケジュール化する「コンテンツスケジュール」や、受注・成約目標数から逆算したリード獲得数・お問合せ目標数といった「KPI設定」まで行えば、STEP1の「計画立案」は完了です。
<STEP1のまとめ>
STEP1のカスタマージャーニーマップで抽出したコンテンツについて、一つひとつ内容を具体化していきます。必要となる主なコンテンツ例は以下の通りです。
コンテンツ一つひとつの企画においては、「要件企画シート」を作成することをおすすめします。下記が要件企画シートの一例です。
記載する内容は以下のようになります。
要件企画シートを事前に制作しておくことで、「このコンテンツは、◎◎◎な心理状態のユーザーを、△△△な心理状態に変化させるためのもの。そのために、□□□な内容で構成すべき」と、そのコンテンツの目的と内容を関与者全員で共有することができます。
顧客の心理変化はSTEP1のカスタマージャーニーマップで定義済みですが、この企画要件シートに改めて記載することで、企画・制作の途中でコンテンツ内容がぶれてしまう事態を防ぎます。
また、コンテンツ一つひとつの企画と併せて、制作体制も整備する必要があります。
企画、執筆、資料作成、サイトページ制作など、役割ごとに担当を決めるケースや、一人が複数の役割を兼務するケース、外部の制作会社へ依頼するケース等、その体制はさまざまです。自社の人員やスキルと照らし合わせて検討しましょう。
体制が決まれば、それぞれの業務区分・フローも決めていきます。
ここまで決まれば、STEP2は完了です。
<STEP2のまとめ>
大伸社ディライトでは、新規コンテンツの企画立案から、既存コンテンツの改修を継続的にご支援する「運用型コンテンツ企画制作」というサービスを展開しております。
コンテンツ制作でお悩みの方は是非お問い合わせください。
STEP3ではこれまでに行った施策を検証し、計画に対する達成度を確認します。達成度を測る指標例として以下が考えられます。
どのコンテンツがリード獲得に寄与しているか、あるいは、どのコンテンツが想定ほど効果をあげていないのかについて検討しましょう。
月次で各数値を確認・分析しながら、施策の改修や新規コンテンツの追加、さらにはカスタマージャーニーマップのチューニングや、KPI設定の見直しを計画します。
従って、PDCAを継続的に回すことが、施策の精度を高める重要な鍵といえます。
しかし、「P=プラン」「D=実行」までは何とかやってみても、「C=チェック」「A=アクション」まで全然手が回らない、という企業が少なくありません。
自社内で実施できない場合は、専門とする会社に相談してみるのも1つの方法です。専門家の意見を取り入れながら、デジタル上で自社に有効な営業パターンを創出・強化することが重要です。
<STEP3のまとめ>
ただし、他社比較が容易でない製品やコンサルティングサービスなど、オンライン営業だけではクロージングが難しい製品・サービスもあります。
そのため、オンライン営業の計画・推進においては、まず自社の製品・サービスがこれに向くか否かを事前に精査しておきましょう。
営業DX推進に貢献する『ワンストップ支援メニュー』と『実績・事例』はこちら
訪問型営業からオンライン営業へと、営業活動のスタイルが変化しても、 顧客とのコミュニケーションにおける本質は変わりません。
オンライン営業をするための環境整備を、コロナ禍における急務な対策と捉え、自社のデジタルマーケティングを加速する機会としましょう。
つまり、これまでの広報活動の見直しや、プロジェクトの再検証・立て直しに活かすことが重要です。
「オンライン営業」に関する具体的な取り組みについては、こちらの資料で詳しくご紹介しているので、ぜひ参考にしてください!
WEBディレクター / コンテンツプランナー
横山 由美WEB上でのリード獲得や集客に向けたコンテンツ企画立案~制作ディレクションまでを担当。キーワード設計によるコンテンツSEOやコンテンツマーケティングなどが最近の主な担当案件です。WEB解析士/GAIQ 保有