デジタルマーケティング
2019年06月25日
2019年06月28日
BtoBでデジタルマーケティングの推進を担当されている方は、KPIを設定して効果計測し、定期的に成果を検証されているかと思います。多忙な中なんとか推進をしているものの、「KPIをとってはいるけど、ざっくりとしか計測できていない」、「コンテンツの効果がちゃんと測れていない気がする…」など、今の方法でいいのか不安になることがありませんか。今回は、成果検証に役立つサイト内コンテンツのKPI設定方法についてご紹介します。
デジタルマーケティングでサイトコンテンツが重要なことは分かっているし、KPIを立てて代表的なページの数値を定期的に確認している。ただ、これらの数値を見ることでコンテンツの質が上がっている、またはCVに貢献できているかと言うと、イマイチ手応えがない…。このようにBtoBサイトのコンテンツ運営でよくある失敗例の一つは、PV数・UU数などの増減のみを見ているケースです。PV数・UU数で各コンテンツ単体がよく読まれているかは分かりますが、行動を促せているかは分からないですよね。ではどんな指標を見ればいいのでしょうか。
BtoBにおいて顧客は、その場の思いつきで発注を決めるのではなく、入念に情報収集を行った上で社内稟議を通すためのロジックを用意してから発注することがほとんど。つまりデジタルマーケティングで成果を出すためには、理解・共感・比較検討・上申フォローといった具合に、ユーザー(見込客)の意識変容(=パーセプションチェンジ)とそれに伴う行動を段階的に促していくコンテンツの提供が必要です。そのため、コンテンツの効果を測るには段階の移行を裏付ける「遷移指標」を見る必要があるのです。
まず、ユーザー(見込客)のパーセプションチェンジと必要な施策を可視化したマーケティングの設計図、「施策設計型カスタマージャーニーマップ」の作成が必要です。そこに、各段階ごとに意識変容したことを客観的に証明する指標=遷移指標を立てて、目標数値(KPI)を設定します。
KPI設定ではよくツリー状に整理することが多いですが、どの施策でどれくらい意識変容させられているかが見えるカスタマージャーニーマップの活用が有効です。
サイトを見て欲しい人、つまり商品やサービスを購入してほしいターゲットユーザー像を、できるだけ具体的な人物像へ落とし込みます。そうすることでニーズを具体化でき、次のステップであるカスタマージャーニーマップ(CJM)に落とし込む精度が高くなります。
BtoBでは人物像まで落とし込む必要ないのでは?と思われるかもしれませんが、会社の業種、所属している部署、担当している仕事と抱えている課題、その人のパーソナリティや考えまで細かく落とし込みをした方が、より現実味のあるCJMにつながります。また、できれば自社の商品やサービスの種別ごとや、自社の部門ごとにそれぞれのターゲットユーザー像(ペルソナ)を作成することをおすすめします。結果として同じようなペルソナになることがありますが、作成のプロセスを踏むことで整理され、以後の進行がスムーズになります。
まずユーザーとの初めの接点から、ユーザーが自社にとって望ましい状態(たとえば発注や購入、入会など)に至るまでの段階的なパーセプションチェンジを考え、そのための施策(コンテンツの企画)を時系列に沿って一覧にまとめます。BtoBの場合は、ジャーニーの後半は営業による商談や提案になりますが、ゴールに至るまでの全行程が網羅されていれば、逆算で前半のサイトコンテンツのKPI数値をより高い精度で割り出すことができます。
そして段階ごとの施策(コンテンツの企画)に対して、ターゲットユーザーにどんな行動をとってもらいたいか、どんな行動をしたら目的を達成したといえるか、それぞれゴールを決めておきます。これが「遷移指標」になります。以下はその一例です。
・ブログAページ閲覧、Aからサービスページへの遷移
・サービスページ閲覧、サービス詳細資料ダウンロード
・ページCから問合せフォームへの遷移、フォーム送信完了
・メルマガからセミナーページへの遷移、セミナー申込みフォーム送信完了 など
KPIとは、KGIを達成するための中間目標で、KGIと同様に達成度合いを定量的に評価できるものでなければなりません。カスタマージャーニーマップの遷移指標に対して、サイトコンテンツに関わるページ閲覧数・遷移・フォーム送信完了などはGoogleアナリティクスのレポートから、問合せ内容・商談数・受注などは実際の集計データやSFAツールなどから、現状の数値を洗い出します。また、各段階ごとに次のステージへの遷移率も算出しておきます。そのうえで段階ごとにKGIにつながる重要な遷移指標を抽出して、KGIから遷移率で逆算をして、遷移指標に目標数値を設定します。
以上でKPI設定完了です。このように各段階の遷移指標をもとにKPIを設定しておけば、各コンテンツの目的に対する効果を計測することができます。
重要なのは、ターゲットユーザーをパーセプションチェンジさせるためのコンテンツ要件を可視化させておくこと。そのうえでコンテンツごとのKPIを設定する。遠回りにも思えますが、このように施策型カスターマージャーニーマップを作成した上で段階別にKPIを設定しておくと、今後コンテンツごとの効果を的確に計測可能となり、具体的な改善することができるので、結果としてデジタルマーケティングの成果導出につながります。成果がいまいち出ていないと感じたら、一度この手法でKPIを再設定してみてください。