デジタルマーケティング
2018年12月18日
2019年02月06日
近年、たいへん重要視されるようになったマーケティングオートメーション(MA)。これを導入することで、企業にはさまざまなメリットがもたらされます。
しかし、「マーケティングートメーションツールの導入で、失敗するわけにはいかない」「成功事例について、事前に知っておきたい」ということを考えている担当者も多いはずです。
本記事では、マーケティングオートメーションの定義や、期待できる効果を再確認できるように解説します。そして、マーケティングオートメーションツールの導入によって、多大な成果を挙げた成功事例を8選解説します。
マーケティングオートメーションツールの導入で失敗をしたくない企業担当者は、ぜひ参考にしてください。本記事を読めば、マーケティングオートメーションを成功に導く、重要なヒントが見つかるはずです。
マーケティングオートメーション(Marketing Automation)とは、直訳すると「マーケティングの自動化」で、企業のマーケティング活動で発生する定型業務を自動化したり効率化したりすることを指します。
主にマーケティングの向上や営業サポート、ひいてはビジネス上での成功を目的として用いられる手法です。マーケティングオートメーションは、マンパワーでは限界のあるマーケティングを自動化することで、効率的にマーケットや顧客を分析します。
そしてより重要なデータを正確に出力し、次の施策へつなげることが可能です。もちろんPDCAサイクルも改善され、継続的に高度なマーケティングが可能となります。
最近では、顧客の購買行動は分散化しており、まとまった予測や分析を打ち出すのが難しくなりました。これをアナログな手段で完璧に対処するのは、現実的ではありません。
よって顧客一人ひとりに合った施策を打ち出すような、緻密かつデジタルなマーケティング活動が必要とされています。そういった背景があり、マーケティングオートメーションが重要視されるようになりました。
マーケティングオートメーションで得られる効果については、一言で言えば「マーケティングが合理化され、成果につながりやすくなる」といったところです。それを具体的に解説するのなら、以下のような効果が期待できると言えるでしょう。
主だったところだけでも、マーケティングオートメーションについては上記のような効果が期待されています。もちろん、その効果を得られた成功事例も数多く存在しています。
マーケティングオートメーションを実現することで、プラスの成果を期待できるのがメリットです。むろん、それを実現するためのMAツールが注目されています。
もちろん、マーケティングオートメーションを導入しただけで、すべてが解決するわけではありません。それを有効に運用し、具体的な施策を立案、実行することが、最終的には重要となります。
マーケティングオートメーションの導入については、さまざまな成功事例があります。中には特定の数値が2倍、3倍になるなど、たいへん強烈な効果を得られたケースも。
今回は、マーケティングオートメーションの導入について、成功した事例を8つ解説します。自社での導入を考えているご担当者さまは参考にしてください。
画像出典:株式会社日立製作所
日立製作所は、電力やエネルギーをはじめとしたビジネスを展開するリーディングカンパニー。
同社は、デジタルトランスフォーメーションを提供する「Lumada(ルマーダ)」の運用を2016年にスタート。Lumadaは、あらゆるデータを活用し、クライアントとともに新しいエコシステムを築き上げる趣旨のサービスです。産業やエネルギー、あるいはヘルスケアなど、幅広い分野に対して、多様な価値を提供することを前提としています。
しかし、多様な分野に対して適切なサービスを提供するには、従来のマーケティングはフィットしていませんでした。特にデジタルマーケティングは万全ではなく、顧客行動についてはチャネルごとでのみ集計。つまり、顧客の一連の流れを把握してはいなかったのです。
同社は2018年、MAツール「Marketo Engage」の導入を決定。すると、次年度にはさまざまな変化を観測できるようになりました。
既存のコーポレートサイトでは、日立製作所の電化製品について、「型番」での検索流入が非常に多いことを看破。同社は電化製品の紹介ページを掲載し、UXを向上させました。
また営業部門に対して、Marketo Engageによるデータ解析のレポートを共有。同社はレポート作成のリソース消費に課題を感じていたようですが、導入後は効率化され、生産性が向上したと振り返っています。
その他にも、マーケティングオートメーションの導入によるナーチャリングやスコアリングが改善され、より効果的な営業活動が展開できるようになりました。
2019年以降、サービスの試行や導入が加速。それ以降もPDCAを回し、適切な送客を実現しています。
画像出典:株式会社アスマーク
株式会社アスマークは、リサーチやデータ解析を得意とするリサーチファームです。特にオンライン上での調査については、業界でも筆頭格として挙げられます。
株式会社アスマークは、きわめて優秀な営業部門を擁し、その力で業績向上と事業拡大を実現してきました。しかし、対面営業だけではその成果も限定されてしまうと判断。そこで、顧客データの分析に基づくマーケティングオートメーションの採用を考えます。
同社は最初、Google Analyticsなどのツールを使った手法の確立を目指しました。しかしGoogle Analyticsでは仕様上の限界があり、「コンバージョン前後の顧客動向」や「顧客の実名」について、ほとんど知ることができなかったのです。
最終的に同社は、MAツール「SATORI」を導入。同時に営業支援ツールも組み合わせ、新しいマーケティング体制の確立へと動き出します。そしてMAツールと営業支援ツールにより、顧客データと洗い出しを実施。
両ツールの連携運用が形になってからは、自社が有するありとあらゆる顧客情報を一元的に管理できるようになりました。さらに、「施策がどの顧客に対して効果を発揮したか」などの効果測定についても正確性が生まれています。
MAツールの導入から3年が経ったころには、同社のリードナーチャリングは相当に洗練されたものとなりました。現在では1年間の間でリード件数が2倍以上に伸び、すさまじい成果を獲得しています。
そのほか営業部門の生産性や、マーケティング部門の業務負荷も低減され、マーケティングオートメーションにおける効果がはっきりと出ています。また営業部門では、以前は100件に1件しか獲得できなかったアポイントメントが、「数件に1件の頻度で獲得できるようになる」という、大きな変化がありました。
株式会社アスマークのように、マーケティングオートメーションによって、数値の劇的な変化がもたらされることは決して珍しくありません。
画像出典:株式会社近畿日本ツーリスト
近畿日本ツーリストは、団体ツアーの旅行企画をメインとする企業です。同社ではBtoCはもとより、BtoB営業について、課題感を持っていました。
近畿日本ツーリストの場合、1,000人にもおよぶ営業スタッフがテレアポや対面営業を実施。もちろんこの手法について一定の成果は挙げられていましたが、リソース消費が激しく、また効率面でも改善の余地があったのです。
また、WEB経由でのツアー申し込みが増えて、既存の手法では対応できていない部分があったのです。したがって、デジタルマーケティングへの移行は、避けられない状態にありました。
近畿日本ツーリストは、マーケティングオートメーションの導入で、デジタルマーケティングの向上を求めます。そして、オラクル製「Oracle Eloqua」の導入を決定しました。
導入後、近畿日本ツーリストは、スコアリングやセグメント分けといった機能を活用。これにより、営業部門がどのリード顧客を優先すべきかが明らかになりました。
そして解析情報から、「それぞれの顧客において、どの程度興味を持っているか」も把握できるようになっています。さらに、自社ツールとOracle Eloquaの連携ができ、より利便性の高いデジタルマーケティングが達成されました。
画像出典:ランスタッド株式会社
海外企業にも、注目すべきマーケティングオートメーションでの成功事例があります。オランダのランスタッド社は、人材サービスにおいて世界第二位に位置する巨大企業です。
ランスタッド社においてはアウトバウンドマーケティングを得意としていました。このとき取られていた手法は、洗練されたものではありました。
一方でインバウンドの部分でも、大きな課題があったとのことです。たとえば、WEBサイトには莫大なアクセスがありました。しかし、検索順位などは望ましい状態ではなく、リード獲得やナーチャリングを進めるうえでは不十分な状態だったのです。
インバウンドにおける弱点を補強するため、ランスタッド社はMAツールを導入。インバウンドマーケティングの強化と、アウトバウンド依存からの脱却を図ります。
MAツールを導入後、ランスタッド社はLINEやチャットボットを展開し、顧客対応能力について増強。さらにWEB面談などのサービスを提供しました。
さらに、導線設計やコンテンツ配信についても精度を高め、リード獲得に向けて万全の体制を整えます。結果としてランスタッド社は自社WEBサイトからのリード顧客増加率を、実に4倍まで成長させました。さらに、アクセス数も年間1.5倍程度を計測。
同社は上記のような数値結果を踏まえ、インバウンド戦略における勝利を手にしました。この勝利は、同社の努力はもちろんとして、マーケティングオートメーションが貢献した部分も大きいと言えます。
画像引用:株式会社ヤプリ
株式会社ヤプリは、アプリケーションプラットフォーム「Yappli(ヤプリ)」を提供する、スマートデバイス特化のソフトウェアカンパニー。Yappliを主軸として、開発から運用、支援まで、アプリケーションに関する事業も幅広く展開しています。
ヤプリの事業は順調に成長し、Yappliについては500社以上が採用するほどのプロダクトとなりました。しかし事業が拡大するにつれ、同社は顧客獲得について、課題感を感じるようになります。
マーケティングオートメーション導入前は、広告やイベント開催、ウェビナーなどでメールアドレスを取得。そして、テレアポやダイレクトメールで接触するという手法を取っていました。
しかしこの体制においては、「リードナーチャリングの途上で離脱したリード顧客にアクションがない」状態で、常時新しいリード顧客の確保を迫られていたのです。
同社はこの状況を改善するため、リードの再育成について着手。Adobeが提供する「Marketo Engage」の導入へと動きました。
同時に、保有していたリードデータを整理し始めます。さらにリード情報の共有や分析といったフローについて、自動化しました。
すると導入してから半年ほどで、一度離脱したリードにアプローチし、商談の機会を創出するフローが確立されます。さらに自動化されたことで、インサイドセールス部門やマーケティング部門の業務が効率化され、さらに生産的な組織体制が構築されました。
同社の場合、Manage Engageのユーザーコミュニティも活用しています。トラブルシューティングや活用事例についてコミュニティ内から収集し、業務レベルへと落とし込んでいました。
このようにヤプリは、マーケティングオートメーションの導入により、リード再育成のシステム化と業務の効率化を成功させています。
画像出典:株式会社ネクサス・アールハウジング
株式会社ネクサス・アールハウジングは、不動産コンサルティングや住宅メンテナンスなど、不動産について幅広いサービスを提供している企業です。同社は、事例よりも前の段階で、MAツールと営業支援ツールを利用していました。
しかしMAツールと営業支援ツールに互換性がないことに、大きな問題を感じていた様子です。ツール同士が分断されていることは、そのまま営業部門とマーケティング部門において、情報が共有できていないという問題へ繋がっていました。
また、両ツールの担当者が目まぐるしく代わり、情報管理が複雑化。保有している情報を上手く活かせないという問題もありました。
さらに顧客の「問い合わせからコンバージョンに至るまでの行動を分析したい」という希望もありましたが、それにも具体的な手段が見出せなかったのとことです。
これらの問題についてソリューションを求めた同社は、マーケティングオートメーションの方式を刷新。カイロスマーケティング株式会社の「Cairos3」を導入し、問題解決へと動き始めました。
Cairos3を導入することで、従来の営業支援ツールとの互換性を獲得。両ツールの間で情報登録を実施し、営業部門とマーケティング部門が、ひとつの情報源を共有する体制へと変わり始めます。
さらに新しいマーケティングオートメーションへの理解を深めるため、マニュアルも作成。自社のスタッフが、ツールを使いこなせるように教育しました。
結果として同社では、営業部門とマーケティング部門が、共通したツールを利用するようになります。つまりマーケティング情報を共有できるようになり、両部門の連携が強化されました。
さらに顧客の挙動も、ツールによって細かく分析する体制が整います。現在は顧客の挙動を全体的に把握し、資料請求や問い合わせの獲得を向上させる試みもスタートしました。
また同社は、MAツールを選定するうえで「わかりやすさ」を意識していました。また、従来の営業支援ツールを同じような形で利用できる点も、導入を決定した要素だと振り返っています。
MAツールを選定するうえでは、同社のような観点を持つことも、重要となるかもしれません。社員がMAツールをきちんと使いこなせるように配慮することで、マーケティングオートメーションはより精度の高い手法となるはずです。
画像出典:株式会社JBMコンサルタント
株式会社JBMコンサルタントは、人材育成や研修などについて、トータルなサービスを提供している企業です。当初、同社はリード顧客の獲得について、組織内幹部からの紹介というルートを中心としていました。
しかし紹介から獲得できるリード顧客は限定的なもので、次第に枯渇しています。さらには顧客の予算も減少し、紹介やリピートによる顧客戦略には無理が生じていました。
また人材育成がサービスであるという背景から、対面営業が現実的でないという部分もあります。したがって、何かしらの方法で顧客を獲得する新しい戦略が必要だったのです。
この問題を解決するために、株式会社JBMコンサルタントは、マーケティングオートメーションの導入を決意。検討の結果、MAツール「List Finder」や人事ツール「HRプロ」での改善に取り組みます。
導入後、マーケティングと営業において、あらゆる変革がなされました。ホワイトペーパーやセミナーへの導線を設定し、多くのリードが集まるようなフローが構築されます。
そこに適切なタイミングで営業活動を展開することで、新しい顧客獲得の経路が成立しました。特にMAツールを活用し、確度の高いリード顧客を見出したうえで適切なアクションが取れるようになったことは、大きな変化でした。
新しい体制が完成してからは、営業機会や商談回数が大きく向上。株式会社JBMコンサルタントの営業売上が実に3倍まで向上するという、強烈な効果が生まれました。
また、営業の手法にも、大きな進化がもたらされています。MAツールによってすべての顧客の確度が上がり、モチベーションが向上。
さらに、顧客情報を参照し、事前にニーズや要望を把握するようになり、的確な営業提案ができるようになりました。
画像出典:株式会社ナシエルホールディングス
株式会社ナシエルホールディグスは、飲食店・小売店向けに、総合的な支援サービスを提供している企業です。同社はMAツール導入前に、「飲食業界における就職支援事業」についてソリューションを求めていました。この事業は、求職者を飲食店や小売店に、採用候補者として送り込むことがコンバージョンとなります。しかし、
といった点が、同事業において課題となっていました。同社は、カイロスマーケティング社製のMAツール、「Kairos3」の導入を決定。求職者と飲食店や小売店を結びつけるミッションについて、よりよい方法を模索し始めます。
株式会社ナシエルホールディングスは、「電話で接触する求職者を、就職への熱意が強い人物のみに絞るべきだ」と考えていました。なぜなら、絞り込んだほうが面談に至りやすく、無駄な架電も減らせるからです。
そこでKairos3を活用し、求職者の属性について分析。そして、属性ごとに適切なメールを配信する仕組みを作り上げました。
そこから、メールの反応やWEBサイトへのアクセスなどがあった顧客に絞って、電話でのアクションを実施。すると、今まで課題となっていた面談の実現率が、およそ50%向上しました。
導入を経て同社は、求職者を、安定して飲食店や小売店へつなげるルートを確保。MAツールによって、同社は新しい展開を迎えました。
さらに、ロストした求職者を確保する方法も確立します。MAツールによって、保有しているリストをもとに、メールで再アプローチすることが可能となりました。
そして電話でコミュニケーションを取り、コンバージョンまで到達するようになったのです。以前はこの点について広告費を投入するなどしていましたが、現在ではこういった点には頼ることなく面談回数を増やしています。
マーケティングオートメーションの運用課題は、企業ごとで異なります。特に担当者はその渦中にあり、課題の特定が難しいと感じている部分もあるはずです。
その課題を当社クライアントや一般的に聞かれる話をもとに分類するのなら、上記5点となります。
それぞれについて下記で詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
第一に、「自社のマーケティング活動における目的・目標が定まっていない」という課題が挙げられます。目的・目標が確定していない状態では、自社や関係部門は、取るべき行動を選択できません。
ゴール(KGI)がなければ中間指標(KPI)すら、確認できなくなります。今現在の施策で何が有効で、何が効果を発揮していないかも把握できません。
そうすると、具体的な成果を得るのは難しくなるはずです。そして“運用すること”自体が目的化してしまいます。したがってマーケティングオートメーションを実施する場合、目的や目標はなんなのか、きちんと定めることが重要だと言えます。
マーケティングオートメーションでは、「運用体制が整備されていない」という課題も散見されます。具体的には、運用体制や責任区分・役割を明確していない状態で、マーケティングオートメーションが始まってしまうということです。
企業の業種・業態にもよりますが、マーケティングオート―ションの運用には、サイト担当者やシステム部のスタッフなどを、適切な形でえアサインするケースが一般的です。
しかし、これには通常のサイト更新やシステムの保守業務といった範疇を超えた幅広いスキルと知識が求められます。未経験のスタッフだけですぐに対応・運用できるものではありません。
ただ、こういったスキルや知識を有する人材のポジショニングは、容易ではないのも事実です。したがって運用体制が不十分な状態で、マーケティングオートメーションを開始してしまうことがあります。
マーケティングオートメーションで、あらゆる効果が期待できるのは、成功事例でも実証されています。しかし、準備ができていなければ、その効果は正しく得られません。
シナリオ設計は、見込み客の育成(リードナーチャリング)やリードの創出(リードクオリフィケーション)において、必要不可欠なステップです。しかしシナリオ設計にはマーケティング関するナレッジが必要であり、取り組みのハードルが高い側面もあります。
とはいえ、シナリオ設計がないと、状態の異なる見込み客すべてに画一的なアプローチを続けてしまうことになりかねません。これでは、営業が期待する「商談につながりやすい質の良いリード」育成にはつながりづらい部分も出てきます。
シナリオ設計については、時間やリソースを費やしてでも、じっくりと検討することが重要です。
マーケティングオートメーションの運用が始まってから、「コンテンツが圧倒的に足りない」と気付くケースもあります。
リード育成には、メールやブログ、ホワイトペーパーなど、さまざまなコンテンツが必要です。しかし、「予想をはるかに上回るコンテンツが必要になり、運用に負荷がかかっている」という声は、本当によく聞かれます。
また、シナリオ設計に基づき、見込み客の状態にあわせた各種コンテンツを用意していくわけですが、ただ量産すればよいという訳ではありません。むしろ量より質が重要であり、常に『今の見込み客が抱えているはずの課題に対して、解決策やヒントとなるコンテンツ』を用意する必要があります。
加えて、これらを継続して制作し続けなければいけません。この点も、マーケティングオートメーションの運用ハードルとなります。運用が始まる前に、どれだけコンテンツを作り出せるのか、ある程度見通しを立てることも必要です。
マーケティングオートメーションは、PDCAサイクルを回転させることが重要です。しかし、それが実現できていないケースも少なくありません。
など、PDCAサイクルが滞る原因は多岐にわたります。しかし理由は何であれ、PDCAサイクルを意識せず、その他の施策や計画を実行しても、マーケティングオートメーションは効果を発揮しません。
目的の達成に向けて、マーケテイングオートメーションをスムーズに運用していくためには、先に述べたような課題を解決する必要があります。自社に当てはまる課題は何かを押さえたうえで、以下の運用ポイントを確認してみましょう。
第一に、「達成したいマーケティングゴール」を明確に決定しましょう。企業やプロジェクトにより、設定すべきマーケティングゴールは異なります。例えば、最終的な商談場面で営業が対応するBtoBでは、「商談化に向けた高確度のリードを創出する」などが、ゴールになります。
この場合、「営業へホットリードを月〇件送客する」といった具体的な数値目標を決め、これをマーケティングゴールとします。また、マーケティングゴールが設定されることで、中間指標(KPI)として確認すべき数値も定めることが可能です。
したがって、マーケティング施策全体の改善がスムーズになり、進捗も把握しやすくなります。
マーケティングオートメーションの運用には、さまざまな人材のポジショニングが必要です。具体的に、
などが挙げられます。それぞれ必要となる人材とポジショニングを理解したうえで、自社ではどのような体制作りが可能かを検討することが重要です。
自社にリソースが足りない場合は、外部パートナーをスタッフィングする方法もあります。マーケティングオートメーションでは、さまざまなナレッジが必要です。
マーケティングオートメーションでの取り組みといえば、ビジネスに即したマーケティング戦略の立案やゴール定義に始まり、リード育成フローの設計や各種コンテンツ運用などが挙げられます。しかしいずれの場面でも、一連の推進には専門的な知見が求められます。
当社クライアントも、外部パートナーと連携しているケースが大半です。専門的な視点や意見、アイデアや技術を取り入れることで、継続的かつ安定した運用を実現しています。
加えて、内製化には担当者の人事異動や退職といったリスクも伴います。回避しがたい事態に備える意味でも、外部パートナーとの連携は有効です。
以下の記事では、スムーズな運用に不可欠な役割のご紹介や体制づくりのポイント、業種・企業規模の異なる3社の運用体制事例を掲載しています。こちらもあわせてご覧ください。
見込み客を具体的にイメージし、人物(ペルソナ)の行動に合わせたシナリオを設計します。
この際、マーケティングオートメーションに実装するためのカスタマージャニーマップやリードナーチャリング施策を設計すると、より高いマーケティング成果を狙うことが可能です。
作成したカスタマージャニーマップに基づき、以下のような視点でリード育成を目的としたシナリオを設計します。
リード育成を担うシナリオ設計は、マーケティングオートメーションによる成果を得るうえで、重要な工程です。顧客と対面する営業の知見もしっかりと取り入れながら、商談化に貢献できるシナリオ設計が必要となります。
以下の記事では、リード定義やスコアリング設定の例を挙げ、リード育成の重要点となる『リードナーチャリング』についてご紹介しています。
続いて、リード育成を支えるコンテンツの企画へと移ります。コンテンツは、マーケティング施策を支える主要な要素のひとつです。
具体的には
などが主なツールとなります。もちろん、たった一つのコンテンツがあればよい、というわけではありません。各シナリオごとに対応した、複数のコンテンツが必要になります。
コンテンツの内容としては、「ユーザーの課題を解決できる、役立つ情報」であることが基本です。ユーザーのニーズから外れて、サービス紹介・製品紹介に終始することがないよう注意しなければいけません。
また、スムーズなコンテンツ作成は、運用体制の構築とも関係します。コンテンツマネージャーを頂点とし、メールマガジンやブログ、メディアなど、各担当者で役割を分散することで、計画的かつ継続的なコンテンツ制作を目指すことが可能です。
コンテンツマネージャーは企画の立案やスケジュールなど、運用の全体をマネジメントし、スムーズなコンテンツ運用の実現を総括的に支えます。このようにして、継続的に優良なコンテンツを送り出し、ユーザーに的確な回答を提供し続けることが重要です。
以下の記事では、ホワイトペーパーの作成パターンやアウトソーシングにおける事前準備のポイントをご紹介しています。こちらもあわせてご覧ください。
最終的には、やはりPDCAサイクルの循環に到達し、そしてゴール達成を目指すこととなります。定期的に施策の効果を振り返り、現状の把握と目標の達成度、目標に近づけるための改善案の抽出を行います。
この段階においてもっとも重要なのは、設定されたゴールに対する達成率です。達成率が予定どおりなら、引き続き施策をすればよいとわかります。
未達成だったとしても、慌てる必要はありません。達成率とともにゴール達成の中間指標であるKPI達成率を参照します。
それに基づき、たとえば「設計したシナリオ通りに見込み客が行動しているか」「メールの開封率やクリック率、ブログ経由の集客数など提供したコンテンツへの反応はどうか」をチェックします。期待した結果が得られていない場合は、読み取れる数値や動向から仮説を立て、再度のシナリオ作成が必要です。またその結果を定期的にチェックし、同じように改善します。
このPDCAサイクルと繰り返すことでゴール(成果)へ近づいていくことが可能です。
マーケティングオートメーション(MA)で狙って成果を生むには、先に述べた5つの運用ポイントをすべて網羅することが重要です。とはいえ、すべて網羅できているケースは、相当に限られます。
もし、現時点で実施できていない運用ポイントが多数あるのなら、ひとまず「マーケティングゴールの設定」を必ず行うことが重要です。自社で現在進行中の計画を再確認しながら、今もっともネックとなっている項目があれば改善、またはまったく対応できていない項目があれば、速やかに着手します。
ただし、運用ポイントを複数見落とした状態から、特に短期間で立て直すのは容易ではありません。仮に可能だったとしても、運用負荷が大きく、やや難しいハードルだと言えます。
大伸社ディライトでは、マーケティングオートメーション(MA)運用における戦略策定からコンテンツ制作、リード育成まで幅広くご支援いたします。「いろいろ課題があって、どこから着手すべき?」という方も、一度ご相談ください。クライアントの状況(課題、計画、体制)に応じた最適なサポートをご提案いたします。
WEBディレクター / コンテンツプランナー
横山 由美WEB上でのリード獲得や集客に向けたコンテンツ企画立案~制作ディレクションまでを担当。キーワード設計によるコンテンツSEOやコンテンツマーケティングなどが最近の主な担当案件です。WEB解析士/GAIQ 保有