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マーケティングオートメーション活用の落とし穴とは【対談記事 #2】大伸社ディライト顧問 小川共和氏 × 執行役員 矢谷直彦

2019年10月04日

どんなコンテンツがあれば集客につながるのか。どう改善していけばよりCVが獲得できるのか。マーケティング担当者にとって「コンテンツ」にまつわる悩みは避けては通れないもの。そこで元 株式会社マルケト顧問であり弊社顧問である小川共和氏と執行役員矢谷が、市況や実務経験をふまえ、今マーケティングで成果を出すためのコンテンツとは?をテーマに対談を行いました。

右)小川 共和
元電通本社マーケティングソリューション局次長・電通イーマーケティングワン(現電通デジタル)専務取締役、現マーケティングコンサルティングの小川事務所代表、元マルケト顧問、現大伸社ディライト顧問。自著に「マーケティングオートメーションに落とせるカスタマージャーニーの書き方(クロスメディア・マーケティング社)」。

左)矢谷 直彦
大伸社ディライト 執行役員
クライアントのマーケティング活動実践・推進を支援、一貫してマーケティング/営業に携わる。1994年〜大手通信販売会社にて自社新規客獲得~育成、LTVに基づくCRM戦略立案~PDCAを担当。2000年〜提案側へ転身。ITソフト開発ベンダー、外資系コンサルティング、ビジネス系Webサイト構築事業支援会社を経て、2008年より大伸社、2017年2月より現役職。

前回は、顧客心理の変化を促すコンテンツをつくり、その効果検証を通じて成果を出していくことが今後求められていく、という話がありましたが、今回はその実現のために多くの企業が検討しているであろう「マーケティングオートメーションの活用」が話題にのぼりました。

マーケティングオートメーション導入における真っ赤な嘘

矢谷:最近は多くの企業がどんどんデジタルシフトしていて、今後はマーケティングオートメーションの活用も活性化していくと思います。当社でも小川顧問とのお付き合いが始まる直前にSATORIを導入して、その後、2018年の11月にマルケトに変えたのですが、当時はなかなか大変でした(笑)

小川:マーケティングオートメーションを活用している企業で、導入当初に自分たちが期待していたような成果を出せているところはほとんどないように思いますね。

矢谷:我々自身もクライアントのご支援もできたら……と思っているのですが、何が一番ネックになっているのでしょうか?

小川:マルケトにせよSATORIにせよ、まず私がマズいなと思っているのは「このツールさえ入れれば夢のような成果が向こうからやってくる」と思っているような印象があることです。あれは真っ赤な嘘で、ベンダー側としては「私達は単にツールを提供するだけで、マーケティングのお手伝いはしませんよ」というスタンスでしかないのです。

矢谷:ただのツールに過ぎないので、企業側がそれをちゃんと使いこなせないと(=マーケティングを行わないと)、成果が出なくて当たり前ということですよね。道具を渡されただけってことになりますから。

小川:導入するクライアント側もベンダー任せではいけません。昔ながらの伝統的なマーケティングからマスターしろとは言わないですが、正しくマーケティングをするためには、最低限の勉強は必要です。マーケティングオートメーションというのはあくまでツールで、道具は道具にすぎなくて、実際にマーケティング施策を考え、実践するのは自分たちなのです。

矢谷:でも、それができている企業はそう多くないのが実情ですよね。特にBtoBの会社だと、今まで営業の片隅でカタログをやっていた人が突然新しいツールを渡されたというような感覚なので、頭がマーケティングになっていないことが多いというか…。

小川:やはり企業側もマーケティングというものに対する認識が甘いんじゃないかなと思いますね。

ぶち当たるコンテンツの壁

小川:さらには、コンテンツに対する認識の甘さを感じます。実際にマーケティングオートメーションをやりだすと途方もない数のコンテンツが必要になるという、当たり前のことをみんな忘れているんです。

矢谷:マーケティングオートメーションは、One to Oneマーケティングの考え方(=相手の興味・関心・理解度に応じて一人ひとり打ち手を変える)」がベースにあるので、相当量のコンテンツが必要なのに、そこまではしっかり考えずに導入するという…。

小川:そう。いざ導入したら“骨格はできたけど中身はない”という状態になっちゃうんですよね。コンテンツをちゃんと作っていく体制とかを何も考えないままとりあえずツールだけ導入したところで、成果がでるわけがないんです。

矢谷:“骨格はできたけど中身はない”という話でいうと、Webサイトリニューアルのお声がけがあった際に、担当者の更新の手間を増やしたくないといった運用面での観点から、オリエン要件に「CMSを提案してほしい」と書かれていることが多いですが、具体的なコンテンツ計画が描けていないケースは多いように思います。

小川:「Webサイトをつくりたい」「CMSを入れたい」という仕組みの話がどうしても先行してしまいがちですよね。

矢谷:「CMSを入れるからこっちで自由にできるんでしょう?」って感じで話は進んでいくんですが、結局リニューアルしたあと事例記事やらニュースやらの更新コンテンツを継続しているかというと、仕組みは整ったけどどんなコンテンツを入れればいいのかわからない…という状況がしばしばありまして。

小川:なるほど。これが、マーケティングオートメーションともなると、さらに大量のコンテンツが必要になりますからね。そういう意味で、コンテンツの壁にぶち当たっている企業は多いと思います。

アメリカと日本で異なるマーケティングの社内事情

小川:これはマーケティングオートメーションに限ったことではなくて、古くは20世紀の頃からIT会社が「データベースマーケティング」とか「CRM」とか言い出したせいでもあるんですよ。

矢谷:「データベース作りませんか?」「CRMシステムを導入しませんか?」って、システムから入ってましたね。

小川:でもそれらを使えるマーケターがいなかったので、完全に宝の持ち腐れになりました。データベースやCRMシステムを導入したところで、やっていることはただの顧客管理でしたから。

矢谷:それだと、マーケティングとして正しく機能しないですよね…。そういったツールがマーケティングの道具として正しく使われ始めたのはいつ頃からなんでしょう?

小川:最初に言い出してから10年ぐらいはかかったんじゃないでしょうか。マーケターが育ってきてから、それらをマーケティングの道具として使えるようになってきました。その意味では、マーケティングオートメーションという新しい道具も、本当に使いこなせるようになるまでにはそれぐらいの時間がかかるのだろうと思います。

矢谷:使える技量がまだ備わっていないのに、とりあえずツールだけを導入してしまうんですね。

小川:やはり、ツールを提供する側もさんざん煽りますから、それに乗せられて導入しちゃうんです。特に「これからはこんな時代で、今やらないと出遅れますよ」って煽られると、どう使えばよいのかもわからないまま導入してしまうケースが多くなってしまいます。

矢谷:なるほど…。IT業界ではツールが先行していてマーケターがついてこないから、ツールがただの容れ物になっていると。

小川:これはもう、毎度のパターンなんです。日本の場合は特にそうですね。

矢谷:“日本の場合は”、ですか?

小川:はい。例えばアメリカなんかはそうでもありません。ITツールを使える人がCEO(最高経営責任者)やらCMO(最高マーケティング責任者)として複数の企業を転々とするので。日本の場合は企業内でマーケティング担当者が決まっているので、その人が昔ながらのマーケティングをやっていると新しいことが全く入ってきません。

矢谷:たしかにそうですね。しかも大企業ではマーケティングをやっている人が、営業に移ったり、人事に移ったりしますし、特定の何かの専門家になるという発想ではないですよね。

小川:日本では、総合職としてその会社のいろんなことを経験します。終身雇用制で人の入れ替わりもそう多くはありません。一方、アメリカの場合はマーケター自身がどんどん新しいことに取り組み、さらにそのマーケターがどんどん企業を変わっていくので、ツールを使える人がどんどん育っていくんです。日本とは全く仕組みが違います。

矢谷:そうすると、日本の企業の場合は自社でやるよりも、専門家にアウトソーシングするのが有効かもしれませんね。

小川さん:はい。ツールベンダーのサポートにプラスオンするかたちで、マーケティングの考え方や、ツールを使う上で最低限必要な考え方などを提供していく存在が必要です。

矢谷:マーケティングの目的は、パーセプションチェンジでもありますが、我々がそのプロセスを重点的に担っていくことを考えています。コンテンツもエンドユーザーの態度変容を促すものをアウトプットしないといけません。

小川:そうですね。企業内では専門家がなかなか育たないというのが日本の企業の風土ですから、アメリカだったら自社でやることも、日本の場合は外部に協力を依頼したほうが良いしょう。マーケティングオートメーションもそうですけど、社内外問わず、ひとつのプロジェクトとして推進していかないと成果を出すのは難しいように思います。それが日本の企業に合った導入のかたちなのだと思います。

(対談記事#3「今、マーケターに求められる視点とは」に続く)

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