デジタルマーケティング
2019年09月21日
2021年02月26日
ウェブ解析ツール、マーケティングオートメーションツール、CRMツール等を見ると、顧客の行動が実に良く分かります。お金かけて調査しなければ顧客の行動が良く理解出来なかったかつての伝統的マスマーケティング時代とは大違いです。しかしここに一つの落とし穴があります。
見えている数字ばかり見てしまい、見えてない存在や動きを顧みなくなることです。見えてない存在とは競争相手です。上記ツールには競争相手の存在や動きは全く見えないのです。その結果、マーケティングを顧客と自社の関係だけで捉えるという過ちを犯します。
マーケティングしているのは自社だけではありません。同じ顧客を巡って何とか自社を選ばせようと競争相手と客の奪い合いをしているのです。競争相手の存在を常に意識して、どうすれば競争相手を出し抜けるか、どうすれば競争相手でなく自社を選んでもらえるのか考えなければ臨む成果は得られないのです。
競争戦略はマーケティング戦略の一つです。「どの競争相手と戦い、どう勝つか」を考えるのが競争戦略です。
そもそも一言でマーケティング戦略と言ってもターゲット戦略、セグメンテーション戦略、ポジショニング戦略、ブランド戦略、商品戦略、価格戦略、チャネル戦略、プロモーション戦略、広告戦略、CRM戦略等沢山ありますが、その中で特に「競争相手にどう勝つか」に焦点を置いたのが競争戦略です。
数多くの理論がありますが、頻繁に登場するのが(コスト)リーダー戦略、差別化戦略、ニッチ戦略、追随戦略です。自社の現在の相対的ポジションや強みとなるリソース等から競争相手との戦い方を考えます。ここで紹介するのも一つの考え方です。
皆さん、誰かと戦わなければならない事態になった時、最初に何を考えますか?
それは「相手は自分より強い相手か、弱い相手か?」ではありませんか?
なぜなら相手が強い相手か弱い相手かで戦い方が変わるからです。
自分の方が強く相手が弱い場合、自身の強みをふんだんに使って油断なく戦えば勝てる可能性は高いと言えます。総合力でも優っていることが多いため、相手がどこから攻めてきても対応出来るようにしておきます。
相手の方が強い時は、漫然と戦っても勝ち目はないため、隙となる相手の弱みや、「他はともかくここだけは勝てる」という自身の強みをギリギリまで考え、そこに全精力を集中投入して勝負をかけます。チャンスとリソースの尖鋭化が求められます。
競争戦略を考える上で、まず最初に意識しなければならないのは、自社は果たして「強者の競争戦略を取るのか」「弱者の競争戦略と取るのか」を見極めることです。
「マーケティングの失敗の80%は自社の競争力の過大評価に由来する」という経験則があります。自社の力を冷静に、客観的に理解し、間違っても弱者なのに強者の戦略を取る愚は避けなければなりません。実際にはかなり多く見られる失敗ですが。
強者とは必ずしも売上や市場シェアNo1とは限りません。最強のブランド力保持者、人気No1も強者です。またまだ市場参入しておらず実績ゼロでも圧倒的リソース(技術力・開発力・財務力・販売力・マーケティング力等)を持って先行企業を一気に凌駕出来る企業も強者です。No2はそれ以下に対しては強者ですが、No1に対しては弱者です。
強者は、自らのアドバンテージをフルに使い、油断なく隙なく全方位、総合力で勝つのが戦略です。100点満点で100点はなくても良いのですが、全科目80点以上が必要です。一教科でも60点があれば、何としてでも80点を目指します。弱みは作らないのが強者の戦略です。
マーケティングの教科書にはリーダー戦略と一括りにされることが多いと思いますが、私は3つの戦略があると思っています。
存在感の大きさで勝負するマインドシェア戦略、どの選択基準で考えても合格点でかつ安いというコストリーダーシップ戦略、そして弱者の挑戦を勢いがつく前に叩き潰すモグラたたき戦略です。
強者以外は全て弱者です。ということは圧倒的多くの企業・事業者は弱者であり、必然的に弱者の競争戦略を取らなければならないのです。
No2であってもNo1に対しては弱者の戦略が必要です。今までNo1であっても新規ビジネスに参入する場合は大抵弱者になります。
自社の強みの先鋭化とリソースの集中投入が基本スタンスですが、強者のミニ版をして価格を安くすれば小さな成功は得られます。
具体的には、今までの商品との違いとそれによる新たな価値の提唱で強者に挑戦する差別化戦略、大きな市場は諦めて特化された小さな市場でのNo1、オンリー1を狙うニッチ戦略、重要な選択要因の中で一つだけ一番を狙う一点突破戦略、それに強者をミニ版をやりかつ安くする追随戦略があります。
下記より強者の戦略、弱者の戦略に関してまとめた『競争戦略』の概要資料をダウンロードできますので、ぜひご一読ください。
また、強者の具体的競争戦略・弱者の具体的競争戦略については下記ページにて詳しく説明しております。
「強者の具体的競争戦略、弱者の具体的競争戦略」