デジタルマーケティング
2019年05月10日
2019年06月25日
コンテンツマーケティングを運用している皆さん。
KGI・KPIは設定していますよね?
BtoBサイトのKGIは『案件相談』『見込み客からのお問い合わせ』等ビジネスリードの獲得を目標としているケースが大半です。
一方、この中間指標であるKPIはというと、各社さまざまで幅があります。中にはサイトのセッション数やユーザー数といった基本指標しかKPI設定できていない企業もあり、この場合、基本指標から具体的な改善策を導き出すのは難しいでしょう。
今回は、成果につながるコンテンツマーケティング運用のカギとなる『KPI設定の正しい考え方とポイント』についてご紹介。現状のKPIがサイトの基本指標のみという方や、そもそもKPIをキチンと設定できていないという方は、ぜひ参考にしてみてください!
有効なKPI設定について考える前に、改めてKGI・KPIの意味をおさらいしてみます。
■KGI:
KGIとは重要目標達成指標です。
Key Goal Indicatorの略称で、組織やチームで設定した最終的な目標そのものである「最終ゴール」を指します。そのため、BtoBのサイト運用においては『見込み客獲得』『お問い合わせ』などがKGIとなります。
■KPI:
KPIとはKey Performance Indicators(重要業績評価指標)の略称です。
組織やチームで設定した最終的な目標(=KGI)を達成するための過程を計測・評価する指標をいいます。
KGI・KPIとも数値化できることがポイントです。
抽象的な目標ではメンバー・社員が成果を実感できないため、計測できる数値目標とします。
KGIとKPIを視覚的にイメージすると、以下のようになります。
KGIの配下に位置するのがKPIです。
施策や取り組み規模によっては、KPIの下にさらにその活動の指標となるKPIが連なるケースもあり、その位置関係が木のように見えることから『KPIツリー』とも呼ばれています。
では、ビジネスに貢献するKPIはどう設定すればよいのでしょう?
ポイントは『KGIから逆算して考える』です。以下、例を挙げて説明します。
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【某BtoBサイトにおけるKGI】
●期間:1年間
●指標:サイト経由のお問い合わせ獲得
●数値:120件(※前年比20件アップ)
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この場合、KGIは『サイト経由のお問い合わせ 120件』です。
1年半前からコンテンツマーケティングに取り組み定期的にコンテンツを公開していることもあり、サイト訪問数は徐々に増加。これに伴いユニークユーザー数、ページビュー数等も着実に増えています。しかし、集客強化には一定の効果が見られるものの、肝心のサイトゴールである『お問い合わせ(CV)』数はあまり増えておらず、これが運用における現状の課題です。
現状分析の視点をKPI設定に活かす
適切なKPI設定を行うために、まずサイトの現状を分析し、改善率の高いポイントを見つけましょう。
ユーザーがお問い合わせに至る経路のうち、KGIへの貢献度が高いコンテンツ・ページを抽出、この部分を強化することで設定すべきKPIが明確になります。
具体的には以下のようなイメージです。
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【例:強化ポイントKPI】
■セミナー申込数:13%【KPI:+3%】
⇒ 前年10%を3%UPの13%目標に設定
■資料ダウンロード数:18%【KPI:+3%】
⇒ 前年15%を3%UPの18%目標に
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BtoBビジネスでは「商材が比較的高額」「関与者が多岐にわたる」「検討期間が長い」といった特性があります。
そのため、BtoBのコンテンツマーケティング運用においては集客に寄与するコンテンツ(ブログ・SNS等)とともに、関係維持・強化に役立つコンテンツ(資料・セミナー・見積依頼・メルマガ購読等)の量と質が重要なポイントになります。これらに対する各種ユーザーアクション(ダウンロード・申し込み等)は、サイト上の最終コンバージョン(KGI)の手前にある“小さなコンバージョン”であるケースが少なくありません。
実際、当社でもセミナー申し込みや資料ダウンロードは“小さなコンバージョン”扱いとしKPIに設定しており、この数値動向をもとに次の改善案を議論しています。
KGI達成の障害となっていそうなボトルネックを探して改善するのも有効な策です。
例えば、ページビューはすごく多いのにフォームの通過率が良くない資料ダウンロードページがある場合、「この資料に興味関心を抱くユーザーは多いものの、現在のページ内容では納得・理解できずダウンロードには至らない」という仮説が立ちます。
この資料がどのようなユーザーに必要とされており、どんな課題解決に役立つかを今以上に分かりやすく説明する等、情報設計自体を見直すことでフォーム通過率が上向く可能性があります。
まずは現状のフォーム通過率を確認し、今年中に何%アップすべきかを決めましょう。これが新しいKPIとなります。後は達成に向けて改善案を出し実行あるのみです。
KGIから逆算して考えるKPIの設計方法とあわせて、以下、設定にあたり何点か気を付けてほしいポイントをご紹介します。
現在KPIを設定している場合は、これら視点からも一度チェックしてみてください。
■数値化できるKPIであること:
冒頭でも少し触れましたが、KPIは数値目標とします。
ただし、数値であれば何でも良いわけではありません。
例えば「セミナーの申し込みを増やしたいから、メルマガを今までの2倍配信する」はKPIの設定数値としてはNGです。2倍配信することは具体的な施策であり、このケースでは「メルマガ経由のセミナー申し込み率を現在の〇〇%から〇〇%へアップする」などがKPI設定となります。
■施策とリンクしたKPIであること:
KPIは必ず取り組み施策とリンクした数値目標とします。
例えば、集客施策を行っていないのに「セッション数を〇〇%にする」というKPIを設定しても意味がありません。この状態では集計を続けても、セッション数が増える目途はないでしょう。
KGIは必ず1つですが、KPIは何個か設定していることが多いため、中には施策とリンクしていないKPIが含まれていることがあります。
この機会に一度確認してみましょう。
■KPIは柔軟に再定義しよう:
期間中、KGIを見直すことは稀ですが、KPIは施策結果と照らし合わせて柔軟に再定義できます。
コンテンツマーケティング以外にもサイトにまつわるデジタル施策を行っている場合(例えばマーケティングオートメーションを使ったリード育成等)、この動向や変化に左右され思わぬ結果が生まれるケースがあります。
こういった事態も含め、定期的に施策に対するKPIの動向を確認しながら、適宜、軌道修正することで、よりKGI達成へ貢献するKPIを設定することができるはずです。
KGIをブレイクダウンしたKPIを設定することで、具体的なサイト改善施策案も考えやすくなり、結果としてKGI達成に近づいていきます。上記例を参考に一度、自社サイトのKGIから逆算しながら、KPI設定と具体的な改善策を考えてみてください。
いきなり多くの改善策に着手するのは難しいと思います。
まずはひとつパフォーマンスが高そうな施策に取り組むことで、効果的なKPI設計と改善サイクルを回してみる。そんな最初の一歩を踏み出してみましょう!
WEBディレクター / コンテンツプランナー
横山 由美WEB上でのリード獲得や集客に向けたコンテンツ企画立案~制作ディレクションまでを担当。キーワード設計によるコンテンツSEOやコンテンツマーケティングなどが最近の主な担当案件です。WEB解析士/GAIQ 保有