デジタルマーケティング
2021年02月26日
2021年03月22日
競争戦略を考える上で、最初に考えるのが自身は強者として競争に臨むのか弱者として臨むのかです。
「競争戦略立案の必要性と概要」についてはこちら
ここでは強者、弱者の具体的戦略とその有効性についてお話します。
最初な強者の戦略です。マーケティングの教科書にはリーダー戦略と一括りにされることが多いと思いますが、以下3つがあると思っています。
「〇〇と言えばやっぱり□□だよね」という存在感の大きさで他社を圧倒する戦略。市場シェアNo1なら黙っていてもこの戦略は可能ですが、広告の露出量で意識的に存在感を創り出すことも可能です。「〇〇なら□□を選んどけば間違いなさそう」と比較検討させずに選ばせます。
「皆が知ってる商品を選んでおけば間違いない」「沢山商品があり過ぎて選ぶのが面倒。最初に思い浮かぶものから当たってみるか」といった客の心理を突く戦略です。
*マインドシェアとは「○○(商品カテゴリー名)と言えばあなたはどんな商品(銘柄)名を思い出しますか?」と質問した時に、最初に答えるもの。純粋想起のうち最初のもの
文字通り他社より安い価格で提供する戦略。ただし商品の価値が低いため安いのでは、単なる安物の安売りとなり強者にはなれません。いろいろな選択要因で選んでも合格点を取れる商品としての魅力があることが前提となります(最高点である必要はない)。
スケールメリットがないと難しいので、大企業が取れる戦略です。
現時点でのアドバンテージを生かして挑戦者の挑戦を勢いがつく前に潰し続ける戦略。
強者と言えどいつまでも安泰とは言えないので、プライドをかなぐり捨ててでも挑戦する弱者を叩きます。えげつない戦い方ですが、実際は良く行われています。多くの人が目にする広告やイベントでは王者のように悠然と振舞うが、営業最前線では完膚なきまでに弱者を叩くといった二枚舌を使うこともあります。
競争相手との力の差がある時に有効で、拮抗すると相手の強い反撃を受けるのであまりやりません。また叩く側も無傷ではいられず、失うものも大きいことがあるので、「このまま手をこまねいていれば負けてしまう。地位を逆転されてしまう」という切羽詰まった時以外はためらうことがあります。
次に弱者の戦略です。
強者以外は全て弱者です。ということは圧倒的多くの企業・事業者は弱者であり、必然的に弱者の競争戦略を取らなければならないのです。No2であってもNo1に対しては弱者の戦略が必要です。自社の強みの先鋭化とリソースの集中投入が基本スタンスですが、強者のミニ版をして価格を安くすれば小さな成功は得られます。
「今までの商品とここが違う」と違いを強調し、その違いに価値を認めてもらうことで選んでもらう戦略。成功すると強者弱者逆転すら起きるインパクトの強い戦略です。
「違いを知覚か理解することが出来」「その違いに今までにない価値を客が感じる」ことが必要条件です。これがないと空振りします。弱者の中でも比較的強い弱者、No2、No3等が取ることが多い戦略ですが、稀に強者が行うこともあります。
市場のボリュームゾーンを狙っても強い競争相手がひしめいていて成功の道筋が見えない時、少数の特定の客だけに狙いを定めた戦略。限られた人向けの特別なニーズを満たす商品、特定の趣味・嗜好の人向けの商品となります。その小さな市場ではNo1、Only1を目指します。
伝統的マスマーケティングではなかなか成功出来なかったが、デジタルマーケティングによって各段に成功しやすくなった戦略です。ロングテールが可能になり、また少数のターゲットでもグーグルの検索エンジンが探してきてくれるようになったからです。
差別化は今までにない違う価値を提唱することが多いのに対して、こちらは既に重要な選択要因になっているものの一つに焦点を当てて、その一点だけではNo1になることを目指す戦略。多くの場合一つの選択要因を強化すると別の選択要因は逆に弱くなるといった二律背反になることが多いので、この戦略の実現にはマーケティングの力だけでなく技術開発力が必須です。
以上は自らの強みを先鋭化させ、そこにリソースを集中することで自らの勝機をつかみ取る戦略です。
1~3と違い、強みの先鋭化は行わず、市場の平均的大多数のニーズに合わせます。言わば強者と同じようなことを小さなスケールで行います。客から積極的に支持・選択される理由はないので、価格を安くするしかありません。「何となく周りの皆を同じようなことをやり、かつ安くする」戦略です。
市場が成長している時、需要に供給が追い付かない時はローリスク・ローリターンの成功が可能です。逆に市場が成熟・衰退し始めると途端に立脚点を失い、厳しい価格競争の中で存続が難しくなります。
これらの戦略をもう少し詳しく知りたい方、それぞれの有効性だけでなく、逆にリスクについても知りたい方は以下の資料をご覧下さい。