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競争戦略の具体的施策への落し込み

2021年03月31日

競争戦略を立てた後はそれを具体的施策に落とし込む必要があります。ここではデジタルマーケティングへの落し込みをやってみましょう。デジタルマーケティングによって成功可能性が大幅にアップしたニッチ戦略を例に行いましょう。

地方にあるある温泉街を題材にしてみます。地元の県民以外名前も聞いたことがない温泉街だとしましょう。地元県民のリピーターだけで商売が出来ればそれに越したことはありませんが、近年国内宿泊者数減少傾向をまともにかぶり、それだけでは先細りになるのは避けられません。

新機軸を打ち出し、今まで取り込めなかった新規顧客を取り込めなければ明日はありません。
当然弱者の競争戦略が必要になります。

 

【1】ユニークさの抽出

美しい山並みや素朴な田舎風景、地元では名物の滝や野菜、紅葉のきれいな渓流がありパンフレットやウェブサイトで紹介はしていますが、同じような観光地は日本に星の数程あります。名前を変えれば地方のどの温泉街でも通用しそうなパンフレットやウェブサイトです。当然新たな客がこの温泉街を選ぶ理由にはなりません。

しかしこの温泉街には一つユニークな特徴があります。温泉が強酸性なのです。強酸性の度合いはPH値で示されますが、日本でも5本指に入る程の数値なのです。このユニークな特徴を核にニッチ戦略を立てましょう。

そもそも皆さんは温泉街を選ぶ時何を基準に選びますか?人気の観光地であること?美しい自然風景?情緒豊かな街並み?周辺観光の魅力?お宿自体の魅力?値段の安さ?・・・・・それで他の温泉街より優れていればチャンスは十分あります。(自称「優れている」ではダメです。客から見て「確かに優れている」と思われなければ)

お湯が強酸性か否かで選ぶことは普通ありませんよね?従って100人のうち99人には選ばれないのです。最初から棄てます。すなわち強酸性であるか否かに関心がある100人のうち1人にだけ狙いを絞らなければなりません。これがニッチ戦略です。

では、温泉が強酸性であることに魅力を感じてくれる客とは一体どんな人なのでしょうか?それはニキビに悩む人、水虫に悩む人、皮膚疾患に悩む人、アトピー性皮膚炎に悩む人、切り傷を早く治したい人等です。強酸性の温泉には強い殺菌効果があるためです。私も本の紙の端で指を切った時、一晩温泉に浸かっただけで目に見えて治りました。一晩でも効果が実感できるくらいですから、昔の湯治のように何日も浸かれば分かりやすい効果が得られます。

逆に刺激が強すぎるため肌がデリケートな人、高齢者・子供には向きません。生理中の女性もやめた方が良いでしょう。「肌がすべすべになり美肌効果」等というのは真逆のアルカリ性温泉です。日本の温泉の大半はアルカリ性~中性で、こちらが平均的大多数の客になります。

【2】検索ワードの選定とコンテンツ開発

ターゲットは当然前述の効果を期待する少数派の客になります。それ以外の客にアピールしても選んでもらえる可能性はないでしょう。最初に考えるのは検索ワードです。

「強酸性 温泉(480)」「切り傷を治す(1300)」「アトピー 温泉(1000)」「ニキビ 温泉(140)」「水虫 温泉(210)」(キーワードプランナーの検索ボリューム))等を狙います。「ニキビ(110.000)」「水虫(110.000)」だと大きすぎ、他の解決策の前に埋没してしまうので、温泉による解決の認識を少しでも持っている人を対象にした方が勝算が高いでしょう。

検索ワードによるターゲット規定は以下の2軸で考えるのが良いと思います。

ニッチ戦略の場合は、検索ボリュームが少ない検索ワードで表示順位1位、最低でも1ページ目を狙います。何でもかんでも「とにかく検索ボリュームの多い検索ワードを狙うべし」というのはニッチ戦略には不適です。温泉街を探している客の平均的大多数の目に留まっても選ばれる可能性はほぼないからです。100人のうち99人を最初から諦め、たった1人に照準を定めて狙うのがニッチ戦略です。

当然「強酸性 温泉」等の検索ワードに対応するコンテンツは質も数も徹底的に充実させます。ボリュームの大きな検索ワードを棄てた分、狙った検索ワードではコンテンツNo1を目指します。SEO/コンテンツマーケティングによる施策が柱となるでしょう。

薬機法というものがあり、「当温泉に入ると切り傷が早く治ります」とは直接謳えません。あくまで記事風コンテンツとして強酸性温泉の一般的効果として語ります。ブログ形式でも良いでしょう。権威ある医学博士が強酸性温泉の効用を解説するようなコンテンツも非常に有効です。

リピーターとなっている顧客の声も非常に強い効果を発揮します。「私はちょっとアトピー体質なので温泉はここと決めている」「水虫になったら私はここに行くことにしている」といった満足の声をウェブサイトに乗せましょう。Youtube動画コンテンツならなお良いでしょう。同じような悩みをもった人への拡散効果が期待出来ます。薬機法的にはグレイですが、ひるんでいてはいけません。

ただし実際にこのようなコンテンツをウェブサイトに展開することに観光地として抵抗感があることも事実です。「安らぎ」「癒し」「和み」を提供する温泉街にしては「病院みたい」「薬臭そう」というイメージは嬉しくないためです。しかし私はそれでもやるべきだと思います。それはウェブサイトというものに臨む客の心理にあります。

ウェブサイトに臨む客の心理は一言で言えば「知りたいことを手っ取り早く知りたい」です。「私は今こんな情報が欲しい」という欲求に一直線で、ウェブサイトの世界観やイメージは大抵目もくれません。ウェブサイトを観光ポスターのように自身の美しい自画像として捉えていると(これは観光地、またはウェブサイトのデザイナーの自己満足です)集客という一番大事な役割を果たせなくなります。ニッチ戦略のように「100人のうち1人の特別なニーズを抱いた客を集客する」弱者の戦略を取っている以上、他の要素は犠牲にしてでも「この希少な1人と出会えること」に全リソースを集中すべきです。

 

【3】比較サイトでの紹介

別の施策として「比較サイトでの紹介を狙う」というものもあります。ニッチ戦略なのでそもそもあまり競争相手がいない市場を狙うのですが、それでもやはり競争相手は存在することが多いでしょう。そんな時、訪問者の多い比較サイトで「お奨めの強酸性温泉5選」として紹介されると大きな集客力を発揮します。自分の住んでいる家から遠くない所にある温泉だとしたら選んでもらえる可能性が高いでしょう。

草津温泉や蔵王温泉のように誰でも知っている人気の温泉なら黙っていても比較サイトに紹介されます。強酸性という点では全国一と言われる秋田の玉川温泉も紹介されるでしょう。残り2席を巡って熾烈な戦いが行われるとします。ここで他の競争戦略ブログでも紹介した競争戦略の戦略シート、競合比較表を作成します。

※競合比較表の書き方を知りたい方はこちら

自身の温泉街であるCが「お奨め5選」に選ばれるには草津、蔵王、玉川を当確として、A~Dの中から二つです。ユニークさを狙えるとしたら「源泉の景観」「湧出量」でしょうか。「全国一二を争う迫力の湧出量と見る者を震撼させる圧巻の源泉光景」をユニークさとします。

「圧巻の源泉光景で選ぶならC」と紹介してもらうため、観光協会の公式ウェブサイトでもここを徹底的に訴求します。勿論比較サイト側の情報収集の基盤となる基本的情報も記載します。比較サイトを運営している事業者も一番参考にするのは各温泉街観光協会の公式ウェブサイトなのです。ピンポイントでバナー広告を表示できるならその比較サイトへの広告出稿もありです。

 

【4】ニッチ戦略の施策への落し込み方法のまとめ

以上、ニッチ戦略の具体的施策への落し込みを地方温泉街を題材にご紹介してきました。日本の地方の観光地の90%以上は間違いなく弱者です。そして近隣リピーターだけで商売出来ている幸運な観光地を除くと、国内宿泊者数減少傾向という市場トレンドを前にして新しい顧客を開拓出来ないと尻すぼみは確定です。存続すら危ういでしょう。インバウンド頼みもコロナで崩れ去ったと言って良いと思います。

それを救う救世主がデジタルマーケティング、それも現代の出会いの神様「グーグルの検索エンジン」の力をフルに借りたデジタルマーケティングです。その恩恵を最も効果的に享受出来る戦略がニッチ戦略です。どんな小さな市場、どんな少数の客であっても検索ワードを決めコンテンツを充実させればグーグルの検索エンジンがその客との出会いを創出してくれるのです。

最後にニッチ戦略の施策への落し込みのポイントをまとめてみます。

1.自身のユニークな特徴を洗い出す。
 ⇒なかなか見つからなかった時は客、特にリピート客にリピート理由を訊いてみる。

2.そのユニークな特徴を客にとっての価値に置き換える。
 ⇒平均的大多数ではなく、特別な少数の人にとっての価値で良い。

3.価値を感じてくれる希少な客を思い描く。
 ⇒可能ならペルソナ化してみる。

4.その客が検索しそうな検索ワードを考える。
 ⇒検索ボリュームが小さくても構わない。

5.その検索ワードで検索してみて上位表示されているウェブサイトを研究する。
 ⇒それらを凌駕するにはどんなコンテンツが必要か考える。

6.その検索ワードに対応してコンテンツの質と数でNo1を目指す。
 ⇒表示順位No1を目指す。

7.比較サイトで紹介されているか確認。
 ⇒比較サイトの方針を研究し、公式ウェブサイトを更に強化。

8.集客数が不足ならリスティング等の広告を行う。
 ⇒ピンポイントで狙えるならバナー広告でも良い。

9.買ってくれた顧客との関係を継続。
 ⇒メールやLINE、またはコミュニティーで対話を継続。体験談も掲載。

10.極少数でも熱烈なファンに育成。
 ⇒アンバサダーとして共に成長し、新規顧客獲得にも協力してもらう。

ニッチ戦略以外の競争戦略の施策への落とし込みを知りたい方はこちらの資料をご覧ください。
競合比較表の作成事例をもっと見たいという方はこちらからどうぞ。

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