コンテンツ制作
2016年12月27日
2017年06月09日
コンパクトな時間で多くの情報を受け手に伝えられることや、テキストや画像では伝わらない情感を訴える手法として動画は大変有効です。また10代のスマートフォンでの動画視聴をほぼ毎日行う方は40%を超えており、メインのターゲットが若年層である大学や専門学校にとっても動画コンテンツは無視できない状態となっています。※参考 オンライン動画の視聴実態に関するアンケート調査:スイッチメディアラボただ有効な手段と知っていながらも、本当に動画を制作するべきか、どういった内容発信するべきかで悩んでいる広報・入試担当者様は多いのでは無いでしょうか?今回は高校生や専門学校生に向けて大学の魅力を上手く伝えている学校の動画コンテンツを3つのパターンから事例と共に紹介しながら、広報戦略と密接に結びつけるためのポイントをご紹介いたします!
若年層のネット上での行動パターンは多様ですが、大学や専門学校と若年層の情報接点には主に下記のような流れが想定されます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ソーシャルメディアで目的無くタイムラインを見る(流し読み状態)
↓
友人シェアしている内容を見る、TL上で目に留まった特徴のあるコンテンツを見る
↓
コンテンツに記載あるリンクへ移行、概要情報を取得(具体的な情報を求めていない状態)
↓
再度サイト訪問。具体的な情報を得るための本格検討(目的を持ったサイト流入)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この流れを想定すると、下記のようなポイントで各事例が発信されます。
パターン1:空き時間での情報取得に合わせたコンパクトな内容で接点を増やす
立教大学:タイムラプス動画
明治学院:オープンキャンパス動画
若年層(10代)の80%以上が利用しているソーシャルメディアを活用し、学生視点からの情報を面白く発信している例です。タイムライン上で流し読みをしても気に留めやすいギミックと、コンパクトな情報が特徴です。
SNS上での動画試聴は動画視聴が目的ではないため10秒~1分以内のコンパクトさが適切です。
(最近ではGIF動画やVine、24時間以内で投稿したコンテンツが消える【Instagram】のストーリーなどが若年層の間でも活発に使用されています)
パターン2:見る人に共感を与えるストーリーを構成し、共感を持って頂く
摂南大学:プロモーションムービー
パターン1で興味を持つと、次のアクションとして想定されるのは『要はどういった事が学べるのか・何が強みなのか・将来どんな自分になれるのか』といった概要的な情報収集です(ここでは研究や具体的な学びには注目していません)。ポイントは大学視点ではなく、入学者が大学での学びを通して成長する姿をストーリーで見せていくことです。学生と共同で企画を立案し、学生視点から将来をイメージ頂けるような動画を制作している学校もあります。
パターン3:顕在ユーザー(比較検討タイミング)に対して、より大学の研究内容や情報を伝えていく
東洋大学:動画で見るWeb体験授業
ある程度認知度もある大学でもそこから選んで頂くための工夫を凝らしています。見込度の高い学生や遠方の学生に入学前から大学での学びや研究の理解を促進させるための、Web講義動画を会員制で見られるようにしたり、教授のインタビュー動画を高校生ようにかみ砕いたコンテンツなど、具体的な大学の中身が分かる動画を継続的に発信しています。
動画視聴が当たり前になり、手軽な値段で誰でも制作出来るようになったため、色んな場所に動画コンテンツは溢れかえっています。そのため『とりあえず動画が見られるだろう』といった考えでは、確実に埋もれてしまいますし、投資対効果の悪い施策となってしまいます(クオリティを上げるとなるとそれなりの費用もかかります)。
そのため上記のポイントを踏まえながら、『その情報が動画である必要があるのか、どこで・どのように発信すれば成果が出せるのか』といった部分まで掘り下げることで、動画を作ることが目的といった状態には陥らない、有効な広報戦略の手段として動画を活用することが出来ます。
上記に主要なパターンを挙げましたが、目的が異なるため手法や内容もバラバラです。共通して重要なのは、『誰に知って頂き、どうなってもらいたいのか(どんな行動をとってもらいたいのか)を』明確にすることです。学生へ絞った動画コンテンツなのか、それとも入試広報に繋げたいがまずは大学全体のコンセプトや考え方を知ってもらいたいのか、それとも比較検討段階にある質の高い学生に対して入学前からコンテンツでの理解を深めて頂くのかなど、明確なターゲットと目標を持ちましょう。
ターゲットと目標を立てていたはずなのに、失敗することがよくあります。その原因はコンパクトな動画や連続的な動画を企画が必要であるため、ネタがない・作ることに注力しすぎて動画を一体どこに掲載したらいいのか分からず、とりあえずサイト中やyoutubeチャンネルへ格納したが、とりあえず閲覧数しか見ていない、といった事になります。
そのため、戦略から考え、その動画によってどのような効果が見込めると考えているのか、その動画も含めて最終ゴールはどこなのか(何をKPIと置くのか)といった部分まで深く導出することが重要です。(そうすれば動画の掲載先も『そこである理由』が導出できます)
例:ストーリー仕立てのコンテンツはオープンキャンパス参加や志願検討の際の後押しとなるので、広告とセットでランディングページの中へ埋め込み、時期ごとの流入数と動画再生回数とページ経由からのコンバージョンを図っていく。
上記のポイントと順番に並べると下記の様になります。
1.自分達の大学のターゲットが具体的にのネット上でどういった行動パターンを取っているのかの考察、ボトルネックの導出
2.導出したボトルネックに対して動画が果たして有効な手段であるのかの考察、動画で達成したい目標の設定(認知拡大のために視聴回数までを追うのか、動画や動画が掲載されているコンテンツ経由でのCVまで目標数値としておっていくのか)
3.動画の周辺にある施策も勘案し、一連のユーザーの行動パターンに合わせた流れが出来ているのか?(広告→動画コンテンツ→資料請求・イベントへの参加など)
4.リリース前に見込んでいた成果が出せているのか(出せていない場合どこに問題があるのかを考察し、改善施策の導出)
動画もWebサイトと同様、発信して終わりではありません、その効果や継続的な発信計画なども必要に応じて立てながら、最適な広報戦略の手段として発信していきましょう!
コンサルタント
荻田 勝也デジタルマーケティング領域における戦略策定から施策実行までのプロジェクトマネジメントを担当。 ビジネス成果の貢献に向けて、既存の枠に捉われない新たな枠組みや仕掛けを考え・実現していきます!