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「採用がうまくいかない」の本当の理由─中堅BtoB企業がいま見直すべき採用戦略とブランド設計

2025年05月21日更新

「うちは悪くないのに、なぜ応募が来ない?」
中堅BtoB企業の経営者や人事担当者から、よくこんな声を耳にします。

・「待遇も決して悪くない」
・「社内の雰囲気もいい」
・「製品にも誇りを持っている」
それなのに、新卒・中途を問わず、採用活動は思うように進まず、苦戦を強いられている。なぜなのでしょうか?
その理由は、決して「会社の魅力が足りないから」ではありません。“伝わっていない”ことが最大の問題なのです。
そして、その根底には、「採用をブランディング視点で設計していない」という構造的な課題があります。

「知られていない」という最大の採用ハードル

知られていない企業は「検討すらされない」
中堅BtoB企業の多くは、消費者との直接接点が少ないため、学生や転職者の間での認知が極めて低いのが現実です。
たとえ業界内では名の知れた存在であっても、就活生や転職市場では「聞いたことがない企業」としてスルーされてしまいます。
特に、新卒採用では「知っている会社かどうか」で説明会参加の有無が決まりがちです。
求人票の内容以前に、“ブランド露出の時点で勝負がついている”のです。

知名度だけで負けていないか?
一方で、応募者が比較対象にするのは「同じ業界の企業」ではなく、「知っている有名企業」です。
「なぜこの会社に?」と聞かれ、「名前を知っていたから」と答える学生は、決して少なくありません。
つまり、実力や魅力で勝負する以前に、“検討候補にすら入れてもらえていない”というのが多くの中堅企業の実情なのです。

「どんな人に来てほしいのか」があいまいでは伝わらない

「いい人がいたら採りたい」という言葉は、採用現場でよく聞きます。ですが、「いい人」とはどんな人でしょう?
企業にとって「いい人材」とは、“自社の事業や文化にフィットし、貢献してくれる人材”のはずです。

採用ペルソナを描けていますか?
ブランディングの第一歩は、「誰に届けたいか」を明確にすること。採用でも同じです。

例えば、
・新卒採用なら: モノづくりに関心があり、大企業よりも裁量のある環境で働きたい学生
・中途採用なら: 事業会社で腰を据えて専門性を活かしたい、変化を楽しめる柔軟な人材
こうした具体的な人材像(ペルソナ)を描くことで、発信内容や使用チャネルの設計が初めて“ターゲット目線”になります。

「この人に来てほしい」が明確だからこそ、届く採用へ

採用は「求職者に選ばれるもの」ですが、その前提として、
企業側が“どんな人に来てほしいのか”を明確に定義し、意思を持って発信することが必要です。
この姿勢が曖昧なままでは、求人票も採用ページも“誰に向けて書かれたのか分からない情報”になってしまいます。
採用成功企業は例外なく、求める人物像を細かく定めています。

例えば、
・「大企業ではなく中堅企業で裁量を持って働きたい人」
・「BtoB製造業に関心があり、地に足のついたキャリアを築きたい人」
・「成長意欲があり、会社と一緒に学びながら価値を生み出したい人」

このような具体的なペルソナをもとに、発信する内容・言葉遣い・使用チャネルを設計することで、
自社と相性のよい人材に届く確率が圧倒的に高まります。
「誰でもいいから応募してほしい」ではなく、「あなたのような人に来てほしい」と、
しっかりと伝えられる状態を作ることが、ブランディング視点での採用設計の出発点です。

「採用」は、マーケティングである

採用において、求職者は「一人の消費者」です。企業の価値を感じ、自分の未来を想像し、応募するかどうかを決めています。
このプロセスは、まさにマーケティングと同じ構造。
「誰に」「何を」「どう伝えるか」が、すべてのカギを握っているのです。

 採用ブランドを“設計”しているか?
採用ブランドとは、「この会社で働くことの意味」を伝える価値提案です。
大企業と比べたとき、たしかに給与や知名度では勝てないかもしれません。

ですが、中堅企業には

・若手でも裁量がある
・上層部との距離が近く、風通しがよい
・やりがいが可視化されやすい
など、“中堅ならではの魅力”があります。
それを抽象的な言葉ではなく、言語化・可視化・発信していくことが、「採用ブランディング」の第一歩です。

 採用体験も“ブランド体験”
説明会、選考、面談、内定後フォロー──
そのすべてが、候補者にとっての「ブランド体験」です。

例えば、
・応募後のメールが丁寧か
・面接で自社の価値を語れているか
・内定後の不安に寄り添えているか

これらを“設計し、仕組み化”することで、「なんとなく辞退される」現象を減らすことができます。

ブランドで惹きつける、4つの実践施策

1. 社員ストーリーを発信する
社員インタビューや1日密着動画は、「この会社で働くリアル」を伝える最強のツールです。
特に新卒層には、「自分と年齢が近い社員の姿」がもっとも響きます。

2. 経営層のビジョンを明文化・発信する
「どんな未来を描いている会社か」「なぜこの人材が必要なのか」をトップ自ら語ることで、共感の軸が生まれます。

3. オウンドメディアやSNSの活用
Instagramで社内の風景を発信したり、noteで社内報を連載するなど、「日常の中にある企業の魅力」を外部に伝える習慣が重要です。

4. 説明会・面接のUXを設計する
Zoomでも対面でも、「この会社はちょっと違う」と思ってもらうには、体験設計がカギです。
スライドだけで説明を終えるのではなく、社員との交流や、実際の業務に触れる要素を取り入れることで、納得感ある採用プロセスが実現します。

おわりに─採用は“選ばれる技術”である

中堅BtoB企業にとって、採用は経営そのものです。

そして、現代の採用市場では、“いい会社だから来てもらえる”時代は終わりました。
これからは、“どれだけ魅力が伝わるか、共感をつくれるか”の勝負です。
私たち大伸社ディライトは、これまで数多くの企業ブランディングや採用支援に携わってきました。
単なる採用施策ではなく、企業の成長を支える“採用戦略設計”に関心のある方は、ぜひご相談ください。

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山本 大輔

ビジネスコンサルティング部 部長

山本 大輔

BtoB企業、教育機関のブランディング・マーケティング支援に従事。上流の戦略策定からコアバリュー定義、リード獲得・育成の仕組み構築の伴走支援が得意。

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