デジタルマーケティング
2018年04月12日
2023年09月20日
顧客のビジネスにワクワクと喜びを届けるためには、自分たちがワクワクしていないと始まりません。
今回は自分たちがワクワクするために行っている社内プロジェクトにフォーカスを当て、表には出ない社内プロジェクトの舞台裏『Delight Story』をお伝えし、プロジェクト推進の参考に頂ければと考えています。
2023年4月、大幅にリニューアルされた大伸社ディライトのコーポレートサイト。 構想からじっくり時間をかけて100名規模のスタッフを巻き込み、リニューアルのために動いたプロジェクトチームにインタビューを行いました。
そもそもは、2018年にリニューアルされてから手が加えられていなかった採用サイトを強化していたことから始まります。経営企画本部 次長・渡邉学さんが採用サイトに映像を取り入れるなど改善を図っていたなかで、「コーポレートサイトも変えていったら良いのではないか」と、代表から渡邉さんに提言がありました。
当時、会社の顔ともなるコーポレートサイトのTOPページには、自社の強みが表現されていないという問題点がありました。また、サービスページやブログ、事例ページに統一性がないことや、運営の管理体制が確立できていなかったことも課題に。クリエイティブの会社にも関わらず洗練さが足りないという代表からの指摘も追い風となり、今回のリニューアルに踏み切ったのだと言います。
そこで、全体の進行管理を渡邉さんが担い、コミュニケーションデザイン部 次長・福井大樹さん、プランナー/コピーライター・菊永淳朗さん、デザイナー・千原麻衣子さんがクリエイティブ面を担当。コンサルタント・荻田勝也さんが中心となって、サイトリニューアルに向けてプロジェクトが動き出します。
荻田さんは次のように振り返ります。
「新卒で入社して9年弱になるのですが会社の良いところも悪いところも見えてきて。会社を変えていきたいと思うようになっていたところだったんです。そんななか、新入社員や中途採用の社員が増えたこともあり、改めてサイトを通じて我々ってこういう会社なんだと、社員一同が感じられる場所にしたいと思いました。でも一人ではうまくいかないため、福井に話せばなんとかなるだろうと相談しました。中途採用で入社した菊永も、違う視点の意見があるだろうとチームに入ってもらって会議をしました」。
加えて菊永さんは、「年齢の違いだったり、中途採用や新卒といった視点の違いのバリエーションを生み出すために、デザイナーであり、かつ女性で新入社員だった千原さんがメンバーに抜擢されたんです。そういったチームバランスも結構大事にしていましたね」と話します。
そんな中心メンバーの荻田さんは、RFP(提案依頼書)を担当。2021年12月から下準備をはじめ、アクセス数などを分析。数字化による課題を明確化、構想を練り始めます。
課題解決のためのポイントとして挙げられたのは、1つ目は大伸社ディライトを体現するために、『クリエイティブ×マーケティング』を感じさせるデザインへの変更。2つ目は、オウンドメディア型サイトを目指し、情報設計の見直しをすること。そして3つ目は、継続的なコンテンツ運営を行うために、『人』にフォーカスを当てた運営にシフトすること。
また、「大伸社ディライトって何?」という話しになった時に、自分たちだけで考えるのではなく、代表や執行役員の上層部にしっかり時間をかけてヒアリングを行ったのだそう。そこから見えてきたのは、マーケティングとクリエイティブの両軸が大事だと言うこと。お客さまの挑戦や課題を、第一に相談してもらえる唯一無二のパートナーになること。チャレンジを続ける会社であることなど、大伸社ディライトが目指す方向性でした。
クリエイティブ会社であるものの、デザインを自社で行わず、あえて協力会社に依頼することに。
「自社でするか外部に託すか、議論はもちろんありました。自社でデザインすると自分たちが出したい色になってしまうので、外部の意見を聞こうと福井にアドバイスをもらったこともあり、協力会社にデザインだけでなく企画構想・コンテンツ・システム面も含めて一括で提案を依頼することにしました」と荻田さんは明かします。
福井さんはその理由として次のように話します。
「自分たちのことって意外とわからないということ。また、いつもはプレゼンに参加する側なので、プレゼンされる側の気持ちになったことがないんです。せっかくの機会なので、提案される側になろうと。3社に提案をしてもらって、その内の1社に依頼しました。結果的に、自分たちだけでは考えられないクリエイティブをしてくれました。社内でやっていてもここまでのクオリティの高いもの、自分たちの強みを違う角度から見たも のはできなかったと思います」。
特にスタッフの撮影にこだわったのだと言います。“人”にフォーカスを当てることは決まっていたので、デザインのトーン選びや撮影については代表も巻き込んで話し合ったのだそう。
どう表現するか認識の相違があるといけないので、スタッフ紹介ページの撮影ディレクションを手掛ける千原さんが、撮影イメージの手段・手法のアイデアをたくさん出しました。オフィスカジュアルで服装を統一したり、メイクアップアーティストにメイクをしてもらうなど細かく決めていきます。
撮影にあたって不安や苦労したことも。
「撮影が終わるまでは、デザインラフにはモデルが写ったダミーのイメージ写真が使われているので良く見えていますけど、我々はそんなに格好良くないで、と。(笑)そこが一番心配でした。」と、イメージと仕上がりのギャップが生まれることへの不安を話すのは福井さん。人を出したいのはわかるが、それぞれ個性があるし過去の経験則から失敗することがわかっていたのだと言います。それを乗り越える策をみんなで出し合うことに。「あらかじめ不安ごとを共有しておくと、それに対してのいろいろなアイデアを出すことができるので、しっかりアラートを出していて良かったです」と振り返ります。
また、千原さんは「スタッフの中には恥ずかしがる方も多く、あまり出してほしくないという人もいて。『こうやってください』とお願いしても、思うようにディレクションできなかったり」と、苦労したことを打ち明け「でもその中で出せるアイデアを考えて。結果的にうまくいったのではないかと思います」と笑顔を見せます。
渡邉さんは「旧知のカメラマンに依頼しがちなところを、新しくつながったばかりのカメラマンに撮影をお願いしたのも良かったのではないかと思います」と話します。サイトデザインを手がける会社ともほぼ初めてだったこともあり、普段やらないことに挑戦することが裏テーマとなって、それが良い刺激になったとのこと。
撮影には100名ものスタッフが参加し、チームごとの集合写真や個人の撮影が行われました。実際に撮影を終えると、クオリティが高く、撮れ高もたくさんという結果に。
「みんなで集まって何かをするという機会が今までなかなかないこともあり、『楽しかったよね』とか『毎年1回撮ってもいいよね』という、満足度の高さがわかる声が上がりましたね。全社で作り上げたと言っても過言ではないぐらいでした」と、菊永さんはスタッフたちの反応を話します。
いかに無関心層をなくすために、撮影後の画像選びは本人に任せるなどして、全体を巻き込んで作る工夫も行いました。渡邉さんが全社への共有や発信を何度も行っていたことも功を奏します。
リリースした瞬間、社内からは「『これ誤作動ちゃう?』とか『この線いらんのとちゃう?』とか10人ぐらいからすぐさま反応があって。うれしかった反面、すごくイラッとしましたね」と苦笑いするのは荻田さん。「でも反応があるというのは興味を持ってちゃんと細部まで見てくれているということなので、ありがたかったです。お客さんからは『メンバーページにこだわり感じて、じっくり見てしまいました!』と言っていただけたり、『大伸社さんのチーム感が良く出ていますね!』と評価いただきました」と話します。
菊永さんは「お客さんからいじられるようになりましたね。別人の写真使ってますよねって(笑)ラフな絡みをしてもらえるようになったのは、それこそ今回の目的でもあった、人にしっかりフォーカスできているんだと実感しました」
リリースして1ヵ月後。数値を調べると、コンバージョン数が1.2倍に上がり、直帰率が5%改善され、ページの回遊率も上がっていて良い反応だったと明かす荻田さん。今後としては、『大伸社の○○さん』ではなく『○○さんのいる大伸社さん』といった認知のされ方をして、チームでありながら個々の魅力や強さも訴求していきたいと考えています。ただそのためには各メンバーをどう見せていけばいいのかといった課題があります。この『Delight Journal』でも、人にフォーカスしたコンテンツがまだまだ少ないので、色々な当社の魅力を発信していきたいと思っています」と展望を話します。
最後に、福井さんは「クリエイティブやマーケティングに対する課題を解決するメニューとメンバーが揃っているので、『この人に頼みたい』、『この人と一緒に仕事してみたい』という観点でこのサイトを見てもらえると嬉しいですね」とコメントを寄せました。