デジタルマーケティング
2019年09月21日
2021年05月17日
ABM(アカウントベースドマーケティング)は、近年企業のマーケティング活動で注目されるようになっています。
アメリカのフォレスター・リサーチ社が発表した、「2021年BtoBマーケティングのトレンド予測(詳細は本文ご参照)」でもABMというワードが多くみられるなど、マーケターにとって今後主流になる手法といえます。
この記事では、ABMとは何か?これまでのマーケティングとどう違うのか?実践するためにはそうすればいいのか?などを解説しています。
ABMは、Account Based Marketing(アカウントベースドマーケティング)の略で、日本語にすると、顧客それぞれに対してマーケティング活動を展開していくといった意味になります。ABMという考え方自体は決して近年になって注目されるようになったものではなく、昔からよく言われていたことです。しかしながら、近年になってSFAやMAなどのテクノロジーが普及していること、コロナ禍で非対面営業の重要性が増していることから、有効なマーケティング手法として注目されています。
この記事では従来まで語られてきたABMとの混同を避けるため、ABMを「最新のテクノロジーを使って自社にとって優良な顧客を絞り、顧客と1to1のリレーションを作る」手法として説明します。このABMという考え方を持つことで、企業マーケティング活動のROI(投資利益率)向上に寄与していきます。
前述の通り、ABMは効率の良いマーケティング手法として注目されています。アメリカのフォレスター・リサーチ社が発表した、
「2021年BtoBマーケティングのトレンド予測(https://www.forrester.com/fn/1e6Vdw745qrfzqgQZ10AHr)」 では2021年に注目されるマーケティング手法として以下を挙げています。
①B2B marketers prioritize customer retention -Account-Based Marketing
(BtoBマーケターは、既存アカウントに注力するようになる)
②Sales enablement tech boosts ABM maturity and results
(セールスイネーブルメント技術が、ABMの成熟度と結果を向上させる)
ABMを実践する上でクライアントの中からより自社にとって優良な企業を絞りこみ、その企業それぞれに対して適切なマーケティング施策を展開していく必要があります。このフォレスター・リサーチ社の予測は、顧客を絞り込む過程においては既に取引や面識のある既存顧客に注力し、適切なアプローチを行うためにはセールスイネーブルメントの強化に注力する企業が増えていくのではないかというものです。
ABMとMA(マーケティング・オートメーション)については混同されることがありますが、マーケティング上での役割は異なります。
ABMは特定企業、すなわち自社にとって優良な顧客に対していかに自社製品を買ってもらい効率よく利益を作るという活動なのに対し、MAは自社にとって優良な顧客を効率よく見つける活動といえます。
つまりABMの考え方が「特定企業に対してベストフィットの手法でじっくり攻める」という考え方なのに対して、MAは「不特定多数のユーザーに対して効率的に攻める」という考え方と分かられます。無論、この両者は共存することもあります。
では、ABMと従来の営業活動はどういったものになるのでしょうか。以下の表では、ABMと従来の営業活動(=ABMとは対照的な考え方)を比較しています。
ただあくまでこの考え方は費用対効果という観点で有効になることが多い、という傾向を示しているものです。自社の事業環境や商材によっては、まずは量を優先すべき場合も当然あります。事業開始まもなく、まだシード期にあるベンチャー企業の場合などがその例です。自社の強みや他社との優位性をしっかりと分析した上で自社にあった戦略を打ち出していくことも大切です。
ABMをうまく機能させるために必要なことは、マーケティングとセールスが連携し、マーケティングがセールスを支えていくという構図を作りだすことです。マーケティングとセールスが密に連携して、それぞれの役割を明確化することが第一歩になります。
ここで重要になるのが、インサイドセールスの存在です。インサイドセールスについての詳しい説明は別コラム「インサイドセールスとは(下部にリンク掲載)」に掲載しておりますので、そちらもご覧ください。
インサイドセールスが重要になる理由は、マーケティングとセールスの間で橋渡しのような役割を担えることです。リードを抽出することに成功しても、すぐにセールスへと渡してしまったり、マーケティングの方でリードを保持しすぎることで適切なアプローチ時期を逃してしまっては効率は上がりません。マーケティングからセールスまでの受け渡し基準を定義し、実践することがABMにおけるインサイドセールスの役割です。
ここで1つ、マーケティングとセールスが連携してABMを実践している例を挙げます。
アメリカに本社を構えるオラクル社(https://www.oracle.com/)では、顧客に対するメール配信のパーソナライズ化つまり個人に対して最適化を行っています。つまり、特定のお客様に対して最も興味を持ってもらいやすいメールを自動で配信しているということになります。要素としては、・件名・写真などのグラフィック・見出し・リード文・本文・訴求したい自社の強み・CV資料があります。オラクル社では自社の顧客データと合わせてBombora社(https://bombora.com/)と連携しています。このBombora社はインセントデータ(=顧客の興味関心事項を特定するデータ)を取り扱う企業であり、オラクル社は自社データと組み合わせることで、対象企業の担当者に対して、自社で把握していない関心キーワードの情報を提供することで商談へと繋げています。実際に商談を行うセールスは、その相手が何に関心があるかを事前に知り、それに合わせた会話ができます。
オラクル社のパーソナライズ化はメールだけでなく、遷移先のランディングページや会員ページまで個人の志向に合わせたものにしており、この一連の連携でROIを93%向上させたともいわれています。(https://saleszine.jp/article/detail/393?p=2)
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