2021年08月10日
「営業戦略を立てたいが、どのフレークワークを利用すればいいのだろうか」
営業戦略は、効果的に営業プロセスを進めるにあたり重要です。
しかし、営業活動にはさまざまな要因が関連しているので、戦略を打つのは容易ではありません。
そこで今回の記事では、まずは営業戦略の意味から解説し、実際に営業戦略で使える5つのフレームワークを紹介します。
最後には、フレームワークを使う注意点も説明しているので、ぜひ参考にしてください。
営業戦略とは、人材や資金、時間といった営業活動に必要なリソース(資源)を活用し、効果的に営業しながら目標売上を達成するための道筋です。
営業戦略を立てて最短距離でゴールを実現するには、どのような対策を取る必要があるか、具体策を考える必要があります。
チームの従業員にはどのようなスキルがあるか把握するだけでなく、セミナー開催やECサイトの充実化など適切な営業手段を選択し、効果的な課題解決法の決定に向けて細部まで検討します。
マーケティング戦略では、市場や商品、競合他社の分析を徹底的に行い、営業がスムーズに売れるような仕組みを作ることを目標にしています。
ブランディングを意識しながら、新しい価値を市場に作ることもマーケティングの仕事です。
マーケティング戦略の一環として営業戦略があるため、マーケティング戦略では営業戦略よりも全体を見ているという違いがあります。
販売戦略では、商品やサービスを想定したターゲットへ、適切な価格や販路で販売する道筋を考えます。
営業戦略との違いは、販売戦略ではその名の通り「販売」に特化しているという点です。
近頃は、直接的にお客様に接触できる店舗販売だけではなく、ECサイトでのオンラインショッピングが流行しています。
従って、販売戦略を検討する際は、ユーザーの購買意図や行動をしっかり分析して対策を立てることが大切です。
ユーザーの行動が複雑化している現代で、営業戦略を立てるために、フレームワークの活用は必須です。
フレームワークは日本語で「枠」という意味で、フレームワークを活用すると、自社がどのような枠組み、つまり環境で戦っているのかを可視化できるようになります。
フレームワークの使い方は決まっているので、順を追って取り組むと営業活動に必要な要素を絞り込むことが可能です。
さらに、短時間で効果的に営業戦略を立てられるというメリットもあるので、今や多くの企業で導入されています。
リソースの活用を何に集中すればいいか具体案を明示でき、無駄なく営業活動ができるようになるでしょう。
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営業戦略を立てるために必須のフレームワークを紹介します。
まずは3C分析です。3Cとは、Customer(顧客・市場)、Competitor(競合他社)、Company(自社)のことで、これらを分析することで事業の方向性を決めることができます。
3C分析は、自社だけでなく取り巻く環境など、基本的な要素を理解した上で他のフレームワークにも応用展開できるので、もしまだフレームワークを活用していないならここから始めてみましょう。
顧客の属性、特徴、行動などを分析します。近年では多様化が進み顧客のニーズも複雑になってきているので、具体的に顧客のイメージが掴めるようにします。
市場分析では、特定の業界を分析するミクロ分析、景気や社会の変化を見極める市場分析を行うようにしましょう。
競合他社については、実績や商品サービスの特性、シェアの状況など、総合的に分析を行います。
深掘りするなら、販売ルートや販売戦略も見てみるといいでしょう。
競合他社の状況を理解することで、自社で次の戦略が打ちやすくなったり、マーケティング活動に役立てたりしやすくなります。
自社については、客観的なデータを使って詳しく検討していきます。競合他社と同じ項目で比較すれば、理解しやすくなるでしょう。
自社の分析ポイントとして、自社商品やサービスだけでなく、人材・物資・資金・データなどのリソース、強み・弱みも分析すれば、注力すべき点がわかるようになります。
市場で競合他社と差別化し、抜き出るために何が必要か、3C分析のフレームワークを使ってしっかり検討しましょう。
次に、SWOT分析を解説します。SWOT分析は、Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の頭文字を取って名前が付けられています。
3C分析と類似点があり、自社の内部要因だけでなく、外部要因も合わせて分析し、営業戦略を立案するのが特徴です。
自社にとって何が特徴として挙げられるか、具体的に検討します。たとえ直視したくないようなペインポイントであっても、客観的な視点で自社を分析することが大切です。例えば、以下のような項目があります。
自社の営業活動に影響を与え得る要素を検討します。外部要因は、自らの力では動かしづらいという特徴があります。
Opportunity(機会)はポジティブな影響、Threat(脅威)はネガティブな影響を、それぞれ洗い出しましょう。
SWOT分析では、各項目をかけ合わせてクロス分析が可能です。
例を挙げると、「店舗の立地が悪い」というWeakness(弱み)と、「ECサイト利用者が急増している」というOpportunity(機会)をクロス分析して、「ショッピングサイトを開設する」という営業戦略を立てることができます。
SWOT分析で書き出したことを一つひとつ丁寧に見ていくと、新たなアイデアが生まれる可能性があるので、クロス分析も忘れず行いましょう。
4P分析は、自社がどのように販売するかというポイントに絞って戦略を立てるためのフレームワークです。
以上の4つのPを分析していきます。1つずつ見ていきましょう。
Product(製品)は、顧客に価値を提供する重要な項目です。顧客が自社の製品を手に取ったら、どのようなメリットを享受できるか考える必要があります。
品質や耐久性はもちろんのこと、デザイン、パッケージ、保証サービスなど、すべての要素を含めて分析します。
Price(価格)は、顧客が商品を購入する上で重要な関心事項です。
製品は値段に見合っているか、市場において適正価格か、他社と比べて競争力はあるかなど、あらゆる角度から検討が必要です。
製品と価格が決まると、Place(流通)、つまり「どうやって売るか」という販売経路を検討します。
実店舗、ECサイト、百貨店、セレクトショップなど、顧客行動を踏まえながら決める必要があります。
最後に、「どうやって顧客に製品をアピールするか」を考えます。どれだけ良い製品を作っても、知ってもらえなければ手に取ってもらえません。
そこで、ターゲットに対して認知度を上げる方法を検討します。例えば、SNS発信やウェブ広告、動画広告やテレビCMなどがあるので、ターゲット層をイメージして適切な媒体を選びましょう。
4C分析は、顧客視点を徹底的に分析するフレームワークです。上記で解説した4P分析は自社視点の分析ですが、4C分析を使うと、顧客への理解が深まります。
顧客が本当に望むものを提供するために、4Pと4C分析を合わせて行うことが大切です。
4C分析では、Customer Value(価値)、Cost(コスト)、Convenieice(利便性)、Communication(コミュニケーション)を分析します。
Customer Value(価値)では、ユーザーが自社製品を利用して得られる価値やメリットを検討します。
顧客ニーズを理解して、顧客の課題を解決したり、ニーズを満たしたりするような価値を提供できるか分析します。
Cost(コスト)は、顧客にかかる金銭的負担のことで、顧客目線で価格を考えます。
高すぎると手が出ず、安すぎても怪しまれる可能性があるので、慎重に決める必要があるでしょう。
また、価格と購入者の心理は結びつきが深く、高い値段の方が「品質が良い」「よく効く」といった印象を与えるので、ブランディングも加味しての検討が大切です。
Convenieice(利便性)は、顧客が商品を購入する際、利便性があるかどうかを見直します。
企業目線では、店舗販売に慣れているのでスムーズに販売できるとしても、顧客にとってはオンライン購入の方が利便性が高いかもしれません。このように、顧客視点で販売方法や手続きの利便性を検討する必要があります。
Communication(コミュニケーション)では、顧客にブランドを身近に感じてもらうための方法を考えます。
ターゲットがシニア層ならテレビCMを、スマホを活発に使うZ世代ならSNSを、仕事でパソコンをよく使う世代ならウェブ広告など、ターゲットの行動に沿った認知度の高め方を分析します。
つまりCommunication(コミュニケーション)では、「どうやってファンを作るか」を軸に手法を考えるのです。
最後に、営業活動の課題特定を行うためのロジックツリーというフレームワークを紹介します。
これは、「なぜ」「何なのか」と自問自答しながら、問題を論理的に因数分解していく方法です。ロジックツリーを用いることで、原因を特定できるだけでなく、問題の全体像を把握しながら解決策まで見出せます。
ロジックツリーには、主に以下の3種類があり、シーンによって使い分けが可能です。
それぞれ、具体的な内容を見ていきましょう。
「What」つまり「何があるか」の要素を理解するためのロジックツリーがあります。
例えば、自社製品についてこのロジックツリーを使うと、「自社製品の特徴は何か」と問いかけて、いくつも特徴をあぶりだします。「機能性が高い」と出てくると、今度は「高い機能性には何があるか」と述べていくのです。
自社の強みや弱みなど、網羅的に理解するのにとても役立ちます。
「Why」、「なぜなのか」と次々と問いかけることで、原因を追究するロジックツリーがあります。例えば、売り上げに伸び悩んでいるケースを見てみましょう。
「売上が伸びないのはなぜか」→「人材が不足している(のはなぜか)」→「中途採用に失敗した(のはなぜか)」→「(原因)人事の面接力が低い」→「(解決)人材紹介サービスを導入する」
このように、「なぜなのか」と繰り返すことで、根本的な原因だけでなく実行可能な解決策まで見出せます。
KPIを使ったロジックツリーでは、目標達成までの中間目標であるKPIを確認しながら、案件の進捗状況を管理できます。
他のロジックツリーとは異なり、数値で管理するため、必要な行動を提示しやすいというメリットがあります。
KPIを用いる場合は、定期的に振り返りながら目標に向けて適切なアクションを取るようにしましょう。
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営業戦略でフレームワークを活用するにあたって、注意点を4つお伝えします。
上記で解説した3C分析、SWOT分析、4P分析、4C分析は、自社と取り巻く環境について検討できるフレームワークです。
それぞれ関連性があるので、どれか1つではなく複数を組み合わせて活用することで、理解を深められるというメリットがあります。
そのとき、フレームワーク間で矛盾点が生じないよう注意することが大切です。
フレームワークで出た分析内容を細かく精査したくなりますが、詳細に考えすぎると実行に移しにくくなることがあります。
営業担当者は市場アナリストではないので、追求し過ぎないようにすることが大切です。
また、原因を深掘りし過ぎても時間を無駄にしてしまう可能性があります。改善点を素早く見つけ、次で解説するように行動に移すことが大切です。
フレームワークを使って営業戦略を立てたとしても、内容を行動に移さなければ意味がありません。
現状を変えるにはパワーが必要なため、惰性的に動いてしまいがちです。しかし、根本的に改善して目標を達成するには、実行することが大切です。
実行を促すには、フレームワークを使って導き出された内容を、スケジュールに組み込んで周囲と共有するといいでしょう。
行動に移してみると新たな改善点を発見することもでき、PDCAサイクルを回せるようになります。
分析結果を行動に移して上手くいかなかったら、営業戦略を立て直す必要があります。
状況に応じてフレームワークを組み直し、分析を始めましょう。1つの結果に固執することなく、現状を見つめて原因を特定することが重要です。
フレームワークの活用を繰り返していると、日々の業務を論理的な視点を持って取り組めるようになります。
原因はすぐに改善できる内部要因なのか、それとも事態が動かしにくい外部要因にあるのかを把握して、柔軟に対応しましょう。
フレームワークを活用すれば、自社の強みや環境を把握でき、営業戦略が立てやすくなります。
新規事業の立ち上げ時には3C分析から始めて、状況に応じてSWOT分析やクロス分析、4P・4C分析やロジックツリーなど使い分けることが大切です。
フレームワークを効果的に使うと、営業戦略だけでなくマーケティングや販売戦略にも活かすことができ、売上アップに貢献できるでしょう。