2021年06月28日
近年、新型コロナウイルスの影響が後押しとなり、オンライン上で行われる非対面での営業が比重を高めてきました。お客様のリアルな反応が分かりづらい非対面営業において、お客様がどの程度まで検討を進めているかを測るのは至難の業といえます。
その見えにくいお客様(リード)の行動や属性を点数化し、購買意欲の高まりを可視化する取り組みがリードスコアリングです。今回はリードスコアリングの有用性と活用法についてご紹介します。
スコアリングとは、リードの関心をMAツールによる分析で点数化し、アプローチの段階や優先度を決めるための取り組みです。
点数化の対象は、リードが行ったアクションや、行動を起こしたリードの役職や企業規模といった属性が該当します。リードの関心がどの程度まで高まっているのか、検討しているリードがどの程度の決裁権を持つのかといった情報を可視化でき、成約率の高いリードを見逃しにくくなるメリットを持ちます。
リードナーチャリングに関しましては、以下の記事でご紹介しています。
リードナーチャリングの成功のポイントとMAツールの有効活用法とは
非対面の営業ではリードの反応を直接確認できないため、リードがどの程度まで関心を高めているか把握しにくい側面があります。その関心の度合いを点数に換算するスコアリングを活用すれば、行動だけでなく属性といった面からもリードの関心の動きを分析し、適切なアプローチを行うきっかけを導き出します。
スコアリングは、顧客がどんなアクションを起こしたかという「行動情報」と、どんな顧客が反応したかという「属性情報」の二軸で評価するのが一般的です。
行動情報は、資料のダウンロードページ、問い合わせページ、料金ページなど、それぞれのページを訪問したら点数を付与するなどの設定を行い、リードの温まり具合を判定します。反応したコンテンツの点数を加算していく形式だけでなく、複数のコンテンツに触れてはじめて点数を付与するパターンもあります。
属性情報は、行動情報の基準となる行動を誰が行ったかを判定します。同じ行動でも課長、部長といった役職者なら点数を多く加算。決裁権を持つ役職者なら、さらに多くの点数が付与される場合もあります。
また企業の年商や資本金といった企業規模が加味される場合や、特定の地域からは加算点数を増やすなど、企業ごとにさまざまな基準が設けられます。
スコアリングを行うメリットは、各リードがどの程度の関心を持っているか、現在どのナーチャリング段階にあるかを可視化しやすくする点にあります。
現場のスタッフが徐々に検討段階を上げるだけでなく、同社内の決裁権を持つ役職上位者が検討を開始したならば、企業として関心を強めていると複合的に判断が可能。確度が高いリードとして営業へパスしやすくなるでしょう。
スコアリングにはリードの属性情報が重要な役割を果たします。誰がどんなアクションを起こしているかを正確に把握するには、できるだけ詳細な属性情報の収集が必須。その点において属性情報の塊ともいえる名刺は、スコアリングにおいて無くてはならないリード獲得ツールでしょう。
スコアリングは、リードの状態を把握する非常に有用な手法ですが、MAツールの導入直後から上手く活用できるとは限りません。最適なスコアリングの基準は企業ごと、商材ごとに異なるため、運用を続けながら基準を適宜見直していくことが必要です。
一度もMAツールを導入したことがない企業は、適切なスコアリングを行うための基準をもっていません。そのため導入当初は仮説の設定で運用し、サンプルを集める必要があります。
同業他社でスコアリングを実施している企業のデータがあれば、それを元に仮説を立てられます。しかし他社で実績がある基準とはいえ、リードの温まり方はさまざまな条件に左右されます。そのため必ずしも自社にとって最適な基準とはならないでしょう。
当面は、仮説を元に点数が例えば10点貯まったリードを営業にパスするといった基準で進め、営業からフィードバックをもらいながら基準の見直しをしていきましょう。実際にスコアリングを行う中で、基準が甘く10点を乱発してしまう場合や、10点ではリードが十分に温まりきっていない場合など、さまざまな問題が浮き彫りになっていきます。
スコアリング基準の見直しは必要であるものの、どの程度の頻度で見直せばよいか分かりにくいもの。見直しに必要となる営業からのフィードバックは、商談から成約までのリードタイムが長い商品ほどもらえる頻度が下がるため、頻繁な見直しは困難です。
運用開始から見直しまでの期間は、一般的には商談開始から受注までのリードタイムと同じ程度の時間が必要と考えてよいでしょう。1回の営業サイクルを回すまでに3ヶ月程度必要な商材だとすれば、およそ3ヶ月から半年程度に一度見直す程度の頻度が適切と考えられます。
またスコアリングを見直す際、営業に貯まるリードの数も念頭に置くとよいでしょう。温まりきっていないリードを渡された営業は、成果が出にくいリードへのアクションを大量に抱えてしまい、疲弊しやすくなります。一方で基準を厳しくしすぎると、本当は十分に温まっているリードに対してもアクションを起こせずに逃してしまうことにもなりかねません。
営業に少しリードが貯まる程度にパス数を調整できると、検証の効果を最大化できると期待できます。
スコアリングは確度の高いリードへのナーチャリングに有効である一方、効果的に運用するためには営業とマーケティングの連携が不可欠です。しかしフィードバックと見直しを適切に繰り返すには膨大な時間が必要であり、改善そのものにも手間がかかるため、スムーズな運用にはプロの支援が不可欠といえるでしょう。
大伸社ディライトでは、MA運用をしていく中で浮かび上がる課題解決をトータルでサポート。豊富な経験を背景にしたスコアリングのコンサルティングも行います。仮説の再設計から定期的なスコアリングの見直しまで、一気通貫でお手伝いいたします。
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