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2018年03月16日
2015年10月28日
大学の広報担当の方は、社内外の誰かにインタビューをする機会は少なくないと思います。考えていた質問項目はすべて聞いてみた。なのに何か手応えがない。企画や原稿を組み立てていく段階になってやはり取材内容が薄かったことに気付く…。そんなこと、ありませんか?取材で一番避けたい失敗はこういうパターンです。これは、取材をする側とされる側で関係が十分にできあがっていない状態のまま、やりとりが表面的な事実確認にとどまってしまうことで起こるケースではないかと思います。一の質問に対して一の答えしか返ってこないような感じ。こういうとき、どういう質問をすれば、より価値のある情報に迫れるでしょうか。
私が意識しているのは「エピソード」を聞く、という方法です。ここで言うエピソードとは、単純な「事実」とは少しニュアンスが違います。事実というと、よく言われる5W1Hのような、ある意味ドライな、客観的視点から捉えたもの。一方、エピソードは、あくまでも私の定義ですが、その人の主観が入っているもの。もっと言うと、見たり、聞いたり、誰かに会ったり、話をしたりして印象に残っている「その人固有の経験」です。なぜこれを聞くべきなのかというと、情報としてのリアリティ=濃度が圧倒的に増すからです。
ここで、情報のリアリティについて少しお話ししたいと思います。当社では大学の「強み」を分析するために取材をしたりもするのですが「この大学に入学して良かったと思うことは何ですか?」と、このあたりはよく聞く、いわば普通の質問です。これに対してたとえば「アットホームな校風で居心地が良い」という答えが返ってきたとしましょう。アットホームというキーワードは出ましたが、ここはもう一歩踏み込みたいところ。価値が高いのは、やはり「ならでは」の情報です。「アットホームな校風」までの情報だけであれば、その人にあらためて語ってもらうまでもないですよね。以前、取材の中で「マンモス大学とは違う中規模大学ならではの良さ」についてこんなふうに答えてくれた学生さんがいました。
「毎日、絶対知ってる人に会う」
こんなキャッチコピー、実体験がないとなかなか出てきません(笑)この一言だけでもかなりの収穫です。記事の1トピック分に相当する奥行きがこの一言には含まれていると思います。
エピソードは聞いておきたい…ただし「印象に残っているエピソードは?」といった直球の質問をいきなりぶつけると、大体の人は一瞬考え込みます(笑)。事前に質問シートを提出しておいて考えてきてもらうのもアリですが、もう少し答えやすい質問を用意しておくとスムーズです。
私がこれまで取材してきた中で、一番使えるのはシンプルですがこの質問です。
「きっかけは何だったんですか?」
物事の動機であったり事の起こりというのは、語るべき内容が多く含まれているようです。取材相手にしてみれば自明のことなので、こちらから踏み込んで聞かないと出てこないことも多いように思います。あとは
「これまでで一番大変だった時期は?」
苦労話はなぜか話題として膨らみやすく、それを乗り越える過程においても必ずといっていいほど物語性があります。とっかかりとしては、あえて「大変だった事」で聞くのではなく、現在を起点に思い返しやすい「時期」で聞いてみるのがポイントだと思います。
結局、自分自身がその話を聞いていておもしろいと思えるか。もっと聞きたいと思えるか。そういうフィルターを働かせることが、取材の質…ひいてはその先のアウトプットの質を高めるのではないかと思っています。広報ご担当の皆さん、今度取材やヒアリングをしたりする場面があれば、ぜひ一度試してみてくださいね。
芝浦工業大学様
受験生向けサイト構築
大学の強みを訴求する特設サイトを開設し、「エピソードを語るSTORY」と「実績を語るFACT」で同大学ならではの強みを伝えるコンテンツを発信。特設サイト訪問者の約半数がその後オープンキャンパスサイトを訪れ、オープンキャンパスでは過去最高の来場者数を記録しました。
プランナー/コピーライター
奥 耕平「言葉による可視化」を私の仕事と考えています。企業や商品のブランディング、様々な企画やプロジェクトのキャッチフレーズなど、コミュニケーション全般のコンセプトメイキングが得意です。形にならない思いをアウトプットしたい、思いはあるけどうまく表現する言葉が見つからない、そんな企業様の課題解決のお力にきっとなれると思います。 第38回日本BtoB広告賞「製品カタログ単品の部」銀賞 第39回日本BtoB広告賞「製品カタログ総合の部」銅賞 「製品カタログ単品の部」銅賞