2015年11月23日
新規顧客開拓は、企業拡大のために避けては通れない戦略です。
新規顧客開拓には、いくつかの種類や方法があります。自社商品やサービスと、ターゲットにする顧客により、効果的な方法やコンテンツが異なります。
今回の記事では、新規顧客開拓の方法を詳しく解説し、進め方やポイントを紹介していきます。
新規顧客開拓とは、今まで取引のなかったターゲットを新たな顧客として取り入れるための営業活動です。ターゲットを定め、特性や悩み・希望を調査します。その内容を元にアプローチし、成約してもらえるように努めます。既存の顧客に対する営業活動とは異なり、全く縁のないところから関係を作るため、通常の営業活動と比べ、難易度の高いのが特徴です。
どんなに優良な企業であっても、解約率をなくすことや、何もせずに取引を継続させるのは不可能でしょう。その理由は、契約先企業の事情にも左右されるためです。そのため、新規顧客開拓を実施しないと売り上げは減少します。新規顧客開拓は、企業拡大のため避けて通れない戦略と言えるでしょう。
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新規顧客開拓は、自社の商品やターゲットの違い、市場の大きさなど、様々な状況を加味して進める必要があります。そのときに自社にとって適切なアプローチ方法を選ぶと、最短で成果を出せます。
新規顧客開拓の方法はプッシュ型、プル型、紹介営業の3つに分けられます。それぞれ、次の項で詳しく紹介します。
プッシュ型は、アウトバウンド型とも呼ばれます。顧客に積極的なアプローチをかけて開拓していく方法です。
というときに有効な手段だといえます。
プッシュ型営業の最大のメリットは、一度に大量の顧客にアプローチできる点です。しかし、相手の状況を把握しないまま実行するため、良くないイメージを与えてしまう場合もあります。そのため、営業を掛けた件数に対して、成約率が低くなる可能性が高いです。営業担当者の精神的負担と成約率を比べると、結果的に悪循環になるのが実状です。具体的な方法には、飛び込み営業とテレアポの2つの方法があります。1つずつ詳しく見ていきましょう。
飛び込み営業
飛び込み営業は、最も費用をかけず、手軽にできる方法です。人件費と交通費以外に大きな費用はかかりません。そのため、新規顧客開拓の予算が限られている場合に有効だと言えます。同じエリア内で、何軒か飛び込み営業の先をピックアップして、効率よく回れるルートを考えると、更に費用を削減できます。
手軽にできる方法ですが、営業のスキルが重要で、営業担当者により成果が異なるのがデメリットです。無造作に企業を訪問しても、時間をとってもらえない場合や、門前払いされてしまうこともあります。他の営業方法よりも成果が出にくい方法であるため、顧客となり得る企業をあらかじめ調査して絞り込みましょう。
また、次の項で紹介するテレアポと掛け合わせて活用するなどの工夫も必要です。
テレアポ
テレアポは「テレフォンアポインター」の略称です。これまで縁のない企業と手早く関係を持ちたいときに有効な方法です。見込み顧客になりそうな企業の連絡先を入手し、電話を掛けるだけですぐに営業活動ができます。必要なコストは人件費と電話代のみで、飛び込み営業と同様、コストは比較的安価です。
一件あたりの営業にかける時間は1〜 2分と、短い時間で済ませられるため、多くの企業に営業を掛けたい場合にも良いでしょう。手軽さが魅力のテレアポですが、見知らぬ企業の電話を丁寧に聞いてくれる企業は多くありません。電話口で営業をかける従業員のトーク力に依存するため、成約の難しさがデメリットです。
成約の件数を増やすためには、トークスクリプトの作成・営業先リストの作成がポイントになります。トークスクリプトは、電話で顧客対応をする際に使用する台本です。新規顧客開拓のために作成する際は、短時間でも自社商品の魅力が伝わるような文面を考えましょう。
営業先リストの作成では、闇雲に企業をピックアップするのではなく、見込み客となりそうな企業先を選ぶのが大切です。テレアポは、自社でも手軽に始められますが、外部に委託する方法もあります。テレアポを専門とする業者は、プロであるため、成約率が上がる可能性が高いでしょう。テレアポ専門企業には、コール課金型と成果報酬型があります。
コール課金型は、一件の電話をするごとに100円前後が見積もりの相場です。成果報酬型は、一件の契約、又はアポイントを得るごとに1000円前後の手数料を支払うのが一般的です。テレアポの委託料の利益率は、自社サービスや商品の価格によって変わります。自社の場合はどうなるか、試算してから依頼するようにしましょう。
プル型営業は、インバウンド型とも呼ばれます。ユーザのニーズに合わせて、時間をかけて見込み客を育成する方法です。インターネットで、自社商品やサービスの情報を様々な顧客に発信し集客します。その中から見込み顧客を獲得して購買につなげていく方法です。
プッシュ型営業よりも、成約や購買に繋がる確率が高くなり、営業担当者の負担も軽減されます。その分、高度な技術やノウハウ・経験を必要とするため、自社の運用体制を整える必要があります。場合によっては外部に委託することも考えましょう。
以下で紹介するのがプル型営業の具体的な方法です。
リスティング広告
リスティング広告は、費用を支払うことで、インターネット上のユーザーが検索したキーワードに連動し広告が出るシステムです。プル型の中で、最も短期間で新規顧客を獲得できる方法と言えます。費用は1クリックあたり○円と決められているため、社内で決まった予算がある場合は注意しましょう。
リスティング広告のメリットは、見込み客や見込み客になりそうな顧客に的をしぼり、アプローチできる点です。
例えば、ユーザーが「ダイエット おすすめ商品」で検索すると、検索結果の上部に広告が表示されます。何を購入しようか迷っていて、購買意欲の高い顧客に広告を見てもらいやすくなり、新規顧客獲得の近道になります。広告の誘導先は、ランディングページや公式ページ・アプリなど、比較的幅広く誘導できます。掲載する内容や、ターゲットとする客層により成果が異なるため、顧客をどのように誘導するのか、ある程度の専門知識が必要です。
時間をかければ自社での運営も可能です。短期間で成果を上げたい場合は、代行会社へ依頼を検討しましょう。費用をかけても自社商品を購入してほしいときには、経験豊富な代行会社への依頼がおすすめです。費用がかかりますが、その分、成果も出やすくなります。
プレスリリース
プレスリリースは、自社の新商品やサービスの発売時に、メディアへ情報を提供する方法です。自社と親和性の高い企業に情報提供をすれば、取り上げてくれる可能性も高く、費用をかけずに広告効果も得られます。
メディアという第三者に取り上げてもらうため、広告色が弱くなり、閲覧者の信頼を得た上で購入してもらえます。プレリリースのデメリットは、掲載される内容を自社で決められない点です。
メディアは第三者であるため中立の立場で商品を紹介します。取り上げられる内容がどのようになるのかをコントロールできません。場合によっては悪影響を与える場合もあるので注意しましょう。情報提供は、自社でメールやファックス・郵送を送るほか、代行会社に依頼する方法もあります。
コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングは、見込み客が抱える悩みに合わせたコンテンツを紹介する方法です。紹介したコンテンツから見込み客を引きつけ、悩みにあった商品やサービスを利用してもらい購入につなげます。潜在顧客を発見し、自社の商品を利用してもらうきっかけになります。
コンテンツマーケティングのメリットは、最初に成約までの道のりを作ると、それ以降も同じコンテンツを活用できるため、長期的な資産となる点です。自社商品を展開する企業であれば、商品の誕生秘話や歴史などをコンテンツ化して、見込み客の獲得を狙えます。コンテンツマーケティングで獲得した新規顧客は、リピーターになってくれる確率も高く、大きな成果を得られるでしょう。
デメリットは、コンテンツ内容にもよりますが、外部への依頼やコンテンツの完成後から成約までに、ある程度の時間がかかる点にあります。
メールマーケティング
メールマーケティングは、自社が所有するリストをもとに、キャンペーンなどのお得な情報を戦略的にメールを配信する方法です。
具体的には、休眠状態の顧客を見込み客に育てます。検討が進まずにいる顧客や、過去に失注した顧客などをリストアップして、メールを配信するようにしましょう。メールマーケティングのメリットは、場所や時間を問わず、多くの企業に一度で営業活動ができる点です。興味のある企業からのみ連絡が来るため、効率的に営業活動をすすめられるのもメリットです。
デメリットは、送ったメールが開封されずに捨てられてしまう可能性があることです。開封してもらいやすくするには、普段から顧客の目を引く内容のメールであることが重要でしょう。
メールマーケティングを実施するためには、専用のツールが必要です。専用ツールには、段階を追ってメールを送ってくれるステップメールシステムや、何千件ものメールを一括で送信してくれるツールが備わっています。費用の目安は月々3000円〜10,000円前後です。無料のツールもありますが、機能制限が多いため、営業活動に使う場合は有料のものの活用をおすすめします。
紹介営業は既存の取引先や、知人から顧客を紹介してもらう方法です。競合他社とのコンペや競争になりにくく、成約率が高くなります。
新規顧客を紹介してもらうためには、既存の顧客に信頼してもらうのが何よりも重要です。既存の取引先と良い関係を作れるよう普段から意識しましょう。
また、紹介してもらいたい意思を示すことも大切です。
などの方法があります。
次に、新規顧客開拓の進め方を解説します。
順序は以上の5つです。詳しく見ていきましょう。
まずは、獲得したい新規顧客のターゲットを明確にします。ターゲットの具体的なユーザー像はペルソナとも呼ばれます。ペルソナは、ターゲットの
などを具体的に設定し、人物像が想像できるように設定したものです。設定したペルソナにより、使用する文面や言葉のアプローチ方法が異なります。
ペルソナを設定すると、そのペルソナが何を必要としているのか、何に困っているのかを明確に想像できるようになるのです。
ターゲットを明確にした後は、見込み客を集客するための情報を集めます。効率よく見込み客を集めるには、ターゲットに馴染みのある方法を活用することが重要です。
例えば、IT系の企業なら、インターネットを閲覧する機会も多いため、インターネット広告が適しています。SNS広告は、広告を見た担当者とプライベートなやりとりができ便利です。具体的なサービスを試して欲しい場合は、展示会への出店が有効でしょう。
自社のサービスや商品の特徴と、見込み客の特性を考え、最善の方法で集客しましょう。
見込み客の集客後、営業をかける前に、購買意欲を高めるようなコンテンツを挟むのがおすすめです。一度の営業では購買意欲は高まりません。一時的な購買意欲の上昇もありますが、多くの場合、時間が経つとなくなってしまいます。
そのため、継続的に少しずつ有益な情報を配信し、自社商品やサービスのメリットを伝えます。そうすることで、見込み客の購買意欲は徐々に上昇します。見込み客の購買意欲を高める方法は、セールスライティング、ダイレクトメール、メルマガなどがあります。
購買意欲を高めるコンテンツを配信する中で、ホットリードと呼ばれる、特に購買意欲の高い見込み客を選定します。ホットリードに的を絞った営業活動を展開することで、効率の良さを出せます。何を基準としてホットリードとするのか、社内で話し合いましょう。ホットリードを決める基準には、「スコアリング」という手法が使われます。
スコアリングは、ホームページの閲覧回数や、お問い合わせ回数など、購買意欲の高さを表す行動をそれぞれ点数付けする方法です。その合計点でホットリードを見分けます。
ホットリードを見分けたら、リストを作成しましょう。この営業リストを元にして、営業担当者が営業をかけます。これまでの工程で購買意欲の高い見込み客を厳選しているため、スムーズに新規顧客開拓を進められるでしょう。
具体的な営業方法は、メールでアポイントを取り訪問する方法や、ダイレクトメールで商品を送付する方法があります。
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次に、新規顧客開拓の際に、気をつけるべき注意点を抑えておきましょう。注意点は以下の4つです。
PCDAサイクルはPlan(計画)、Do(実行)、Check(測定・評価)、Action(対策・改善)の頭文字を取ったものです。PCDAサイクルを基本のサイクルとして、営業活動を進めましょう。特に、インターネットを使うプル型営業では、PCDAサイクルに沿った仮説と検証の繰り返しが重要です。
例えば、「どのような文言を入れると、より多くの人がメルマガに登録するか」という課題に対して、複数の文言パターンを用意して、どの文言のときにより多くの人がメルマガに登録するのか検証します。仮説と検証を繰り返していくと、少しずつ良い結果に近づいていくのです。
KPIは目標数値です。KPIを設定するこで、社内の目標意識を統一し、より良い営業活動を展開できます。KPIの主な種類は以下のものがあります。
受注率は、見込み客の中から、どの程度受注しているかを算出したものです。10%〜25%が目安になります。
顧客獲得単価は、新規顧客を獲得するまでのコストを算出したものです。ここでのコストは広告費や人件費を指します。顧客から得られる売上げに対して、コストが下回っている必要があり、上回っている場合はマイナスになります。商談創出率は、アプローチした顧客に対して、どのくらいの確立で商談に持ち込めたかを表す数値です。商談創出率は、見込み客に対して高くなり、プッシュ型の営業方法では低くなる特徴があります。
リード創出率は、アプローチした顧客が見込み客になる割合を表した数値です。リード創出率を高くするには、プル型の営業で、相手に興味を持ってもらえるようなアプローチ方法で営業活動をしましょう。
適切な社内共有も重要です。新規顧客開拓は、営業マンやマーケティング担当、バックオフィス担当など、様々な人が順々に関わり進めていきます。そのため、各工程で前の担当者がどのような対応をしたのかなどを履歴に残し、全員が同じ内容を閲覧できるシステムを作りましょう。
前述したKPIも、社内で共有すると、一致団結して営業活動を進められます。
新規顧客開拓を進めていると、契約を取るために必死になることもあるでしょう。それにより「顧客を増やす」という本来の目的を忘れがちになってしまいます。いきなりの飛び込み営業や、時間を掛けた営業電話を掛けられた顧客は、やっていた仕事を中断させられ、良いイメージを持ちにくくなります。
契約を取るために必死になっているときこそ、「今は電話しても大丈夫だろうか」「相手はどんなサービスを必要としているのか」相手の立場に立って考えるよう心がけましょう。顧客の立場に立ち考えることで、結果的に成約率も上がっていきます。
最後の項では、新規顧客開拓のための3つポイントを紹介します。
ポイントは以上の4つです。詳しく見ていきましょう。
新規顧客獲得で大切なことは、顧客のニーズを満たしているかどうかです。顧客はニーズに合っていると判断して、初めて興味を示します。顧客が何に困り、何を必要としているのか、事前に知ることで、提案する商品やサービス、コンテンツが異なります。
ターゲットとする顧客のニーズを、商談や接客の前に徹底的にリサーチしましょう。
営業活動は、顧客と営業担当が個別に話を進めるため、個人のものと捉えがちです。しかし、社内で後処理をしてくれるバックオフィスの人や、他の営業担当者と情報共有は、自分だけで獲得できなかった顧客を新たに獲得できる可能性が出てきます。
バックオフィスや社内の関係部署への伝達を怠らないようにしましょう。
マーケティングの法則の中には、1:5の法則といわれるものがあります。既存顧客への営業を基準としたときよりも、新規顧客開拓のコストは5倍になるという意味を持つ法則です。顧客獲得のためには、潜在顧客を探す・見込み顧客誘導するなど、既存の顧客への営業に比べ時間と労力を要します。それに合わせて、必然的にコストが上がります。
新規顧客の獲得は、会社の将来を考えると価値のあるものです。新規顧客獲得を始めるときには、社内で十分な予算を確保してから進めるようにしましょう。
営業活動は、相手のニーズを把握し、メリットを提示することで、相手の心をつかみやすくします。相手のベネフィット(困っていること)見つけ、自社の製品やサービスで解決きるような提案をしましょう。ニーズのないところに、営業かけても契約してもらえる確率は低く、時間の無駄になってしまいます。
そのため、相手を細かくリサーチして、何を必要としているか、何に困っているか把握してから営業活動をすすめましょう。
今回の記事で紹介している手法を、複数かけ合わせると、営業活動の幅が広がります。
例えば、最初にメールを配信して、その後に電話で「先程メールを送らせていただきましたが、ご覧いただけましたでしょうか?」と、メールを送った旨を伝えます。
配信メールにコンテンツを添付するのも、複数の手法をかけ合わせる例として挙げられるでしょう。
営業DX推進に貢献する『ワンストップ支援メニュー』と『実績・事例』はこちら
今回の記事では、新規顧客開拓について、種類やポイント、注意点を解説しました。
新規顧客開拓には、積極的に成約や購買をすすめるプッシュ型と、顧客を分析し、ターゲットを絞りながらすすめるプル型があります。
どちらの方法も、営業をかける企業を事前に分析しながら、自社の状況や商品・サービスに合う方法を選択する必要があります。ときには、複数の方法をかけ合わせて使用するとより効果的です。
ぜひ、今回紹介した方法で、新規顧客開拓を実践してみてください。
コンサルタント
荻田 勝也デジタルマーケティング領域における戦略策定から施策実行までのプロジェクトマネジメントを担当。 ビジネス成果の貢献に向けて、既存の枠に捉われない新たな枠組みや仕掛けを考え・実現していきます!