2025年04月14日
「とりあえずWebサイトをリニューアルしよう」
「SNSで情報発信してみよう」
こうした“手段先行型”のデジタル導入が、うまくいかないケースは少なくありません。
なぜか?
それは、「デジタルで何を変えたいのか」の仮説が曖昧だからです。
デジタルは“全方位に効く魔法”ではなく、課題の焦点が定まっていなければ、どれだけ投資しても成果につながりません。
BtoB企業における成果の多くは、「営業の成功体験」に依存しています。
しかし、そこには属人化されたノウハウやブラックボックス化された工程が多く残っているのも事実。
だからこそ、マーケティングの導入にあたって最初にやるべきは、
営業のプロセスを“構造的に見える化”することです。
・顧客との接点はどこで生まれているか
・初回訪問までのリード獲得にどれだけ時間がかかっているか
・商談化率が高いのはどんな条件か
こうした定量・定性データを整理しながら、「どの工程にデジタルを効かせるべきか」を見極めていきます。
マーケティングという言葉は「広告や販促」など、コストと認識されがちです。
しかし本質は、新たな“接点”をどう創出するかという戦略活動です。
・名刺交換に依存しない、継続的な情報接点(例:メール配信、セミナー告知)
・「まだニーズが顕在化していない顧客」にも届くコンテンツ(例:課題提示型のコラム)
・営業が訪問できない層へのリーチ(例:Webでの資料ダウンロード)
つまり、“足で稼ぐ営業”だけでは拾えなかった機会を拾うことが、デジタルマーケティングの価値なのです。
よくあるのが、「マーケが獲得したリードが、営業にとっては質が悪い」という認識。
これは、KPIの分断と目的のズレによるものです。
・マーケ:資料DL数、PV、リード数など“量”を追いがち
・営業:商談化率、受注率など“質”を重視
このズレを埋めるためには、営業とマーケが共通の指標を持ち、「どんなリードが理想か」をすり合わせる必要があります。
さらに、営業が現場で感じている“顧客のリアルな悩み”をマーケにフィードバックできる体制も不可欠です。
現場の声があってこそ、コンテンツも有益なものになります。
完璧な戦略も、いきなり成果を出すことは難しいもの。
デジタルの強みは、「トライ&エラー」ができることです。
・Webの改善 → ヒートマップで離脱分析
・メール配信 → 開封率・クリック率で仮説検証
・ダウンロード資料 → 商談化率で評価
こうした“回しながら学ぶ”思考が、組織にとってのデジタルスキルを高め、ナレッジ資産にもなっていきます。
デジタルマーケティングは、手段の集合体ではありません。
大切なのは、「何に効かせるか」という戦略視点。
そして、営業・企画・マーケが一体となって仮説を立て、検証し続ける文化があるかどうか。
小さく始めて、現場で回して、組織を変えていく。
この“地に足のついた進め方”こそ、成果につながる唯一の道です。