English
お問い合わせ
  • Blog
  • 「あの業務は、あの人にしかできない」をAIで解消するために必要な工程とは

「あの業務は、あの人にしかできない」をAIで解消するために必要な工程とは

2026年10月06日更新

属人化した業務をAIに任せたいとき、最初にやるべきなのはAI開発ではありません。ベテランの判断基準を言葉にする「言語化」の工程と、その具体的な進め方を解説します。

「引き継ぎ」が、ずっと先送りになっている

見積、仕様書の読み解き、製品の選定、カタログの改訂。製造業には、特定のベテランにしかできない業務が必ずあります。

その人が休むと止まる。退職が近づいているのに、後任が育たない。マニュアルを作ろうとしたが、本人も「なんとなく」としか説明できない。こうした状況は、多くの会社で「分かっているけれど手をつけられない課題」として残り続けています。

生成AIの登場で、この課題に光が当たりました。「ベテランの知識をAIに覚えさせれば、誰でも同じ判断ができるのではないか」。実際、私たちにもそうした相談が増えています。

結論から言うと、それは可能です。ただし、多くの会社が想像している順番とは違います。最初にやるのはAIの開発ではなく、ベテランの判断基準を言葉にすることです。

AIは「書かれていないこと」を学べない

ベテランの頭の中にある判断は、たとえばこんな形をしています。

「この顧客の仕様書は、表紙に書いてある型番より、3ページ目の注記のほうを優先する。前にそれで揉めたことがあるから」

「この条件なら標準品で見積るけれど、納期が2週間を切っていたら特注扱いにする。工場の都合でそのほうが早い」

これらは、どの文書にも書かれていません。本人も聞かれなければ言葉にしません。そして、言葉になっていない知識は、AIには渡せません。

ここでつまずく会社が多いのです。「ベテランに過去の資料を全部渡してもらって、AIに参照させれば済むだろう」と考えて進めると、AIは資料に書いてあることしか答えられず、肝心の「判断」の部分が抜け落ちます。結果として「AIの答えは浅い」「結局ベテランに確認が要る」という状態になります。

ヒアリングシートでは、暗黙知は出てこない

では、ベテランに判断基準を聞き出せばいいのか。これも、やり方によっては失敗します。

よくあるのが、ヒアリングシートを渡して「判断のルールを書き出してください」と依頼する方法です。しかし、本人にとって判断は無意識に近いものなので、「ケースバイケースです」「経験で分かります」という答えしか返ってきません。嘘をついているわけではなく、本当にそうとしか言えないのです。

私たちが実際の案件で使っているのは、実演観察という方法です。ベテランの方に、実際の業務をその場で再現してもらいます。本物の仕様書を前に、普段どおりに読み解いてもらい、その横で「いま、なぜそこを見たのですか」「その判断の分かれ目は何ですか」と、動作のひとつひとつに問いを立てていきます。

人は、やっている最中なら説明できます。「あとで書いておいて」では出てこなかった判断の分岐が、観察の場では次々と言葉になります。これを取材・編集の技術で整理し、業務知識モデルとして文書化する。ここまでが、AIに渡す前の工程です。

言語化できると、AI以外にも効く

この工程を経た会社では、ひとつ面白いことが起きます。AIを作る前の段階で、すでに業務が改善し始めるのです。

判断基準が文書になると、若手がそれを読んで「なぜその判断なのか」を理解できるようになります。ベテラン本人も、自分の判断を客観的に見直すきっかけになり、「この条件は実はもう不要だった」と気づくこともあります。引き継ぎの資料としてそのまま使えますし、新人教育にも転用できます。

つまり、言語化は「AIのための準備」であると同時に、業務知識を会社の資産にする工程です。AIはその資産を、24時間、誰に対しても同じ品質で引き出せるようにする手段のひとつ、という位置づけになります。

実際にやってみると、どうなるか

私たちが支援した工業用バルブメーカーの事例では、顧客ごとに書式が異なる数十ページの要求仕様書を読み解く業務が、特定の担当者に集中していました。実演観察で判断基準を言語化し、人とAIの役割分担を設計したうえで、仕様書解析のAIアシスタントを実装。年間で約360時間の解析時間の削減を見込んでいます。

現場の設計課長からは「このAIなら信頼できる」という言葉をいただきました。信頼できる理由は、AIが賢いからではなく、AIの判断の根拠が、自分たちの言葉で書かれた業務知識にあるからです。

まず、どれだけ言葉になっているかを確かめる

御社の業務知識は、どのくらい言葉になっているでしょうか。判断基準は文書として残っているか。ベテランが不在でも同じ品質で回答できる業務はどのくらいあるか。若手は「なぜその判断なのか」を説明できるか。

こうした問いに自分たちで答えられるよう、「AI活用セルフチェックシート」をご用意しました。製品情報・業務知識・経営への説明の3領域、15の質問で、情報資産がAIで使える状態かを約10分で採点できます。

属人化に悩んでいる会社は、たいてい「業務知識」の領域の点数が低く出ます。そこが、言語化の工程を始めるべき場所です。

→ AI活用セルフチェックシート(無料)のダウンロードはこちら

【無料15問】自社の情報資産はAIで使える状態?「AI活用セルフチェックシート」

【無料15問】自社の情報資産はAIで使える状態?「AI活用セルフチェックシート」

資料ダウンロードはこちらから 資料ダウンロードはこちらから

資料内容/ポイント

  • 製品情報が複雑なBtoB製造業のAI推進・DX担当者の方
  • AIを導入したが誤答が多く、原因が分からずに困っている方
  • ベテランの業務判断基準が属人化しており、どうAIに学習させるべきか悩んでいる方

よく読まれている関連記事

ご相談窓口

ご質問、ご相談などがあればフォームまたはお電話でお気軽に問い合わせください。

FURUMOTO MASAKI

マーケティングユニットリーダー/マーケティングコンサルタント

FURUMOTO MASAKI

BtoBリード獲得&育成のマーケ施策設計に特化したマーケティングコンサルタント。得意業界は製造業/医療/大学。他にブランド認知プロモーション、BtoB代理店支援、大学入試広報、新卒採用支援などのテーマも経験多数。 ・保有資格 PMP®(Project Management Professional)

<無料!>お役立ち資料はこちら お問い合わせはこちら