2017年06月23日
留学生に対して自大学のPRを行うには、言わずもがな世界の大学と差別化できるようなコンテンツ発信が重要になってきますが、みなさんはどれだけそこに注力できているでしょうか?「留学生の方へ」のページを開いても留学生対象の入試制度情報しか載っていない、もしくはEnglishページを公開しているもののその実態は日本語サイトを英訳しただけのものになってしまっている…というような状態になっていませんか?今回は外国人留学生の心をつかむコンテンツを考える上で、重要となるポイントを3つあげてみました。
最も基本的なことですが、まずはターゲットとする留学生(地域)が置かれている状況、文化、社会背景をふまえて、どのような動機で留学しようと思うのかを考えることです。たとえば、欧米諸国のような先進国であれば、日本食やサブカル(特にアニメや漫画、ゲームなど)が盛んに流通しているため、キャンパスライフのなかでそうした日本文化にふれられることをイメージさせてあげると、彼らの関心を得やすいはずです。
一方で発展途上国であれば、自国の産業活性化のために、日本の最先端技術を学ぼうとする学生もいるでしょう。たとえば「乾期でもたくましく育つ農作物の品種開発」「人手不足の地域を支援する農業機械生産のノウハウ」など、日本では当たり前と思われる技術、研究分野でも、ターゲット目線で考えると非常に訴求力のあるコンテンツとなりうる可能性を秘めています。アイデアを出すのが難しければ、まずは自大学に留学に来ている学生たちに直接動機を聞いてみるのが近道です。
留学生インタビュー。留学の動機に対して大学がどのように応えているかがわかるコンテンツになっている
二つめのポイントは、いかにして留学の不安を払拭させるコンテンツにするかということです。留学する際は誰でも不安がつきまとうもの。外国で生活するにあたってどんなサポートを受けられるかをまとめてあげると、安心感を与えられるでしょう。奨学金や学費減免といった経済的支援制度の紹介だけでなく、現地の学生と交流できる仕組みがあるなど、留学生にとっての居場所づくりをどれだけサポートしているかといった部分はぜひともアピールしておきたいところです。
東洋大学では家族の来日を補償する嬉しいサービスも。表示言語は日本語/Englishの切り替えができて良心的
三つめは、数字で見せられるデータを出すということです。たとえば「英語が話せる教員の数」や「在学生総数における留学生の割合」など留学生がメリットと思えるような特長を客観的な事実として伝える、といった内容です。言語や文化が違えどこうした客観的な事実、データは万人を納得させやすいものです。数字で見せる以外にも、ノーベル賞の受賞歴や世界大学ランキングへのランクインなど、国際的に評価されている事実を全面的に打ち出すのも手です。
国際的な評価機関による「世界大学ランキング」でランクインしている事実をアピール。言語が異なる相手でも、ランキングにすると自大学の評価が視覚的に伝わりやすい。
これらのポイントをふまえてコンテンツを考えていくには、下準備として自大学の強みを整理しておく必要があります。そのなかで海外の学生が関心を持ちそうなネタがあるかを考えること。それが、彼らの心をつかんで他校と差別化を図っていく一番の近道です。ちなみに「海外の学生」と一言でくくってしまうと非常に抽象的なので、「北米圏の学生」「ヨーロッパ圏の学生」「東南アジア圏の学生」というふうにエリアで区切るとターゲットイメージを具体的に描きやすいです。たとえば北米圏の学生をターゲットとする場合、「キャンパスが広い」という特徴は、北米のような広大な敷地をキャンパスとする大学に通う学生にとっては、メリットとして感じにくいでしょう。ターゲットの関心に沿った形でいかに自大学の強みを発信するかが大事なのです。
実際には留学生向けコンテンツにまでなかなか手がまわっていない大学も多いと思います。ただ、周りが踏み込めていない部分だからこそ、差をつけられるチャンス。大伸社ディライトでは、ターゲットユーザーにあわせて大学の強みを整理するところからコンテンツの企画制作をご支援しています。この機会にぜひ一度コンテンツを見直してみてはいかがでしょうか。
CXデザイン部 次長
古本 真己ユーザーヒアリングを通じて、Web/冊子/動画などジャンルを問わずコンテンツの企画・構成・編集までを行うコンテンツ企画制作ディレクター。 近年はマーケティングファネル上の課題を抽出し、リード獲得からリード育成まで全体を俯瞰して戦略を立案、施策の実施、成果検証まで一貫して担当。PJT全体をプロデュースから運営・ディレクションまでを担うPMとして参画させていただくことが多いです。