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グラフィックデザインに向き合う際にデザイナーが考えていること

2018年02月16日

ブランドコミュニケーションの多くは視覚によって左右される。だけではありません。

ブランドのコミュニケーションは、だいたいにおいて「かっこいい」「インパクトがある」など、見た目が評価に影響を与えます。よく言われるのはB to Cの広告ですが、B to Bカタログ、カンパニーサイトなども同様です。最初の見た目の印象で共感を得られたり、違和感をもたれたりされるものです。

この視覚的影響についてアメリカのマーケティング戦略家アル・ライズ、ローラ・ライズの著書(ブランディング22の法則/片平秀貴監訳/東急エージェンシー出版部)で次の文面を目にしました。「ロゴタイプに使う精巧なシンボルを創るために多くの時間と努力がなされており、各社から大量に作り出されている。こうした努力の大半は徒労である」この意味は、「見た目の印象だけで、影響度がたやすく変わることはない。ブランド(企業・製品の印象づけ)の力は時間をかけ頭のなかに入り込んだその人の経験にある」ということだと思います。

クライアントからよくこんな言葉でデザインに関するご要望をいただきます。「最近の流れが飽きてきたので、センスのある洗練された感じで、環境にやさしいイメージで、今までと違うデザインを考えて欲しい。とくにこだわりはありません」「ロゴのイメージも変えてもらってもいいよ。」変化を追い求めることは、とても重要なことです。が、これらはいずれも表面的で局部的な見た目だけの変化に過ぎません。変化すること自体が目的になってしまっていて、そのブランドが受け手にとってどういう存在であり、またどうあるべきなのかといった根本については忘れ去られているケースも多いのです。

人の印象形成は、過去から積み重ねてきた様々な経験に影響されます。良い経験はそのイメージが印象のベースとなり、人はさらにそこに変化を期待するようになることもあります。逆に悪い経験がある場合は、マイナスイメージを記憶として持ちながらそのものを見て評価しようとします。情報を発信する側にとって、少なくとも現状の評価や業界全体の動向や自社の立場を把握したうえで、どのように変化をさせることがプラスになるかを検討できる素材を準備したうえでグラフィックデザインを考える必要があります。

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ブランドの「らしさ」の上にデザインは成り立つ。

こんな例はいかがでしょうか。以前より行列のできる甘くて見た目にもかわいいスイーツが評判のお店が、今まで甘さの印象で告知していたデザインから濃い真っ赤な鮮明な色が突き刺さるカラーデザインで激辛スイーツはじめました!という告知をします。「あの店が激辛スイーツ!?おもしろい食べてみよう。あのお店の激辛だから何か仕掛けがあるのかもしれない!」と驚きと期待が膨らむことになるかもしれません。なぜなら、あのおいしいスイーツ専門店がつくるものだからおいしいに決まっている!という過去からの体験の影響があるからです。そのうえで印象を反転させる企画でおもしろさと話題性を感じさせることができます。

一方でメニューの種類が多いことで評判の回転寿司店が、今、激辛スイーツが評判だからと、同じく激辛スイーツをメニュー化。常にカラーも賑やかでインパクトの強いメニューの中に「うわさの激辛スイーツはじめました!」という告知をスイーツ店と同様の真っ赤な鮮明な色で掲載します。「えっ?そんな告知あったかな?」「いや−、辛いものたくさん食べたから、もういいかな−」。ということになりますね。そもそも店にくるお客様の頭のイメージは醤油ベースの鮮魚メインの口になっている。スイーツはあくまでもサブ的なもので子どもが食べるケースがほとんど。子どもは激辛は苦手。赤のイメージも日常的に使われている色で新鮮みがない。競合するものが多すぎて目立たない。

以上のように環境によって赤だから目立つという考え方は通用しないうえに、見る人もそれを目にすると同時にそれだけを見て影響されていないことがわかっていただけると思います。

クリエイティブワークのプロセスにマーケティング視点を。

現在においては、いくつかのアプリケーションと使える技量があれば、誰もがカタログやWebサイトを作ることができます。過去にこんなことを相談されたことがあります。「私なりに作ってみたんだけどね、この丸の大きさと色、それと文字の書体で悩んでいるんだよ。罫で囲んだ方がいいかな」…。こうしたご相談に対しては、「貴社のコーポレートカラーはありますか?それは何年に決められて、どのように変化してこられていますか?他の販促ツールを一式見せていただけますか?現在どのように見られているとお考えですか?現在の見られかたをどのように変えたいとお考えですか?競合他社との比較は…」など多くの質問をさせていただきました。そのお客様は自分でつくることをやめられて、初期の製品販促計画書や中長期計画の資料をもとに打ち合わせをされるようになりました。私はグラフックデザインを考えることは、マーケティング視点を取り入れたクリエイティブワークのプロセスが必要で、その場の視点、周りの雰囲気に影響されてつくるものではないと、お話しをさせていただいています。

グラフィックデザインは、見せるという単純なものでなく、感じさせる、使わせるなど、多くの関わりを持つ役割があります。時間経緯の中で多くのファンづくりを進めていく基本となるものです。そのうえで「どんな人たちに、どのように思われたいのか、現状はどうなのか、早急に何を達成すべきか、そのために必要な要素は…。それを視覚的表現すると…。そうしたプロセスこそがグラフィックデザインを考えるということに他ならないと私は考えています。

当社では多くの企業様と「デザイン」のお仕事をさせていただいておりますが、どのスタッフも常に企業様の価値ある資産を作る思いで向き合っており、こうしたプロセスを大切にしています。私たちの考えに共感いただき、作り上げていく仕事を共にしていただけるクライアントとの出会いは私たちにとってこの上ない喜びです。

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谷中 芳武

アートディレクター

谷中 芳武

販売促進のためのデザイン表現設計を担当。トンマナの考え方をベースにカタログ、動画、ウェブサイトなど総合的に取り組み、マーケティング視点での広域なデザイン表現で顧客の持つ課題に対して可視化し、最適化を行います。 技術・工業系の領域を得意とする。