デジタルマーケティング
2021年08月11日
2023年10月13日
人々の日常生活はもちろん、ビジネスの場面においても大きな変革をもたらした新型コロナウイルス感染症の世界的拡大。私たち大伸社ディライトのお客様はBtoB製造業のメーカーや企業が非常に多いのですが、その営業スタイルにもコロナ前と比較してさまざまな変化が見られました。
ちなみに以下は、コロナ禍でよく聞かれた製造業における主な営業課題です。
もともと製造業における営業活動といえば、既存顧客へは定期的な訪問、展示会出展による新規顧客との接点創出、または紹介による販路拡大などが主流でしたが、コロナにより従来の営業活動が通用しなくなったことで必然的にデジタル化が加速しました。
ちなみに「国土交通白書2021(※1)」によると、コロナ禍を契機にデジタル施策に取り組み始めた企業は全体の75.5%に上ったとの調査結果が。以前から「製造業の現場は他業種・業態と比べてDX(デジタルトランスフォーメーション)化が遅れ気味」と言われていましたが、コロナ禍による対面での営業活動への制限や変化は製造業においても例外なく深刻で、結果、デジタル化推進の後押しとなりました。
しかし、一方で「製造業でデジタル化が進んだのは事務職や営業職が中心。生産現場である工場ではそこまで大きな変化はなかった」という声も多く聞かれます。
インターネット環境とパソコンがあれば非接触による営業活動や各種業務のデジタル化に対応できる職種ではDX化が一気に加速しましたが、工場のようなモノ作りの現場における浸透にはまだまだ課題が多く、一部の企業を除き大きな変革には至らなかったのが実情です。
※1:出典 https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/r02/hakusho/r03/html/n1243000.html
多くの製造業では工場の実務自動化やAI・IoTなど先端技術の導入・活用といった大掛かりな変革には至っていないものの、コロナを経て、お客様自身が製造業の現場を今後、「ユーザーに新たな体験を生む空間としてどう向上させていくか?」という広い視野で捉え始めているようです。
もともと “モノ作り”を何よりも重視する生産現場ではデジタル施策に対して、上層部の理解が薄い、効果が読みづらい等を理由に後回しになりがちな傾向がありました。
しかし、コロナを契機に製造業DXに対する現場の意識は徐々に向上しているといわれ、実際、中小企業庁による『2021年版 中小企業白書(※2)』には「新型コロナウイルス流行前後で、製造分野の中小企業におけるデジタル化への意識が大きく変化し前向きな傾向にあること」が示されています。
私たちのお客様の中にもコロナを機に、自社内でYouTube用の動画やデジタルマーケティング用のコンテンツを制作し情報発信まで行う先が急増しました。中には、自社内に動画撮影のスペースを新設する企業もあり、動画やコンテンツ制作のための空間づくりといったご相談・施工も増えています。
コロナを契機としたデジタル活用~情報発信力の向上は多くの業種・業態に当てはまる傾向ですが、製造業にもその波は押し寄せています。
デジタルに対する企業やスタッフの意識が変わったことで、情報収集や製品・サービス情報の発信手段も大きく変化しています。
コロナ以前は営業担当が商談場面で直接、製品や製品をレイアウトする空間の動画を見せながら説明するといった活用が主流で、企業自らYouTube等を活用して広く世の中に情報発信するケースはそう多くはありませんでした。
しかし、コロナを機に企業によるYouTubeの活用は一気に加速。対面営業や直接コミュニケーションがはかれない分、これまで限定的に活用していた各種動画・コンテンツをもっと広く積極的に発信していこうという企業側の意識変化から情報発信力は高まり、一方で、情報の受け手であるクライアント側も商談先と対面できない制限により「必要な情報はネットで収集・閲覧する」という“自ら情報を取りに行く”スタイルがより定着しました。
他にも、デジタルと空間が融合したバーチャルショールームもコロナを契機に生まれたデジタル空間コンテンツです。コロナ禍では多くの製造業メーカーが、実際のショールームの代わりにとバーチャルショールームを制作、ここから派生してオンライン展示会が台頭したのもまだ記憶に新しいでしょう。
製造業の空間といえば、まず思い浮かべるのは「工場」と「ショールーム」ではないでしょうか? 工場は「生産現場」、ショールームは「展示スペース」というのが一般的なイメージですが、コロナを経た今、この概念が少し変わりつつあります。
もちろん工場は生産現場として、ショールームは展示スペースとして機能することに変わりはありませんが、それぞれ別の役割や付加価値を持たせようとする動きが活発化しています。
生産現場の技術や仕組みを外部に公開し、可能な範囲で体験を提供するオープンファクトリーへの取り組みが進展。企業単位での取り組みをはじめ、近年では地域単位による取り組みも増えており、地域ブランディングへの貢献も期待されています。
ショールームを従来の製品展示の場から、見込み客との接点の場、交流の場として刷新するケースが増えています。中には、自社製品だけでなく他社による周辺製品・設備も併せて展示することで “課題解決スペース”へのシフトを図る企業もあります。
上記のように工場・ショールームといった製造業の要となる空間のブランディングに取り組むことで、採用活動や社員に対するインナーブランディング強化への寄与といった副次的効果も期待できます。
※2:出典:https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2021/chusho/b2_2_1.html
しかし、企業側の情報発信力が強化されたことで、見込み客であるユーザーはコロナ前と比べより多くの情報をインプットした状態で工場やショールームを訪れるようになりました。そのため今後、空間リブランディングに取り組む企業は、コロナ前以上に「この空間に来訪いただく目的をどう創出するか?」「この空間でしか得られない情報や体験をどう提供するのか?」を深く考察する必要があります。
これら課題を踏まえたうえで、アフターコロナに求められる空間ソリューションはどうあるべきか? その鍵となるキーワードとして、以下、2点を挙げます。
コロナ禍では、バーチャル空間とリアル空間をすみ分けながら情報提供・発信するケースが多くみられましたが、これからはバーチャル空間とリアル空間を融合した新たなアプローチを展開する例が増えるでしょう。
例えば、「ショールームの詳細確認はバーチャルルーム上で済ませ、実際のショールームではARを活用しながら製品や機械の設置イメージを確認する」等。特に最近増えているのが、「現物を展示することが難しい大型機械・製品のPRをAR・VRを活用しながらショールームで展開する」ケースで、その場合、ショールームにいながら製品の詳細情報はQRコードをかざしてネットで確認する等、商材に応じた最適なリアル空間・バーチャル空間の使い分けが一層進むとみられます。
最近の傾向として、ショールームは「展示スペース」から「見込み客との接点の場、交流の場」としての刷新が求められていると紹介しました。
従来からショールームには相談窓口としての機能はありましたが、その多くは自社製品・サービスに関する相談が主でした。見込み客との接点・交流の場として転換するには、お客様の課題解決に向けた包括的な提案を行う場としてショールームを機能させる必要があります。
自社製品・サービスだけを展示・紹介するのではなく、お客様の課題解決に有益な情報、例えば各種周辺製品・サービスとの比較や、過去の類似事例への取り組みの紹介等を行い、「ここに来れば解決の糸口が見つかる」という場へ。従来の「売りたいものを並べる場」から「お客様の課題解決を行う場」への変換が求められています。
私たちのお客様のニーズや状況を例に挙げ、コロナ前後で製造業の空間の捉え方がどう変化したかをご紹介しました。
今、空間リブランディングを検討されている製造業のお客様は、「バーチャル空間×リアル空間の融合」と「包括的な提案力」という2つのキーワードを覚えておいてください。
ちなみにこの2つのキーワードを実現するには、空間の特性に応じたコンセプトワークや、そのコンセプトを前提に空間および各種コンテンツに落とし込む企画力やプロジェクトを一気通貫で動かすチーム力がより求められます。
私たち大伸社ディライトでは、空間設計のプロを中心にコンセプトワークを担うプランナーや各種コンテンツ制作を担うデザイナー、進行管理スタッフなど、取り組みに応じた多彩なメンバー編成によりご要望+αを形にする空間づくりをご提案いたします。空間リブランディングをご検討中のお客様はぜひお気軽にお問い合わせください。
WEBディレクター / コンテンツプランナー
横山 由美WEB上でのリード獲得や集客に向けたコンテンツ企画立案~制作ディレクションまでを担当。キーワード設計によるコンテンツSEOやコンテンツマーケティングなどが最近の主な担当案件です。WEB解析士/GAIQ 保有