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事例紹介:製薬業界におけるCX変革のためのトレーニング

2024年04月16日

優れたCX(顧客体験)を提供し、そのレベルを向上させ続けることが企業の差別化・成長の鍵を握っております。

製薬業界も例外ではありません。ここ数年、医療を取り巻くテクノロジーの進化により治療アプローチが複雑化・多様化し、医療従事者や患者、保険支払者など様々なステークホルダーのニーズも変化している中で、製薬企業としてはステークホルダーのニーズをさらに深く理解し、CX(顧客体験)を向上させることの重要性が増しています。

大伸社グループのmctでも、カスタマージャーニー(ペイシェントジャーニー・ドクタージャーニーなど)の理解〜施策開発を支援する機会は多くなっています。さらにチームにCXの考え方を浸透させたい・チームメンバー自身で顧客中心の施策を生み出せるようにスキルを高めたいといった相談をいただくことも増えてきました。

今回は、そのような製薬業界で、チームメンバーのCXケイパビリティを高めることを目的としたトレーニングを行ったプロジェクト事例を紹介したいと思います。

 

Project background

■企業全体で「CX変革により自社の提供価値を強化する」方針が掲げられる中、自チームのメンバーが主体的にCX向上に取り組めるように知識・スキルを身につけたい。

今回取り上げる事例のクライアント様は、グローバルに展開する大手製薬企業様のメディカルアフェアーズ部門でした。

この企業では、グローバルでの方針としてCXの強化により自社の提供価値を高めることを掲げており、国内のメディカルアフェアーズ部門においても医師や患者にとっての体験を改善・変革する施策を開発することが求められていました。

一方で、製薬業界においてはまだまだCXの考え方は新しいものであり、同部門では顧客体験を中心に据えて施策開発を行った経験も少なく、CXの知識・スキルが不足しているという課題がありました。

このような状況の中、メンバーのCXのケイパビリティを高めることにより、メンバー自身が主体的にCX向上のための施策立案ができるようにすることを目的に、部門メンバー約30名の参加者に対して今回のトレーニングは企画されました。

 

Key steps

■「基礎理解フェーズ」 と 「演習フェーズ」 の2つのフェーズで実施
■CXデザインの基礎知識を学んだ後に、顧客インタビューをもとにした分析・施策アイデア開発の一連の流れを体験することで、実践的なスキルを身につけるプログラム構成とした。

 

基礎理解フェーズ

基礎理解フェーズでは「基礎学習」を行った後に「理解を深めるためのセッション」を実施しました。

「基礎学習」としては「CX4DX」アプリを活用した自主学習形式で行いました。このアプリでは、全10章のテーマでCXの全体像を理解することができるコンテンツが含まれており、これをアニメ動画とクイズを通して学ぶことができます。アプリを通して、以下のポイントについての基礎学習を行いました。

 ・CXとは何か?
 ・CXに取り組む目的は?
 ・企業がCX向上に取り組むために必要な6つのケイパビリティについて
  (CXビジョン・戦略、顧客理解、CXデザイン、測定、ガバナンス、カルチャー)


「CX4DX」アプリ

 

各参加者がアプリの基礎学習を行った後に行った「理解を深めるためのセッション」では、グループに分かれて「自社にとってのCXの意味」について議論し、CXへの理解を深めました。

テーマはアプリで学習した内容となっており、例えば「CXに取り組む目的」について学習した後に「自社にとって重要なステークホルダーは?」「CXを改善するとその人たちにどのように影響するか?」といったことについて議論を行いました。

これらのワークを通して、CXの基礎知識を吸収して、CXが自身の業務にとってなぜ必要なのか・どのような意味を持つのか、また自分たちとしてはCXに関連してどのような取り組みを行う必要があるのかについて学んでいきました。


miroでのオンラインワークショップの様子

 

演習フェーズ

演習フェーズでは、CX向上に取り組むために必要な6つのケイパビリティのうち「顧客理解」と「CXデザイン」について実践的なスキルを身につけることを目的として、医師チーム・患者チームに分かれて、仮説構築、ステークホルダーへのインタビュー、分析ワーク、施策アイデア開発の一連の流れを体験しました。

ステークホルダーインタビューでは、自社が製品を提供している疾患領域の医師・患者を集めてその人たちの生の声を聞くことにすることで、ただ手法を理解するだけにとどまらず、トレーニング終了後に「今回の短期間のトレーニングでもこんな発見があったから、今度はこんな仮説を持ってこんなインタビューをすれば、こんな活動ができるんじゃないか」「今回のアイデアをもとにプロトタイピング〜テストをしてみよう」といった形で実業務の活動にもつなげていくことも狙いとしてありました。

分析ワークでは、CXデザインにおいて最も重要なツールのひとつであるカスタマージャーニーマップの作成を行い、カスタマージャーニー全体を見渡して、医師・患者の体験に大きな影響を与える(よい方向に導く/悪い方向に導く可能性がある)ポイント=MOT(Moment of Truth)について議論を行いました。


miroでのオンラインワークショップの様子

 

Outcomes

■チームメンバーが率先してCXについて語るようになった。

トレートレーニング終了後、参加者からは「CXの概念が非常に深まった」「CXの手法も学ぶことができき実践で使えそうな気がする」「CXに関する言語が社内で共通言語化できた」といった声が聞かれ、今回の「CXのケイパビリティを高める」という目的の第一歩は達成できたのではないかと思われます。

その後も社内では、製薬業界における重要なステークホルダーである患者に焦点を当てて「ペイシェントセントリック(患者中心)の考えで今度の患者サポートプログラムを考えてみよう」といった声も挙がっており、実際に立ち上がったプロジェクトもあり、チーム内で着実にCXの考え方が浸透していることが伺えました。

 


 

今回は製薬企業におけるCXケイパビリティ向上のためのトレーニングの事例を紹介させていただきました。
大伸社グループのmctではCX変革・改善のための施策開発プロジェクトのご支援やCXケイパビリティ向上のためのトレーニングをご提供しています。ご興味がある方はぜひお声掛けください。

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