English
お問い合わせ
  • Blog
  • 英語サイトだけでは限界!東南アジアで成果を出すデジタル戦略5ステップ

英語サイトだけでは限界!東南アジアで成果を出すデジタル戦略5ステップ

2025年07月07日更新

東南アジアで持続的に顧客接点を生み出すには、戦略と実行を一貫させたデジタルマーケティング体制が鍵です。
以下では、日本の製造業がタイ・ベトナム・インドネシアで成果を出すための5つのステップを紹介します。
持続的な仕組みによって、単発の広告に頼らない安定したリード獲得を目指しましょう。

海外に拠点を構えた日本の製造業の中には、「現地でなかなか顧客との接点を作れない」「思うように成果が上がらない」という
悩みを抱える企業が少なくありません。例えば、次のような声をよく耳にします。

・「英語サイトを作ったものの、現地からの反応が薄い…」
・「現地の展示会で名刺は集めたが、その後のフォローがうまくいかない…」
・「営業活動が特定の担当者に依存しており、組織的に展開できていない…」

こうした課題に対し、「一時的な広告」ではなく「持続的に顧客接点を生み出す仕組み」を築く視点でデジタルマーケティングを再設計することが重要です。
本記事では、東南アジア現地法人の担当者や日本本社のマーケティング/営業企画担当者の立場に立ち、リアルな課題感に寄り添いながら、東南アジアで成果を出すデジタルマーケティング再設計の5ステップを解説します。

ステップ1:現地のデジタル環境と顧客行動を理解する

まず着手すべきは、進出先国のデジタル環境とユーザー行動の把握です。
東南アジア各国ではインターネットやSNSが急速に普及し、BtoBビジネスにおいても情報収集や顧客接点の主流がオフラインからオンラインへ移行しつつあります。タイでは従来、取引獲得は展示会や業界ネットワーク中心でしたが、現在ではGoogle検索やSNSで情報収集するのが主流となり、特にLinkedInやFacebookがBtoBマーケティングで重要なプラットフォームに位置付けられています。
これは他の東南アジア諸国でも傾向は共通で、デジタル上で自社を見つけてもらい、接点を持つ戦略が不可欠です。

各国ごとの現地SNSの浸透状況や検索行動の傾向も理解しましょう。
例えばベトナムではFacebookに加えて国産SNSの「Zalo」が広く定着しており、2023年時点でアクティブユーザー数7,500万人、人口の75%が利用していると言われます。またベトナムにはGoogleに次ぐシェアを持つ検索エンジン「Cốc Cốc」も存在し、ベトナム語での検索最適化が重要です。一方、インドネシアは世界有数のソーシャルメディア大国で、2025年時点でSNSユーザーは約1億4,300万人と全人口の50%超に達しています。特にWhatsApp(利用率91.7%)、Instagram(84.6%)、Facebook(83.0%)、TikTok(77.4%)が多く利用されており、ビジネス向けSNSのLinkedInも約3,775万人(オンライン人口の26.4%)が利用しています。このように各国で主流のプラットフォームは異なるため、自社のターゲット層がどの言語で情報収集し、どのSNSを使っているかをリサーチし、戦略に反映させることが大切です。

ステップ2:自社サイト・オンライン基盤を現地仕様に最適化する

次に、自社のデジタル接点(Webサイトやランディングページ、SNS公式アカウント等)を現地市場向けに最適化します。
日本本社で用意した英語版サイトをそのまま置いている企業もありますが、「英語で情報は載せているのに反応が薄い」という場合、
多くは言語や内容が現地の実情に合っていないことが原因です。

まず検討したいのが言語対応です。
ターゲットが多国籍企業など英語運用が一般化している場合は英語だけでも一定の訴求力がありますが、現地ローカル企業やローカルの担当者を狙うなら現地語対応が不可欠です。
例えばタイ市場では「グローバル企業だけをターゲットにする場合は英語のみでもよいが、地場企業を狙うならタイ語コンテンツが必要」というデータもあります。実際、タイ語対応の有無が理解促進や意思決定スピードに大きく影響します。ベトナムやインドネシアにおいても、同様に現地語での情報提供は信頼感の醸成につながり、英語のみではリーチできなかった層との接点創出につながります。

言語以外にも、現地向けにサイト内容・構成を見直すことが必要です。
自社製品・サービスの訴求ポイントが現地の産業事情やニーズにマッチしているかを確認しましょう。
例えば、現地ならではの活用事例や導入実績があれば前面に出し、「自分たちの国/業界でも実績がある」と感じてもらえるコンテンツを用意します。また、東南アジアではスマートフォン経由のアクセスが非常に多いため、モバイルでストレスなく閲覧・問い合わせできるUI/UXも不可欠です。加えて、現地のネット回線速度に合わせた表示スピードの最適化、問い合わせフォームの項目見直し(ローカル企業でも違和感のない項目名にする等)も検討しましょう。

最後に、サイト上でのリード獲得導線を整備します。
お問合わせフォームやカタログ/PDFダウンロード、ニュースレター登録など、見込み顧客の連絡先を入手できる仕掛けを用意しましょう。
展示会後のフォローに課題を感じている場合、サイトに「お問合わせはこちら」「資料請求はこちら」といった明確なCTAを配置し、名刺以外からもリードを獲得できる状態を作ることが大切です。せっかく現地語コンテンツで興味を持ってもらっても、次のアクションにつながる窓口がなければ機会損失になります。サイトは単なる会社案内ではなく、現地見込み客を育てる“営業拠点”と位置づけて最適化しましょう。

ステップ3:現地ニーズに合ったコンテンツ発信とリード獲得の仕組み作り

現地向けの基盤が整ったら、ターゲットの関心や課題に応えるコンテンツを継続的に発信し、リードを育成する仕組みを構築します。
単発の広告出稿だけでは一時的な問い合わせは得られても継続性に欠けます。そうではなく、有益な情報提供を通じて見込み顧客との信頼関係を育む「コンテンツマーケティング」に注力することが、BtoBビジネスでは特に重要です。実際タイでは、価値ある情報を提供しながら見込み顧客を育成する「リードナーチャリング」の重要性が指摘されています。BtoB企業の購買プロセスは比較的長期にわたり、すぐに成約に至らないケースが多いため、腰を据えて長期的な関係構築を意識したマーケティングが求められるのです。

具体的には、以下のような施策が考えられます。
・業界や用途に特化したブログ記事やホワイトペーパーの発信
 現地の見込み顧客が抱える課題をテーマに、解決策や知識を提供する記事をサイトに設置。
例えば、「タイの製造業向け生産管理システム成功事例集」や「ベトナム市場における品質管理のポイント」といったコンテンツを用意すれば、検索経由で潜在顧客をサイトに呼び込めます。実際、あるBtoB企業はSEO対策したブログ記事で見込み客を集め、ウェビナーに誘導し、最終的に展示会や個別商談につなげる一連のフローを構築してコンバージョン率を大幅に高めました。このようにオンラインコンテンツとオフライン営業を組み合わせた仕組みは、東南アジアの市場で特に有効です。

・資料ダウンロードやウェビナーでリード情報を取得
製品カタログ、技術ガイド、事例集などの資料をサイト上でダウンロード提供し、その際に連絡先登録を促します。
またオンラインセミナー(ウェビナー)を定期開催し、興味を持った現地企業に参加登録してもらう方法も効果的です。ダウンロードや参加登録で得た見込み客リストに対しては、後日フォローメールを送ったり、ニーズをヒアリングする電話を営業担当が入れたりと、ナーチャリング(顧客育成)を進めます。ポイントは、展示会で名刺を獲得した後と同様に、オンラインで得たリードにも丁寧なフォローをする体制を作ることです。

・現地事例や導入効果のコンテンツ化
 東南アジアで既に取引実績がある場合は、現地企業の導入事例やインタビューをコンテンツにしましょう。
「同じ国/地域の企業が採用し効果を上げている」と示せれば、見込み客の信頼感は一段と高まります。また、事例がない場合でも日本国内の事例を現地向けに翻訳・編集し、「日本で〇〇社が導入し○%生産性向上」といった具体的な成果データを盛り込むことで、製品の信頼性を補強できます。

こうしたコンテンツとリード獲得施策を通じ、見込み顧客と複数回接点を持ち、じっくり育てていく仕組みが出来上がります。
特に東南アジアでは、人間関係の重視や慎重な意思決定プロセスといったビジネス文化的背景もあり、「いかに長期で接点を維持し信頼を高めるか」が重要です。一度会っただけ・サイトを見ただけで契約になることは稀です。
だからこそ、継続的な情報発信とフォローの仕組みによって「この会社は役立つ情報をくれる」「信頼できるパートナーかもしれない」という印象を積み重ねていきましょう。

ステップ4:現地SNSと検索マーケティングの活用で継続的に見込み客と接点構築

優れたコンテンツを用意したら、それを現地の有力チャネルを通じてターゲットに届ける活動を行います。
具体的には、現地で主流のSNS活用と検索エンジンマーケティングの2本柱でアプローチしましょう。

SNS活用: ステップ1で把握した各国の主要SNS上で、自社の情報発信と広告展開を行います。
例えばタイやインドネシアではFacebookページやLinkedInページを開設し、記事更新や事例紹介を現地語で定期発信すると効果的です。
タイでは社会人の9割以上がFacebookアカウントを持ち、7割以上が毎日利用しているとのデータもあり、意思決定者層も日常的にFacebookで情報収集をしています。BtoBであってもFacebookの業界グループなどに有益な情報提供を行えば、新たなリード獲得や関係構築につながります。LinkedInは外資系や経営層へのリーチに有効で、インドネシアでは先述の通り数千万人規模のユーザーが存在します。LinkedInでは職種や肩書でターゲティングした広告配信や、業界コミュニティへの参加・発信を通じて、キーパーソンに直接アプローチできます。

ベトナムのZaloのような、ローカル特有のSNSも看過できません。
Zaloはメッセージアプリ兼SNSとしてビジネス利用も進んでおり、公式アカウントを開設して問い合わせ対応や情報発信に使う企業もあります。
また、タイではLINE公式アカウントが有効なケースもあります。このように、現地で商習慣に根付いたSNS上で存在感を示すことが、「お客様が普段いる場所」に自社から歩み寄ることにつながります。

SNS運用においては、広告出稿も積極的に活用しましょう。
FacebookやLinkedInでは、業種・職種・興味関心などで細かくターゲティングした広告配信が可能です。
例えば「ベトナム国内の製造業経営者」を対象に自社ホワイトペーパーのダウンロード広告を出す、といった手法です。広告は一時的な施策に思われがちですが、適切なターゲティングで継続実施すれば常に新しい見込み客を呼び込む仕組みになります。
重要なのは、広告でキャッチした見込み客をそのままにせず、ステップ3で整えたコンテンツ提供やフォロー体制につなげることです。
一例として、展示会出展前にオンライン広告でターゲット層を事前誘導し、展示会の自社ブース訪問につなげるようなデジタルとリアルの連携施策は非常に効果的です。短期的な反応だけでなく、広告→コンテンツ接触→お問い合わせという一連の流れをデザインして運用することで、広告投資の効果を最大化できます。

検索エンジンマーケティング: 現地での検索行動にも対応しましょう。
まずSEO(検索エンジン最適化)では、現地語・英語双方で自社サービスに関連するキーワード対策を行います。
例えばタイで製造業向けソリューションを売るなら、「タイ 工場 自動化」「Thailand ERP for Manufacturing」といった現地ユーザーが検索しそうな語句で自社サイトやブログが上位表示されるよう、コンテンツ強化やメタタグ設定を実施します。先述のようにベトナムではCốc Cốcへの対策も有効ですが、基本的にはGoogleが主要検索エンジンであり、ここを押さえることが重要です。検索広告(リスティング広告)は、短期的に見込み客を集める手段として有効です。クリック単価は日本より割安な場合も多いので、限られた予算でも特定の国・地域の特定のキーワードに絞って出稿すれば、ピンポイントで潜在ニーズを持つ企業にアプローチできます。
ただし、闇雲に広範囲へ出稿すると無駄が出るため、言語・地域・業種を絞り込んだキーワード戦略で費用対効果を高めることがポイントです。

以上のように、現地SNSと検索エンジンをフル活用して「見込み客との接点を作り続ける」のがステップ4の目的です。広告であれオーガニック投稿であれ、常に市場に発信を続けることでブランド想起の機会を増やし、継続的にリードを獲得する仕組みが出来上がります。ここでも大事なのは、獲得したリードを放置せず一貫したフォロー体制へつなげることです(次ステップ参照)。単発施策に終わらない「持続的な顧客接点づくり」のために、デジタルチャネルを常時稼働させておきましょう。

ステップ5:マーケティングと営業の連携強化で属人的営業から組織営業へ

最後のステップは、獲得したリードを確実に商談・受注につなげるための、マーケティング部門と営業部門の連携強化です。
東南アジアの現地拠点では、どうしても限られた人数で営業活動を行っているケースが多く、特定のキーパーソンに顧客対応が集中しがちです。「現地営業が属人的でスケールしない」という悩みはまさにそこにあります。この課題を解決するには、マーケティングが生み出したリードを営業チーム全体でフォローし、ノウハウを共有しながら受注率を高める体制を築くことが重要です。

具体策としては、以下のポイントが挙げられます。

・リード情報の一元管理とスコアリング:
ウェブ経由で入手した問い合わせや資料ダウンロード登録者、展示会で集めた名刺情報などは、すべてCRMや顧客管理シートで一元管理します。マーケティング担当者がリストを管理するだけでなく、営業担当者もアクセスできるようにし、最新のコンタクト状況を共有します。
また、リードごとに温度感を「A(今すぐ商談化)B(興味あり)C(将来性)」といったランク付けしたり、アクセス履歴や反応に基づいてスコアを付与する仕組み(マーケティングオートメーションツールの活用等)も有効です。
限られた営業リソースを有望なリードに集中させるための目安になります。

・迅速かつ計画的なフォローアップ:
リードに対しては初回接点からできるだけ早く営業アクションを起こします。例えばお問合わせが来たら現地営業が24時間以内に返信する、資料ダウンロードした見込み客には数日以内に「資料内容はいかがでしたか?」とフォローメールを送る、といった具合です。特に展示会後はフォローが肝心です。ある日系の産業機械メーカーは毎年タイのMETALEXに出展し多数のリードを得ていましたが、展示会後のフォローアップ体制を強化したところ成功率が大幅向上し、契約につながる確率が飛躍的に高まったという報告もあります。このように、マーケと営業が連携してタイミング良くアプローチすることで商談化率・受注率は格段に上がります。リードごとに誰がいつ何をするかを予め決め、追客漏れを防ぎましょう。

・営業プロセスの見える化とチーム共有:
個々の営業担当者任せにせず、進捗をチームで共有します。例えば週次でマーケ&営業合同のリード検討ミーティングを行い、「○○社は先週資料DL、今週メール反応あり、そろそろ訪問アプローチしよう」など意見交換します。属人的なやり方から、チーム全体でリードを育てる文化にシフトすることで、仮に担当者が異動・離脱してもフォローが継続でき、組織として営業力が強化されます。

・継続的な改善(PDCA):
マーケティング施策から営業結果まで一連の流れを定期的に振り返り、データに基づき改善します。どのチャネル経由のリードが受注率高いか、どのコンテンツに反応が良いか、フォローのタイミングは適切か──こうした指標をモニタリングし、ボトルネックがあれば対策を講じます。東南アジア市場は経済成長が著しく環境変化も早いため、戦略も実行も走りながらアップデートしていく姿勢が不可欠です。

以上のような取り組みにより、「営業が特定個人の人脈頼みで限界…」という状態から脱し、マーケティングと営業が二人三脚で仕組みを回す「スケーラブルな営業体制」へと移行できます。これにより現地拠点でも新規開拓が再現性をもって進むようになり、数字の底上げが期待できます。

おわりに:戦略と実行をつなぎ、持続的な顧客接点創出へ

東南アジアにおけるデジタルマーケティング再設計の5ステップをまとめると以下の通りです。

1.現地のデジタル環境理解 – 顧客が集うチャネルと言語を見極める
2.自社オンライン基盤の最適化 – 現地語対応と使いやすさで信頼感アップ
3.コンテンツ&リードナーチャリング – 有益情報を提供し信頼関係を育成
4.現地SNS・検索マーケ活用 – 継続的な情報発信で常にリード獲得
5.営業連携とPDCA – フォロー体制強化で属人化を解消し成果最大化

重要なのは、これらのステップを単発ではなく一気通貫で実行し続けることです。戦略を立てただけで終わらず、日々の実行と改善のサイクルを回すことで初めて持続的な成果が生まれます。幸いデジタル領域では顧客の反応を定量的に把握しやすく、改善のヒントも得られやすい土壌があります。現地担当者と本社マーケティング/営業企画が協力し、「戦略と実行をつなぐ」視点で一丸となって取り組むことで、必ずや東南アジアでの事業成長に繋がるデジタルマーケティング基盤を築けるでしょう。

当社では各国市場の知見とマーケティング&クリエイティブの総合力を活かし、お客様の「持続的に顧客接点を生み出す仕組み」作りを伴走支援しています。ぜひ本記事のステップを参考に、貴社の東南アジア展開におけるデジタルマーケティングを再設計してみてください。現地での安定したリード獲得とビジネス拡大に向けた取り組みの一助になれば幸いです。

タイ自動車業界向け新規獲得5つのステップ

タイ自動車業界向け新規獲得5つのステップ

資料ダウンロードはこちらから 資料ダウンロードはこちらから

資料内容/ポイント

  • EV拡大、ASEAN進出…変革が進むタイ自動車業界の最新市場背景
  • サプライチェーン構造(Tier1〜3)とターゲット企業整理
  • 日系企業の獲得に向けたペルソナ別の提案アプローチ設計
  • WEB・展示会・プレスリリース・ショールームを活用した実践ステップ
  • 中長期でのASEAN市場展開も見据えた施策提案

ご相談窓口

ご質問、ご相談などがあればフォームまたはお電話でお気軽に問い合わせください。

山本 大輔

ビジネスコンサルティング部 部長

山本 大輔

BtoB企業、教育機関のブランディング・マーケティング支援に従事。上流の戦略策定からコアバリュー定義、リード獲得・育成の仕組み構築の伴走支援が得意。 ・保有資格 ウェブ解析士

<無料!>お役立ち資料はこちら お問い合わせはこちら