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入試広報編「訴求ターゲット」を意識したコピーライティング ※作成例あり

大学の学びが「商品」だとすれば、大学案内や学部サイトに掲載されている文章は、商品の魅力を伝える「セールスコピー」のようなもの。商品コピーと同様、訴求ターゲットを明確に絞り、そこにフォーカスすればするほど、コミュニケーションはより強いものになります。この記事では、訴求ターゲットを意識したコピーライティング(学部・学科)の考え方についてご紹介いたします。

戦略的に「what to say」を考える

ある大学でお仕事をご一緒させていただいた入試広報担当の方のお話です。マネージャーを務めるその方は、大学案内をはじめとする制作物に対して、次のような問題意識をもって取り組まれていました。
 
「コピー表現や写真表現の一つひとつが、なぜそれが載っていて、なぜその表現であるのか、根拠のあるものでなければならないと思う」
 
その方は、他大学の広報についても、(学部・学科のレベルまで)大変熱心に研究されていました。そして、競合大学がひしめく中で、「自校のポジション」についても、具体的かつドライに判断し、そのポテンシャルをきわめて客観的に捉えておられました。
 
上記のコメントは、次のような指摘であろうと思います。「大学の広報物にもマーケティング的な“戦略”が必要だ」ということ。そして、コピー表現一つとっても、「その“戦略”に対していかに機能できているかという観点も持つべき」ということ。私はこの考えに触れたとき、コピーライティングの基本をあらためて再認識させられた気がしました。

訴求対象が明確になれば「言うべきこと」が見えてくる

入試広報に限らず、コピーライティングには、基本的な手順があるといわれます。まずその商品について「何を言うべきか」(what to say)。その土台が固まった上で「どう言うべきか」(how to say)が成り立つ、という順番です。当然といえば当然のようですが、要するに、表層的な言い回しばかりをいじくり倒していてもダメで、「何を」の選択眼こそが、コピーの生命線であるということをこのセオリーは示唆しているわけです。本当に効くコピーは、その検討を抜きにして生まれない。この点、入試広報領域のコピーもまったく同じだと思うのです。
 
さて、ではどうやって「what to say」を特定すべきか。学部・学科の「what to say」は、言い換えれば、その学部・学科が、誰を相手に、どの「市場」で勝負するかの取捨選択です。
 
たとえば、こんな表を想定してみると、「what to say」の方針を考える手がかりになるかも知れません。この表は、「学部・学科の概要を説明するときに、最も基本となる要素」をマトリクスで表してみたものです。 
matrix1 この「学問」は何を学ぶか
2 この「学部」は何を学ぶか
3 この「学問」はどう役立つか
4 この「学部」はどう役立つか
 
1と3は「学問」、2と4は「(自校の)学部」という具合に、間口の広さ、絞り込み方に違いがあります。また、1と2は「在学中の学び」に、3と4は「成長の結果得られるもの」、つまり将来的価値に重点を置いています。
 
学部・学科の「what to say」は、大抵この4つの象限の中に分類できるのではないかと思います。媒体や文脈によってこれらを使い分けていくのも一つの手ですが、いずれにしても都度、コピーとしては、ただ一つの「何を言うべきか」を選ばなくてはなりません。この見極めこそが、コピーライティングという一連の思考プロセスの、まさに要なのだと思います。

置かれている状況によって「what to say」は異なる

では、4つのパターンのうち、どれを選択するのが最も効果的でしょうか。おそらく、決まった答えはありません。学部・学科によって・・・というより、その学部・学科が置かれている状況によって、訴求対象や訴求ポイントは異なりますし、「what to say」のシナリオも当然変わってくるはずです。ここからは一つの仮説が必要になります。
 
試しに、以下の通り2つの学部を仮定し、それぞれの状況に応じたコピーを考えてみることにしましょう。
 
1つ目はA大学の「人間関係学部」。数年前に、新しく設置された学部です。学部名称の目新しさもあり、新鮮な印象は受けるものの、今一つ受験生にピンときていないのか、伸び悩んでいる状況です。
 
2つ目はB大学の「経営学部」。数ある経営学部の中でも、際立った特色があるわけではなく、上位の大学に受験生を奪われている状況が続いています。広報としても何か新しい打ち手の必要に迫られています。
 
それぞれの状況に対して、どのパターンを選べば「what to say」として効果的でしょうか。たとえば、A大学の「人間関係学部」であれば、設定からこういう仮説を立てることができるかと思います。
 
・何をする学部なのかが十分に認知されていない
・この領域での直接の競争相手はまだ少ない

これは、商品でいうと市場への「導入期」にあたる段階、まだまだ伸びしろはある状況といえます。とすると、戦略としては、まずはターゲットの母数を増やすことを考えてもいいかもしれません。「自分には関係ない」と思っている受験生に気付きを与え、「人間関係学」という領域そのものに関心をもってもらう必要があるのではないでしょうか。そう考えると、この学部の「what to say」は、1番(この「学問」は何を学ぶか)が最も当てはまりそうです。
 
コピーとしては、たとえばこんな切り口でしょうか。
 
恋愛から政治経済まで。サークル活動から国際社会まで。
 
やや卑近な例ではありますが、具体的な事柄を挙げて「実はあなたの身近にも関係している学問なんですよ」というメッセージを入り口にする方法は、受験生の好奇心を喚起する狙いから、大学案内や広告などの表現としてよく利用されています。加えて上記は、政治経済や国際社会といった別の学問領域のキーワードにも触れることで、周辺の層から関心を引き寄せる狙いもあります。このほか、3番(この「学問」はどう役立つか)でのアプローチも、たとえば「チームマネジメントのスペシャリストになる」など、少しの意外性と実用性の利いた答えを示すことができれば、初期認知のフックとして有効かと思います。
 
B大学の「経営学部」の場合ではどうでしょうか。
 
・学問自体の認知はされている
・競争相手が多数存在し、際立った差別化が難しい
 
この場合、「人間関係学部」のときと違って、一般的な経営学の魅力ではなく、「B大学の経営学部で学ぶことの魅力」を訴求しなければ募集につながりません。「何を学ぶか」で差別化が難しいとすれば、この学部の「what to say」は、4番(この「学部」はどう役立つか)で検討する必要がありそうです。たとえば、授業やゼミなどで行われる企業との取り組みに着目し「就職に役立つ実践力」に切り口を特化するのであれば、コピーとしてはこういう表現が考えられます。
 
「行動する経営学」 そのキャリアが、やがて武器になる。
 
経済学部や経営学部に代表されるような「世の中で一般化された学部」は、よほどの特色がない限り、どこもよく似たフラットな訴求になりやすく、埋没してしまいがちです。ただ、実学に重きを置くのか、それとも理論と実践のバランスを重視するのか、といった方向性については多少の「違い」が存在するケースもあり、学部のディプロマポリシー(学位授与の方針)などに、その傾向が読み取れることもあります。方針と事実の裏付けがあるのであれば、あえてそこをカラーとして際立たせて表現するのも考え方の一つだと思います。
 
このように、それぞれ学部・学科の状況に応じて、受験生の「どの層に反応してほしいのか」が明確になると、おのずと「what to say」の方向性は見えてくるように思います。大学案内や学部サイトでコピー表現を検討する際に、ぜひ参考にしてみてください。

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